WorkFlowyの真価を引き出す必読文献『アウトライナー実践入門~「書く・考える・生活する」創造的アウトライン・プロセッシングの技術~』(Tak.著)
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WorkFlowy
出ました。待望の一冊。
アウトライナー実践入門 ~「書く・考える・生活する」創造的アウトライン・プロセッシングの技術~
WorkFlowyの本ではありません。でも、この本を読むと、あなたのWorkFlowyは、次の段階に進みます。
WorkFlowy関連情報文字数ベースで日本一(ひょっとすると世界一・自分調べ)の当ブログのすべてをかけて、WorkFlowyを使うすべての人に向け、一切の留保なし、全身全霊、大きな声で言い切ります。
『アウトライナー実践入門』は、WorkFlowyの真価を引き出す必読文献です。
(自分が言うのもなんだけれども、私が書いたWorkFlowy本やこのブログの過去記事よりも、こちらを読むべきです。個人的には、この本が日本語であることは、現代日本のナレッジワーカーにとっての福音だと思う。)
1.『アウトライナー実践入門』とTak.さんのこと
最初に、『アウトライナー実践入門』とTak.さんのことを簡単に。
(1) 『アウトライナー実践入門』のこと
a.ランディングページ&告知ページ
本書の概要は、ランディングページにまとまっています。
Tak.さんによる告知ページは、とても楽しく読めます。しんせつだ!
7月9日『アウトライナー実践入門』が発売されます!:Word Piece >>by Tak.:So-netブログ
b.アウトライン
本書の目次(完成したアウトライン)は、こんな感じです。
- Part1 アウトライナーとアウトライン・プロセッシング
- 1-1 アウトラインとアウトライナー
- 1-2 アウトライナーの基本機能
- 1-3 自由なアウトライン・プロセッシング
- 1-4 プロセス型アウトライナー
- WorkFlowyを導入する
- MicrosoftWordを導入する
- Part2 アウトライン・プロセッシングの技法
- 2-1 シェイク
- 2-2 アウトライン操作の5つの〈型〉
- Part3 文章を書く
- 3-1 メモを組み立てて文章化する
- 3-2 自由な発想を文章化する
- 3-3 視点を切り替えて要約する
- 3-4 複数の書きかけの文章を管理する
- 3-5「文章エディタ」としてアウトライナーを使う
- Part4 理解する・伝える・考える
- 4-1 文章を読む
- 4-2 その場で考える
- 4-3 共有する
- 4-4 タスクを扱う
- 4-5 ライフ・アウトライン
- Part5 アウトライナーフリーク的アウトライナー論
- 5-1 アウトライナーフリーク的Word論
- 5-2 アウトライナーフリーク的発想論
- 5-3 アウトライナーの新しい呼び名
- 5-4 〈文章を書き、考える〉ツールとしてのアウトライナーの誕生
- Part6 〈文章を書き、考える〉アウトライン・プロセッシングの現場
- 物書きによる物書きのためのWorkFlowy(倉下忠憲さんインタビュー)
- 研究者と学生のための知的生産とアウトライナー(横田明美(ぱうぜ)さんインタビュー)
- Part7 アウトライン・プロセッシングの風景
- 買い物リストを〈シェイク〉する
- フリーライティングから文章化する
アウトラインやアウトライナーの基本から始まり、順を追って、無理なく自然に、毎日の生活の中でアウトライナーの力を引き出すことができるような構成です。
(2) Tak.さんのこと
著者のTak.さんは、どんな方でしょうか。
a.アウトライナーフリーク
アウトライナーフリークです。Tak.さん以上にアウトライナーを愛し、アウトライナーを使い込んでいる方を、私は知りません。
Tak.さんのウェブサイト「Happy Outlining!」は、ウェブ上で読めるアウトライナー関連の最も充実した日本語情報源だと思います。
b.ブログ「Word Piece」
「Word Piece」というブログをしています。
Word Piece >>by Tak.:So-netブログ
「Word Piece」は、アウトライナーについてのTak.さんの考察が生まれる場所です。たとえば、これ。
アウトライナーを使うとファイルの概念が消えていく:Word Piece >>by Tak.:So-netブログ
でも、「Word Piece」の魅力は、それだけではありません。たとえば、これ。
はやくなるのがはやい:Word Piece >>by Tak.:So-netブログ
それから、これ。本書を読んだ後、あらためて読むと、じんわり熱いものを感じます。
12年前:Word Piece >>by Tak.:So-netブログ
c.『アウトライン・プロセッシング入門』著者
『アウトライン・プロセッシング入門』の著者です。
『アウトライナー実践入門』は、この『アウトライン・プロセッシング入門』が進化して生まれました。
d.Twitterに生息してます
そんなTak.さん、ウェブ上では、Twitterに生息してます。
Tak.(@takwordpiece)さん | Twitter
Tak.さんは、リアルでもTwitterでも、シャイで、親切で、おちゃめです。
2.本書の特徴
本書の特徴を、私なりに5つ、ご紹介します。
(1) 現にうまく機能しているアウトライナー技法
ひとつめ。
現にうまく機能しているアウトライナー技法を明らかにする本です。
●
Tak.さんは、ご自身の毎日の生活において、現にアウトライナーを使い倒しています。本書には、アウトライナーに関する多くの技法が登場しますが、そのすべては、そんなTak.さんの毎日の中で、現にうまく機能しているものです。
机上の空論ではなく、「やってやれないことはないけれど、そんなことして、何か意味あるの?」という技法でもなく、「確かにカッコいいし頭よさそうだけれど、毎日の中では続かないでしょ?」というものでもなく、現にうまく機能する技法です。
