*

『文章教室』練習問題実践記録・第3回「パラレリズムを使いましょう」

公開日: : 最終更新日:2014/04/22 書き方・考え方

この文章は、『文章教室』の練習問題に取り組んだ記録です。

『文章教室』は、結城浩先生がご自身のウェブサイトに公開しているコンテンツです。よい問題・解答例・丁寧な添削が掲載されていますので、文章を書くための練習として、この上ない教材です。

結城先生の『文章教室』は、こちらです。

文章教室

第1回「文を短くしましょう」に取り組んだ記録は、こちらです。

『文章教室』を『数学文章作法 練習問題編』として使う。

第2回「適切な単語を選びましょう」に取り組んだ記録は、こちらです。

『文章教室』練習問題実践記録・第2回「適切な単語を選びましょう」

1.『文章教室』第3回「パラレリズムを使いましょう」

(1) パラレリズムとは

『文章教室』第3回のテーマは、「パラレリズムを使いましょう」です。

文章のパラレリズムは、 「2つのことを対比(あるいは並置)させて書くときには、文章の形でも対比を表現する」 ということです。

第3回 問題編より)

つまり、実質的に対比関係にある2つのものを、形式的にも対比関係に表現する、ということです。たとえば、「彼は、右手にペンを、左手にペットボトルを持って、自習室で勉強していた。」という文は、右手-ペン:左手-ペットボトルという対比関係を、「●手に△を」という表現を2つ並べるという対比の形式によって表現しているため、パラレリズムです。

私は、結城先生の『数学文章作法 基礎編』を読んで、パラレリズムを知りました。パラレリズムは、小学校で全員に教えてもいいくらい、汎用的で効果的な表現手法です。

「第3回 問題編」に掲載されているいくつかの例を読めば、パラレリズムの威力を実感できると思います。

(2) 第3回の練習問題

彼は薬品が使用されていた年代を調査したが、 その病院ではガリファイトを1970年からは利用して居たのだが、 1969年まではその病院でボラブドールを利用していた事が彼には別ったが、 彼は更に詳細な調査を緬密に行って、 何が、2つの薬品が切り替わった年に置きたかを調査をする事に彼はした。

第3回 問題編より)

2.私の解答

(1) 解答

——–

彼は、その病院が、いつ、どの薬品を使用していたかを調査した。すると、1969年まではボラブドールを使用したけれど、1970年からはガリファイトを使用していることが分かった。

そこで、彼は、さらに進んで、2つの薬品が切り替わった年に何が起きたかを調査することにした。

——–

(2) 迷ったこと、考えたことなど

a.短い文章&適切な単語関係(第1回,第2回の復習)

「が」でだらだらと続いている文なので、文を分けた方がいい。ガリファイトとボラブドールの使用はパラレリズムで対比を表現するために1文にするとして、その前で1文、その後で1文の、計3文が素直か。

「別った」「緬密」「置きた」は誤字か。「居た」「事」「更に」は「いた」「こと」「さらに」の方がよい。

「年代」はそのままでもいいかなあ。「時期」とか「いつ」とかに直すほうがわかりやすいか。

「更に詳細な調査を緬密に」はおかしいから、「さらに詳細に調査した」か。「さらに調査した」だけでもいいかも。

「使用」と「利用」の違いに意味があるとは思えないから、「使用」に統一する。

b.パラレリズム関係(第3回)

「その病院ではガリファイトを1970年からは利用して居たのだが、 1969年まではその病院でボラブドールを利用していた」でパラレリズムを使う。

「1970年から-ガリファイト:1969年まで-ボラブドール」の対比を表現する。

「その病院では」と「その病院で」は、重なるとうっとうしいから、第1文に出して、パラレリズムの文からは削除する。

順番は、昔から今の方がよいだろう。

では、「1969年まで-ボラブドール」と「1970年から-ガリファイト」をつなぐのは、どんな接続詞がよいだろうか。逆説なのだろうか。それとも、並列の関係なのだろうか。第3文でさらなる調査をすることを考えると、逆説で繋ぐ方が自然か。そこで、逆説を表現するために、「けれど」で繋ぐことにする。

3.解答編を読んで

(1) 解答編を読んで、学んだこと

パラレリズムについては、おおむね、皆同じような感じでした。パラレリズムのすごいところは、活用は簡単だけど、効果は強力という、コストパフォーマンスの高さです。読者の方からの解答は、いずれも、パラレリズムを活用した文章になっていました。

