「育てる」と「開く」のマンダラ展開([生活を創るキーワード辞書]創りの途中経過報告)
公開日:
:
Mandal-art
目次
1.[生活を創るキーワード辞書]を創る
(1) [生活を創るキーワード辞書]とは?
[生活を創るキーワード辞書]とは、『[超メモ学入門]マンダラートの技法』で提案されていた、「思考の道具」としての「言葉」を鍛えるための具体的な方法です。
自分が思考する上でどうしても押さえておくべき言葉をピックアップして掘り下げて、[生活を創るキーワード辞書]を創る作業を行えば、「思考の道具」としての「言葉」に対する理解がぐんと深まり、思考力を大きく高めることができる、とされます。
[生活を創るキーワード辞書]で、言葉を「思考の道具」として鍛える(マンダラートが言葉を大切にする理由)
(2) 彩郎の[生活を創るキーワード辞書]の入り口
私は、先日から、[生活を創るキーワード辞典]を創る作業に取り組んでいます。この作業に取り組んで、最初に形にできたマンダラは、次のようなものになりました
このマンダラによれば、私にとっての[生活を創るキーワード]の最初の8つは、次の言葉のリストです。
- 育てる
- 整える
- 暮らす
- 心を込める
- 開く
- 試行錯誤する
- くり返す
- 練習する
この8つの言葉を手がかりに、次の2つの作業を行えば、きっと私は自分の[生活を創るキーワード辞書]を創ることができるのだろうと思っています。
- 1.8つの言葉それぞれから、いくつかの言葉を見つける
- 2.8つの言葉と、aの作業で出てきた言葉について、ひとつひとつ、マンダラを創って理解を深める
このマンダラは、私の[生活を創るキーワード辞書]の入り口です。
(3) 核となる2つの言葉「育てる」と「開く」
このマンダラは、[生活を創るキーワード辞書]の入り口という大事な存在なので、しばらく眺めていました。(マンダラは、「眺め眺めて感じとる」ものです。)
すると、2つの言葉が核のような気がしてきました。
ひとつは「育てる」でもうひとつは「開く」です。
そこで、まずはこの「育てる」と「開く」という2つの言葉について、上に書いた2つの作業をやってみます。
2.「育てる」を起点とする2つの周辺マンダラ展開
(1) 「育てる」を取り囲む8つの言葉を見つけるための周辺マンダラ展開
「育てる」に関する最初の作業は、「育てる」を起点にして、「育てる」に関係する言葉を見つけるための周辺マンダラ展開です。具体的には、「育てる」を中心セルに載せたマンダラを創ることで、8つの周辺セルに8つの言葉を見つける、という作業をすればよいわけです。
やってみました。
ここで出てきた言葉は、次の8つです。
- 待つ・見守る
- 助ける・支える
- 教える
- 促す
- 信頼する
- 発揮する
- 学ぶ
- 自律する
8つに絞りきれていませんが、暫定的なものとして、まあ、とりあえず。
(2) 「育てる」の5Wマンダラ展開
「育てる」に関する次の作業は、「育てる」という言葉自体を掘り下げるための周辺マンダラ展開です。
フリーで展開してもよいのですが、ここでは、マンダラートの奥義である「5Wマンダラ」を使ってみます。
5Wマンダラとは、「誰が(Who)?」、「なぜ(Why)?」、「どこで(Where)?」、「何を(What)?」、「いつ(When)?」という5つの疑問詞からできているマンダラです。5Wマンダラを使うと、ひとつのものごとを、これらの疑問詞の視点から、多面的に掘り下げることができます。そのため、5Wマンダラは、マンダラートの奥義のような位置づけを与えられています。
さて、「育てる」を中心に置いた「5Wマンダラ」は、こんな感じになりました。
(本来は、上下左右のセルに「何を(What)?」、「なぜ(Why)?」、「どこで(Where)?」、「いつ(When)?」に対する答えを書くのだと思いますが、今回は、上下左右に疑問詞を置き、時計回りでそのひとつ隣のセルに、その答えを書く、という使い方をしてみました。)
- 【Why】なぜ、育てるのか?
- 好き/得意/この世界に加える価値
- 【Where】どこで、育てるのか?
- 自分を中心として広がっていく軸/次元の軸
- 【What】何を、育てるのか?
- 自分自身/関わりのある他者/ツール/場/仕組み
- 【When】いつ、育てるのか?
- 人生の時間軸と育てる対象の関係/育てることと「待つ」こと(時間をかけること)との関係
これも、これだけではまだ不十分ではありますが、たとえば、「育てる」を掘り下げるための軸や、人生の時間軸と育てる対象の関係など、「育てる」を掘り下げるためのいくつかのヒントを見つけることができました。
ひきつづき、このマンダラを周辺マンダラ展開することで、少しずつ考えを進めていきます。
3.「開く」を起点とする2つの周辺マンダラ展開
(1) 「開く」を取り囲む8つの言葉を見つけるための周辺マンダラ展開
「開く」に関する最初の作業は、同じように、「開く」を起点にして、「開く」に関係する言葉を見つけるための周辺マンダラ展開です。「開く」を中心セルに載せたマンダラを創ることで、8つの周辺セルに8つの言葉を見つける、という作業をするのでした。
「開く」を取り囲む8つの言葉は、こんな感じです。
- 共有する
- 説明する
- 言葉にする
- 守る
- 共感する
- 開拓する
- 変える
- 関わる
「共有する」や「言葉にする」「説明する」という言葉が、自分の中で「開く」と近いところにあるんだなと気づけたのは、大きな収穫でした。
(2) 「開く」の5Wマンダラ展開
「開く」自体を掘り下げるための5Wマンダラ展開は、こんな感じです。
- 【Why】なぜ、開くのか?
