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文章を書くツールとしてEvernoteを使うことのメリット テキストデータのポケットひとつ原則

公開日: : Evernote, 書き方・考え方

1.自分で入力したテキストデータのためだけに、Evernoteを使う意味

私がEvernoteに保存しているデータの大半は、自分で入力したテキストデータです。

Evernoteが扱えるデータは、テキストデータだけではありません。画像データ、音声データ、動画データを扱うことができます。Wordファイル、Excelファイル、PDFファイルも扱えます。しかし、私が使っているのは、大部分が、テキストデータです。

また、Evernoteへデータを入力する方法には、自分で入力する以外にも、多彩なものがあります。ウェブからクリップすることができます。クリップボード内のデータをノートに保存することも可能です。しかし、私は、ウェブクリップなどはほとんど使わず、基本的に、自分が書いた文章を保存するためにEvernoteを使っています。

私の使い方なら、なにもEvernoteを使わなくても、テキストエディタとWindowsのフォルダで十分ではないか、という気もします。テキスト編集機能の点では、Evernoteのクライアントよりもテキストエディタの方が、よっぽど高機能です。しかし、Evernoteを使うことには、以下の3つのメリットがあります。

  1. データの整理が楽
  2. 複数の端末からひとつのデータを利用可能
  3. 保存するという動作が不要

この3つのメリットは、自分が作成するテキストデータをすべてEvernoteに保存するという、テキストデータのポケットひとつ原則へとまとまります。Evernoteを使えば、テキストデータのポケットひとつ原則を実行できるため、私は、文章を書くツールとして、Evernoteを使っています。

2.文章を書くツールとしてEvernoteを使うことの3つのメリット

(1)データの整理が楽

Evernoteなら、データの整理が楽です。Evernoteはノートという基本単位をノートブックとタグというふたつの観点で整理する仕組みを採用していますが、ノート、ノートブック、タグという概念は、直感的でわかりやすいです。また、Evernoteのクライアントやウェブインターフェースは、メーラーのような画面構成になっているため、メーラーでメールを整理するのと同じようにノートを整理することができます。さらに、ノートを整理しなくても、データ内容による検索が可能なため、たいしてデータ整理をしなくても不便はありません。

a.ノートとノートブックとタグ

(a)ノート

Evernoteのデータは、ノートというまとまりを、ひとつの基本単位として構成されています。ノートには、テキストデータのほか、画像や動画、音声や添付ファイル(Word、Excel、PDFなど)を保存することができます。

それぞれのノートは、以下の要素を持っています。

  • タイトル
  • ノートブック
  • タグ
  • 作成日
  • 更新日
  • 位置情報
  • URL情報

Evernoteでデータを整理するには、ノートを別のノートブックに移動したり、ノートにタグ付けをしたり、ノートのタイトルを変更したりします。

Evernoteのノートは、ルーズリーフの用紙1枚のようなものです。

(b)ノートブック

ノートブックは、ノートを収録する入れ物です。

Evernoteに保存されたすべてのノートは、必ず、どれか1つのノートブックに所属します。同時に2つのノートブックに所属することはできません。どのノートブックにも所属しないこともできません。かならず、どれか1つのノートブックに所属します。

複数のノートブックをまとめることで、ノートブックのスタックを作ることができます。これによって、ノートブックを2階層にすることができます。現時点では、2階層以上の深い階層を作ることはできません。

ノートブックは、ノートブックの名称順に、自動的に整列します。

Evernoteのノートブックは、1冊のバインダのようなものです。ノートブックというバインダの中に、ノートというルーズリーフの用紙がたくさん保存されています。複数のバインダを束ねたものが、ノートブックのスタックです。

