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項目単位で文章を組み立てると、意見を述べる文章を速く書くことができる

公開日: : 最終更新日:2013/05/17 書き方・考え方

1.意見を述べる文章を速く書くコツは、項目単位で文章を組み立てること

(1) 私が探求したい文章の書き方は、意見を述べる文章の書き方

このブログのテーマのひとつは、いかに文章を書くか、です。
一口に「文章を書く」といっても、どんな性質の文章を書くかによって、作業のポイントが異なります。たとえば、物語を書くのか、エッセイを書くのか、意見を述べる文章を書くのかによって、文章を書くという作業は、まったく別の作業になります。

私が関心を持っているのは、意見を述べる文章です。どんな性質の文章を書くのが好きかと自分に問えば、意見を述べる文章を書くのが好きです。どんな性質の文章を書く機会が多いかと振り返れば、意見を述べる文章を書く機会が多いです。他者から文章を書くことを求められるとき(仕事やプライベートなど、生活全般で)、どんな文章を書くことを求められることが多いかといえば、意見を述べる文章を求められることが多いです。したがって、私は、このブログを通じて、いかに意見を述べる文章を書くか、を探求したいと思っています。

(2) 意見を述べる文章を速く書くコツは、項目単位で文章を組み立てること

いかに意見を述べる文章を書くか、において、いかに速く書くか、というのは、大切な点です。速く書ける方が、限られた時間で、たくさんの文章を書くことができます。ブログの記事をたくさん書くことができれば、その分、たくさんの記事を公開できて、ブログを育てることができます。ひとつの意見を述べる文章を書けば、それだけ自分の中で思考が進みますので、たくさんの文章を書くことができれば、それだけ、思考が進みます。

このためのコツとして、私が大切だと思うのは、項目単位で文章を組み立てることです。

2.項目単位で文章を組み立てるとはどういうことか

項目単位で文章を組み立てるとは、どういうことでしょうか。意見を述べる文章にどんな構造を持たせるのかを設計し、項目によってその構造を組み立てる、ということです。

(1) 意見を述べる文章は、構造を持っている

意見を述べる文章は、構造を持っています。この構造は、「問題設定」「意見(問題に対する見解)」「意見の理由」という3つの要素から構成されます。そして、「問題設定」のために「問題設定の背景」を説明することが望ましく、また、「意見の理由」は、その内部にいろいろな構造を持つことが期待されます。

a.最低限、問題設定と意見(問題に対する見解)がある

まず、意見を述べる文章は、意見を持っているはずです。意見というのは、何らかの問題に対する見解なので、意見があるからには、その意見の前提となる何らかの問題があるはずです。そして、その問題は、意見を述べる文章の中で、何らかの形で、設定されているはずです。

したがって、意見を述べる文章は、最低限、問題設定と意見(問題に対する見解)があります。

b.通常は、意見の理由も

次に、意見を述べる文章は、ある問題に対してどのような見解を持っているかを説明するだけではなく、その見解を持つ理由を説明(できれば説得)することを求められています。

したがって、意見を述べる文章は、通常、意見の理由を説明します。

c.できれば、問題を設定する背景があるとわかりやすい

さらに、意見を述べる文章は、その文章が問題として取り上げた問題を設定した背景を説明することが望ましいです。

意見を述べる文章は、設定された問題に対する見解を述べるものなので、設定された問題に関心がない人にとっては、まったく無意味です。したがって、文章を述べる文章がまず行うべきなことは、読者に、その文章が問題として取り上げた問題への関心を持ってもらうことです。

その文章が問題として取り上げた問題への関心を持ってもらうためには、問題を設定した背景を説明するのが王道です。この意味で、意見を述べる文章は、その文章が問題として取り上げた問題を設定した背景を説明することが望ましいわけです。

d.説得的であるためには、意見の理由の内部構造が必要

最後に、文章を述べる文章が説得的な文章であるためには、意見の理由部分に、内部構造が必要です。

ある問題に対して特定の見解を持つに至った理由を10個思いついたとしても、その10個の理由が、同じレベルに属する、同じくらい重要な理由であることは、滅多にありません。10個の理由は、たとえば、根本的な理由を2つに整理できて、残り8つはその2つの根本理由を支える理由である、というように、整理できるはずです。