- 関係の悦びを求めるから/影響力を広げるため
- 【Where】どこで、開くのか?(どこに向けて、開くのか?)
- 開く方向(イメージ):前(未来)と後(過去)/上(社会)と下(自分の内面)
- 【What】何を、開くのか?
- 自分/自分が存在する場
- 【When】いつ、開くのか?
- 人生の時間軸と開く方向&対象の関係/開く前にやっておきたいこと
この底にある考え方や思想は、次の2つの本からの引用がうまく表現してくれていると思います。
a.『ヘーゲル・大人のなりかた』
私が「開く」を自分の[生活を創るキーワード]のひとつに選んだのは、西研さんの『ヘーゲル・大人のなりかた』の影響だと思います。
ふたたびヘーゲルに戻ってみよう。彼が最終的に主張しようとした「真実の良心」の在り方とはどういうものだったのか。ぼくは、次のようにいっていいと思う。—〈他者と共同体に向かって自分自身の判断を開いていること〉
『ヘーゲル・大人のなりかた』・p.190
良心は最終的に、自分の判断を他者に向かって開くことを決意した。それは良心が、自分の中に「共同的であろうとする意志」を自覚したからだった。しかし「共同的であろうとする意志」とは何だろうか。それは、「関係の悦びを求めようとすること」と同じことではないだろうか。
『ヘーゲル・大人のなりかた』・p.235
この本には、「関係の悦びを求めるからこそ、言葉を鍛える意味がある」
という言葉も出てきます。自分の判断や感覚を他者に対して開くのは、他者との関係する悦びを求めるためだということ、自分を他者に対して開くために、「言葉を鍛える」ということを実践できること、を教わりました。
b.『新版 論理トレーニング』『論理トレーニング101題』
『ヘーゲル・大人のなりかた』をふり返って気づいたのは、「開く」と「言葉」との関係です。開くために言葉を鍛える、という関係。
で、自分にとって「言葉を鍛える」とは何だろうかと考えてみると、重要なキーワードが「論理」です。
一見かけ離れていますが、私の中では、「開く」は、「論理」とまっすぐにつながっています。
どういうことでしょうか。
私の座右の書のうちの2冊である『新版 論理トレーニング』『論理トレーニング101題』から、それぞれ引用します。
「論理」とは何だろうか。
ひとことで言えば、「論理」とは、言葉が相互に持っている関連性にほかならない。
略
繰り返そう。思考の道筋をそのまま表わすのではない。思考の結果を、できるかぎり一貫した、飛躍の少ない、理解しやすい形で表現す る。そこに、論理が働く。
略
それゆえ、論理力とは、思考力のような新しいものを生み出す力ではなく、考えをきち んと伝える力であり、伝えられたものをきちんと受け取る力にほかならな い。つまり、論理力とはコミュニケーションのための技術、それゆえ言語的能力のひとつであり、「読み書き」の力なのである。
『新版 論理トレーニング』・pp.1-2
自分と異なる意見の相手と対話する。それこそ、論理が要求されるもっとも重要かつ典型的な場面である。独善的な精神に論理はない。論理的な力とは、多様な 意見への感受性と柔軟な応答力の内にある。そして本書がめざすところもそこにある。論理トレーニングとは、けっして、四角四面でコチコチの、厳格ではある が融通のきかない頭を作ろうとするものではない。
『論理トレーニング101題』・p.6
4.おわりに
今、私は、[生活を創るキーワード辞書]を創る作業に取り組んでいます。
[生活を創るキーワード辞書]で、言葉を「思考の道具」として鍛える(マンダラートが言葉を大切にする理由)
このエントリでは、[生活を創るキーワード辞書]創りの途中経過として、特に、「育てる」と「開く」という2つの言葉について見つけたことを書いてみました。現段階では、まだはっきりとしてアイデアにまとまっているわけではありません。でもまあ、こんなふうにこの考えを「開く」ことによって、この考えを「育てる」ことができるんじゃないか、と思っています。
なお、「育てる」と「開く」という2つの言葉についていえば、「育てる」は、もともと大切だと自覚していた言葉ですが、「開く」は、もともとは大切な言葉であることをぜんぜん意識していなかった言葉です。「開く」が自分にとって大切な言葉だということに気づけただけでも、[生活を創るキーワード辞書]のマンダラづくりをやってみてよかったな、と感じています。
私は、これから、まとまった時間を費やして、このマンダラを読んだり、それぞれのセルをどんどん周辺マンダラ展開したりしていこうと思っています。また途中経過をこのブログで報告させてください。
それと同時に、「よいかも。」と思われた方は、ご自身でも試していただければうれしく思います。[生活を創るキーワード辞書]を創るという提案は、言葉に対する理解度を高めるための方法論として紹介されていますが、単に言葉に対する理解度が高まるだけではなく、自分が持っている価値観を深く自覚できる、などの効果も得られるように思いますし、なにより楽しい作業です。
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