(c)タグ

タグは、ノートに付けた目印です。

ひとつのノートに、複数のタグを付けることができます。ひとつのタグも付けないこともできます。

タグは、階層化することができます。

タグを使えば、複数のノートブックにまたがって存在する、同一のタグが付いたノートを、一覧することができます。

Evernoteのタグは、ノートに付けた付箋のようなものです。Evernoteのタグの付箋は高機能なので、同じ種類の付箋を付けたノートだけを自動でピックアップして並べてくれます。

b.メーラーのようなインターフェース

Evernoteのインターフェースは、クライアント(Windows版、Mac版)も、ウェブアプリケーション版も、メーラーとにています。

左側に、ノートブックとタグの一覧があります。

右側には、ノート一覧のエリアと、ノートの中身を表示するエリアがあります。

左側でノートブックやタグを選ぶと、ノート一覧のエリアに、該当するノートが一覧表示されます。

一覧の中から、目的のノートをクリックすると、ノートの中身を表示するエリアに、ノートの中身が表示されます。

ノートの中身を表示するエリアは、「ノートエディタ」といいます。このエリアで、ノートの中身を、自由に編集することができます。

見た目だけではなく、機能の面でも、Evernoteは、メーラーと似ています。たとえば、あるノートブックに保存されたノートを別のノートブックに移動するには、メーラーと同じように、ドラッグ・ドロップで実現できます。

メーラーのようなインターフェースを備えていることによって、Evernoteは、直感的に操作することが可能です。

c.優れた検索機能

Evernoteは、優れた検索機能を持っています。そのため、細かく丁寧にデータを整理しなくても、全然困りません。

Evernoteなら、ノートの内容での検索が可能です。ノートに記載されたテキストデータでの検索が可能なのはもちろん、ノートに添付された画像データやPDFファイルの内容をOCRでデータベース化していますので、画像やPDF内のテキストを検索することも可能です。

この検索機能を利用すれば、ノートブックやタグ、タイトルをいい加減にしていても、多少の時間をかければ、目的のデータをにたどり着くことができます。

(2)複数の端末からひとつのデータを利用可能

Evernoteは、クラウドサービスなので、クラウドに置かれたひとつのデータを、複数の端末から利用することができます。

思いついたことをAndroidから投稿し、iPadで内容を練ってある程度のまとまりを作った後、モバイルのWindowsPCで文章を作成して、最後にデスクのWindowsPCでアウトプット(Wordファイルにしてレイアウトを整えたり、ブログ記事にしたり)といったことが可能です。

Evernoteを使えば、状況に応じていろいろな端末を使いたいけれど、いろいろな端末で文章を書くことによってデータが散在してしまう、という事態を回避することができます。

(3)保存するという動作が不要

Evernoteのノートは、自動的に保存されます。保存するという動作をする必要がありません。

保存するという動作が不要であることによって、文章を書く道具としては、以下のメリットがあります。

  • フリーズなどによってデータが失われるリスクが少ない
  • 複数の文章を同時並行でちょっとずつ書く場合に、扱うファイルの切替えが容易
  • 新しい文章をどんどん書いていく場合に、いちいち保存ダイアログに思考を中断されない(いちいち保存場所とファイル名を指定する必要がない)

3.テキストデータのポケットひとつ原則

Evernoteが、データを整理するのが楽で、どの端末からも共通のひとつのデータを扱うことができ、保存するという動作が不要であるというメリットを持っているため、私は、自分が作成するテキストデータを、とにかくEvernoteに入れています。

たとえば、講演会やシンポジウムに参加したときは、Evernoteでメモをとります(WindowsならEvernote for Windowsでノートをとります。iPadならATOK Padでノートをとります。)。後日、あるシンポジウムのノートを参照したいと思ったときに、私がすることは、Evernoteを検索することだけです。Evernoteを探して発見できなかったら、ないんだなと思って、あきらめます。

また、ブログなどのためにまとまった文章を書きたいと思ったとき、私は、とりあえずEvernoteに書けるところまでの文章やメモを書きます。状況に応じて、項目立てやキーワードの羅列だけのこともあれば、ある程度まとまった文章を書くこともありますが、いずれにせよ、書けるところまでをEvernoteに書くことにしています。こうしておけば、Evernoteには、書きたいと思ったことのメモや書きかけの原稿がストックされます。このストックに対して、どの端末からもアクセス可能なので、時間を見つけて少しずつ原稿をまとめていき、完成したらアウトプットをすることが可能です。

書いたもの全部をEvernoteというひとつのポケットに放り込むことは、思考や経験をアウトプットにつなげるための、有効な仕組みではないかと思います。

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    彩郎 @irodraw 
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