●
もちろん、Tak.さんにとって現にうまく機能している技法のすべてが、私やあなたにとっても現にうまく機能するとは限りません。
でも、少なくともいくつかの技法が現にうまく機能することくらいなら、保証できます。
たとえば私は、Tak.さんの影響で、「書きかけの文章群をひとつのアウトラインで管理する」ということを始めました。すると、まさにTak.さんが指摘するような、「文章を超えたシェイク」が自然に生じました。この技法は、私にとって、現にうまく機能しています。
(2) 15年を超える、広くて深くて丁寧な研究と考察による、アウトライナーの基礎
ふたつめ。
本書の土台を支えるのは、15年を超える、広くて深くて丁寧な研究と考察です。
●
Tak.さんによるアウトライナーに対する研究と考察は、筋金入りです。その始まりがいつなのか、私は正確なところは知りませんが、15年を軽く超えていることはおそらくまちがいありません。
そんな長期間に渡る広くて深くて丁寧な研究と考察ゆえ、本書によるアウトライナーについての解説は、平易な言葉でわかりやすく書かれているにも関わらず、本質的です。
たとえば、私は、Tak.さんから教わってはじめて、アウトライナーを「プロセス型アウトライナー」と「プロダクト型アウトライナー」という2種類に区別できることを知ったのですが、この二分法は、理屈でも納得できますし、アウトライナーの力を引き出す上でもうまく機能する考え方です。
本書を読めば、アウトライナーというものについての強い基礎を学ぶことができます。
(3) 「考える」ということ一般についての、新しい世界
みっつめ。
本書は、アウトライナーの本でありながら、「考える」ということ一般についての新しい世界を開いてくれる本です。
●
本書には、報告書を作成したり、ブログ記事を書いたり、買い物をしたり、といった目的のために、アウトライナーをどのように活用できるか、という考察が登場します。これらの考察をたどっていると、アウトライナーやアウトライン・プロセッシングを超えて、「考える」ということ一般についての、新しい世界が開かれるような感覚を覚えます。
ひとつの具体例は、「シェイク」です。「シェイク」とは、「トップダウン型思考」と「ボトムアップ型思考」とを往復する思考様式です。本書には、アウトライナーを使って文章を書いたり物事を計画したりすると、こんな「シェイク」が、自然と何度でも発生する様子が、いきいきと描かれています。私は、この「シェイク」を読んで、「考える」ということの自由さを感じました。
(4) アウトライナー愛をおすそ分け
よっつめ。
Tak.さんの溢れんばかりのアウトライナー愛をおすそ分けしてもらえます。
●
異論はあるかと思うのですが、私は、「ツールから力を引き出すには、そのツールを愛するのが一番」と思っています。Evernoteを愛せば、Evernoteの力を引き出せます。Google Driveを愛せば、Google Driveの力を引き出せます。
Tak.さんのアウトライナー愛は、圧倒的です。『アウトライナー実践入門』には、Tak.さんのアウトライナー愛が詰まっています。だから、本書を読めば、少なくともしばらくの間は、アウトライナー(プロセス型アウトライナー)を愛せるはずです。
だから、本書を読めば、
本書を読む→プロセス型アウトライナーを愛す→プロセス型アウトライナーの力を引き出す
という経過をたどり、プロセス型アウトライナーの真価を体感できるはずです。
最終的にプロセス型アウトライナーがあなたご自身にあうかどうかはなんともいえませんが、それを判断するためには、一時的であれ、プロセス型アウトライナーがその真価を発揮した状態を体験してみることが肝心です。本書は、そのためのアウトライナー愛という条件を整えてくれます。
(5) 単純に、「作品」として楽しめる
いつつめ。
本書は、単純に、読んでいて楽しい本です。「作品」として楽しめます。
●
いくつか理由があるんじゃないかと思います。ひとつは、Tak.さんのアウトライナー愛です。対象に対するオモテウラのない愛が表現された文章を読むと、うれしくなります。
でも、それだけではありません。
私が主観的に好きなのは、ときどき登場する、遊び心からの記載。本文にはあまり登場しませんが、注にはしょっちゅう登場します。
たとえば、次の箇所。
「さあ、今からブレイクダウンをするぞ」「今日は最高のグルーピングができたぜ」とは思わないでしょう。
no.898
私の好みは置いておいて客観的に見ても、文章や構成の質が相当高いと感じます。徹底的に読み手のことを考えた文章や構成で、ここまで作りこまれた本を、私はあまり知りません。まさに、「しんせつだ!」の一言。
読者としてはもちろん、自分でもえっちらおっちら一冊の本を書いた一著者としても、「どうしたらこんなことができるのだろうか」と思いながら本書を読み進めるわけですが、その種明かしが、本書の最後「Part7 アウトライン・プロセッシングの風景 – フリーライティングから文章化する」で具体的に明らかにされています。ぜひご一読を。
3.WorkFlowy必読文献
読了直後の興奮のまま、いろいろ書いてきましたが、この記事で言いたいことは、要するに、
『アウトライナー実践入門』は、WorkFlowyの真価を引き出す必読文献
ということに尽きます。
アウトライナー実践入門 ~「書く・考える・生活する」創造的アウトライン・プロセッシングの技術~
WorkFlowyに関する情報をウェブで漁るよりも前に、WorkFlowyに関する本を読むよりも前に、まずは、『アウトライナー実践入門』を読んでみてください。
そして、Tak.さんからおすそ分けしてもらったアウトライナー愛を持って、WorkFlowyで文章を書いてみてください。きっと、あなたのWorkFlowyは、次の段階に進みます。
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