本筋とは別の点ではありますが、読点の多さや不自然さを指摘されている解答がいくつかありました。また、読点の打ち方について、こんなコメントがありました。

1文目の「彼は」の後には読点がなく、 3文目の「彼は」の後に読点があるのを興味深く読みました。 この読点の打ち方は適切だと思います。

第3回 解答編より)

読点の打ち方、もっと工夫したいです。

(2) 修正版の解答

——–

彼は、その病院で、いつ、どの薬品が使用されていたのかを調査した。すると、1969年まではボラブドールが使用されていたけれど、1970年からはガリファイトが使用されていることが分かった。

そこで、彼は、2つの薬品が切り替わった年に何が起きたのかを、さらに詳しく調査することにした。

——–

スポンサードリンク

関連記事

no image

『アリスの物語』+監修PDFに、「読み手のためにとびっきり親切になる」ということを学ぶ(超優良文章教材のご紹介)

1.『アリスの物語』と監修PDF 昨日(2014/05/15)、『アリスの物語』を読みました。

記事を読む

no image

制限時間がある:ドラクエのレベル上げと現実世界の重要な違い(2)

1.はじめに ひとつ前の記事で考えたテーマは、「ドラクエのレベル上げと現実世界の自分育成は、(似て

記事を読む

no image

「文章群を書き続ける」という積極的な社会参加のあり方

1.積極的な社会参加へのあこがれと、その実現 大学生の頃から、知的生産にあこがれていました。本を読み

記事を読む

no image

文章を書く練習の効果を上げるための3条件

1.練習すれば、文章を書く力は、上がる 文章を書く力は、天賦の才ではなく、意図的に鍛えることができ

記事を読む

no image

ていねいに書き直すために時間とエネルギーがかかるのはあたりまえ~『文章教室』第8回の感想

1.『文章教室』の中で、とりわけ第8回が思い出深い (1) 『文章教室』完結! 『文章教室』は、

記事を読む

no image

その文章が果たすべき役割、意識していますか? 典型的な4つの役割とその活用方法

1.仕事文章の特徴は、役割があること 仕事で作成するいろんな文章全般を、「仕事文章」と呼ぶとして、「

記事を読む

no image

マトリクスをやわらかい思考に使う(内観法とマトリクス)

1.マトリクスは、自分と他者との関わりを振り返るためにも使える マトリクスは、便利な思考ツールです。

記事を読む

no image

ドラクエのレベル上げと現実世界の自分育成との重要な違い

1.ドラクエのレベル上げと現実世界で自分を育てることは、似て非なるもの (1) ドラクエのレベル上

記事を読む

no image

『文章教室』(結城浩)練習問題実践記録第6回「重要点は2回書きましょう」

この文章は、『文章教室』の練習問題に取り組んだ記録です。 『文章教室』は、結城浩先生がご自身のウェ

記事を読む

no image

能力の相互干渉がある:ドラクエのレベル上げと現実世界との重要な違い(4)

1.もうちょっと続けます 先日、ふと思いついて、ドラクエのレベル上げと現実世界の自分育成の違いを考

記事を読む

スポンサードリンク

スポンサードリンク

no image
お待たせしました! オフライン対応&起動高速化のHandyFlowy Ver.1.5(iOS)

お待たせしました! なんと、ついに、できちゃいました。オフライン対応&

no image
「ハサミスクリプト for MarsEdit irodrawEdition」をキーボードから使うための導入準備(Mac)

諸事情により、Macの環境を再度設定しています。 ブログ関係の最重要は

no image
AI・BI・PI・BC

AI 『〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則』を読

no image
[『サピエンス全史』を起点に考える]「それは、サピエンス全体に存在する協力を増やすか?」という評価基準

1.「社会派」に対する私の不信感 (1) 「実存派」と「社会派」 哲学

no image
[『サピエンス全史』を起点に考える]サピエンス全体に存在する協力の量と質は、どのように増えていくのか?

『サピエンス全史』は、大勢で柔軟に協力することがサピエンスの強みだと指

→もっと見る

  • irodraw
    彩郎 @irodraw 
    子育てに没頭中のワーキングパパです。1980年代生まれ、愛知県在住。 好きなことは、子育て、読書、ブログ、家事、デジタルツールいじり。
    このブログは、毎日の暮らしに彩りを加えるために、どんな知恵や情報やデジタルツールがどのように役に立つのか、私が、いろいろと試行錯誤した過程と結果を、形にして発信して蓄積する場です。
    連絡先:irodrawあっとまーくtjsg-kokoro.com

    feedlyへの登録はこちら
    follow us in feedly

    RSSはこちら

    Google+ページ

    Facebookページ

PAGE TOP ↑