この整理を行わないで、「私の意見はAである。理由は、a1、a2、a3、……、a10の10個である。順に述べる。」というような文章は、内部構造を持たない文章(あるいは、素朴な内部構造しか持たない文章)です。これでは、なかなか説得的な文章になりません。

したがって、意見の理由部分は、理由相互間の関係をよく整理して、内部構造を設計する必要があります。

(2) 意見を述べる文章の構造を設計する

意見を述べる文章の構造は、文章の書き手が、意図的に設計して作るものです。自然には生まれません。

意見を述べる文章の構造を設計するためには、どうしたらいいでしょうか。

a.「問題設定」「意見(問題に対する見解)」「意見の理由」を配置する

まず、この構造は、「問題設定」「意見(問題に対する見解)」「意見の理由」という3つの要素から構成されます。そこで、この3つの要素を並べれば、とりあえず、最低限の構造が生まれます。

設計のバリエーションは、3つの要素の並べ方です。「問題設定」→「意見(問題に対する見解)」→「意見の理由」という流れがオーソドックスで、わかりやすいと思います。他方、ストーリー性を重視するなら、「問題設定」→「意見の理由(問題の検討)」→「意見(問題に対する見解)」という順序もあると思います。

b.「問題設定の背景」

次に、設定した問題への共感を得るために、「問題設定の背景」を説明することが必要です。「問題設定の背景」は、「問題設定」の近くに配置されることが通常です。したがって、「問題設定の背景」→「問題設定」と並べるか、「問題設定」→「問題設定の背景」と並べるか、どちらかです。

c.「意見の理由」の内部構造を設計する

さらに、「意見の理由」を説得的にするために、「意見の理由」に内部構造を持たせます。意見を述べる文章の構造で、一番バリエーション豊かなのは、この部分の構造ではないかと思います。

「意見の理由」の内部構造とは、理由相互間の関係性です。「意見」を支える理由は、通常、複数あります。その複数の理由は、別個独立の理由もあれば、互いに関連する理由もあります。この、独立の理由なのか、関連する理由なのか、という点を整理するのが、理由相互間の関係性の整理です。

たとえば、意見Aの理由が、a1~a10の10個だとします。この10個の理由を分析すると、根本的な理由は、積極的な理由がa1とa4、反論に対する再反論的な理由がa7だとします。そして、a2とa3は、a1の根拠、a5とa6は、a4の根拠、a8~a10は、a7の理由だとします。a1~a10の関係性がこのような形になっているなら、理由の内部構造は、以下の通り、整理できます。

結論:A

理由(1):a1

←根拠(a2、a3)

理由(2):a4

←根拠(a5、a6)

理由(3):a7(反論に対する再反論)

←根拠(a8、a9、a10)

理由をこのように整理して、グルーピングして、並び替えることが、「意見の理由」の内部構造を設計する、ということです。

(3) 番号つき項目によって、文章の構造を組み立てる

意見を述べる文章の構造を設計するには、番号つき項目を並べるという作業によって行うのがよいと思います。手順は、以下の通りです。

a.ステップ1-「問題設定」「意見(問題に対する見解)」「意見の理由」のレベルの大きな項目を作る

「問題設定」「意見(問題に対する見解)」「意見の理由」という基本3要素を、一番大きなレベルの項目(番号は、「第1」「第2」「第3」)で作成します。

第1 問題

第2 意見

第3 理由

b.ステップ2-「問題設定の背景」を加える

「問題設定」の項目に、「問題設定の背景」を加えます。「第1 問題」の項目の中に、二番目に大きなレベルの項目(番号は、「1」「2」「3」)で項目を作成します。

第1 問題

1.背景

2.ここで検討する問題

第2 意見

第3 理由

c.ステップ3-「意見の理由」の内部構造を設計する

「意見の理由」の内部構造を設計します。「第3 理由」の中に、二番目のレベルの項目(番号は、「1」「2」「3」)、三番目のレベルの項目(番号は、「(1)」「(2)」「(3)」)、四番目のレベルの項目(番号は、「ア」「イ」「ウ」)で、構造をつけます。

上に上げた具体例を使うと、以下の通りです。

第1 問題

1.背景

2.ここで検討する問題

第2 意見

第3 理由

1.a1

(1) a2

(2) a3

2.a4

(1) a5

(2) a6

3.a7

(1) 反論について

(2) 反論に対する反論=a7

ア、a8

イ、a9

ウ、a10

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