『ねじまき鳥クロニクル』→『国境の南、太陽の西』文章作成術
公開日:
:
最終更新日:2013/05/18
書き方・考え方
目次
1.『国境の南、太陽の西』は、『ねじまき鳥クロニクル』から生まれた
(1) 『国境の南、太陽の西』は、『ねじまき鳥クロニクル』第1部の一部だったらしい
村上春樹の中編に、『国境の南、太陽の西』というものがあります。私はこの小説がかなり好きなのですが、あるインタビューで、『国境の南、太陽の西』は、『ねじまき鳥クロニクル』の第1部の原稿から生まれた、ということを知りました。もともとは『ねじまき鳥クロニクル』第1部の中にあった部分を、別の物語として取り出して発展させたものが、『国境の南、太陽の西』になったそうです。
(2) 『国境の南、太陽の西』と『ねじまき鳥クロニクル』は、どちらもすごい小説だと思う
『ねじまき鳥クロニクル』から生まれた『国境の南、太陽の西』と、『国境の南、太陽の西』を生んだ『ねじまき鳥クロニクル』は、どちらも、すごい小説だと思います。私は文学のことはよくわかりませんが、私自身もおもしろく読みましたし、私はどちらの小説についても、この小説が好きだという人を複数知っています。
『国境の南、太陽の西』は、もともとは、『ねじまき鳥クロニクル』の一部分でしたが、『国境の南、太陽の西』単体で、すごい小説です。『ねじまき鳥クロニクル』は、自らの一部分を『国境の南、太陽の西』に差し出しましたが、『国境の南、太陽の西』部分以外の部分で、すごい小説です。
(3) ふたつの小説の関係から、文章作成術を考えた
このふたつの小説の関係から、文章作成術を考えました。『ねじまき鳥クロニクル』→『国境の南、太陽の西』文章作成術、と言います。
私自身、ブログの記事を書くときに、よく、この文章作成術で、記事を書いています。私は小説を書かないので、小説を書くときに使えるかどうかはわかりませんが、普通のブログ記事や自分の意見を説明する文章を書くときには、便利に使える文章作成術です。
以下、『ねじまき鳥クロニクル』→『国境の南、太陽の西』文章作成術を説明します。
2.『ねじまき鳥クロニクル』→『国境の南、太陽の西』文章作成術
(1) 大きなテーマで、書けるところまで書く
『ねじまき鳥クロニクル』の一部分から『国境の南、太陽の西』が分離しても、『ねじまき鳥クロニクル』と『国境の南、太陽の西』の両方がすごい小説として完成したことには、当初の『ねじまき鳥クロニクル』が大きなテーマを扱っていたことが寄与しているのではないかと思います。
見方によっては、当初の『ねじまき鳥クロニクル』は、まとめきれないほどのテーマを抱えていたために、その一部分を『国境の南、太陽の西』という形で外に出さざるをえなくなりました。しかし、当初の『ねじまき鳥クロニクル』が大きなテーマを扱っていたからこそ、『国境の南、太陽の西』と『ねじまき鳥クロニクル』の両方がすごい小説として完成したのだとすれば、当初の『ねじまき鳥クロニクル』がまとめきれないほどの大きなテーマを抱えて始まったことには、意味がありました。
『ねじまき鳥クロニクル』→『国境の南、太陽の西』文章作成術の肝も、当初の文章を大きなテーマで書き始めることにあります。自分がうまくまとめられる範囲のテーマやネタで書くのではなく、うまくまとめられる見通しがつかないくらいの大きなテーマで書き始めます。テーマが大きければ、その分文章を形にするのが難しいので、収拾がつかなくなるかもしれません。それでもいいから、大きなテーマで、書き始めます。そして、なかなかまとまらなくても、しばらくの間は、五里霧中であっても粘り強くがんばって、書けるところまで書きます。
(2) 一部分(『国境の南、太陽の西』部分)を切り取って、育てる
大きなテーマで書き始めて、粘り強く書けるところまで書いた結果、大きなテーマでまとまった文章が形になったら、それはそれですばらしいことで、万々歳です。『ねじまき鳥クロニクル』→『国境の南、太陽の西』文章作成術は、必要ありません。
しかし、大きなテーマで書き始めて、行き詰まったら、『ねじまき鳥クロニクル』→『国境の南、太陽の西』文章作成術の出番です。大きなテーマの『ねじまき鳥クロニクル』文章から、この部分だけならある程度まとまった文章になりそうだ、という箇所を、切り取ります。ここが、『国境の南、太陽の西』のもととなる部分です。
切り出された『国境の南、太陽の西』部分は、もともとの文章よりも小さなテーマなので、その分、まとまりをつけやすいはずです。この部分に手を入れて、ひとつのまとまった文章へと育てるのも、もともとの文章よりは簡単です。
(3) 壮大な方(『ねじまき鳥クロニクル』部分)を育てる
一部分を切り取って別の文章にすると、元々の文章、壮大なテーマを掲げた文章は、若干、すっきりします。その文章で扱わなければいけないテーマが、少し軽くなりました。その分、まとまりをつけるのが簡単になりますので、あらためて、『ねじまき鳥クロニクル』部分を完成させるべく、がんばります。
ただし、それでもまだテーマが大きくて、行き詰まってしまったら、再度、『国境の南、太陽の西』部分を切り出せばよいです。いつかは、『ねじまき鳥クロニクル』部分にもまとまりがつくときがやってきます。
3.アウトプットを繰り返すことで、前に進む
『ねじまき鳥クロニクル』→『国境の南、太陽の西』文書作成術が大切にするのは、アウトプットの数をこなすことです。大きなテーマで書き始めて、行き詰まったときは、その大きなテーマの文章を書くことから生まれた、ちょっと小さなテーマの文章を、どんどんアウトプットします。そうすることで、ちょっと小さなテーマの文章をたくさん生み出すことができるのと同時に、大きなテーマも完成に近づきます。
『ねじまき鳥クロニクル』→『国境の南、太陽の西』文章作成術は、特に、ブログの記事を書くときに、とても大きな力を発揮します。大きなテーマで記事を書こうとして、なかなか完成に至らなくて苦労しているときは、『ねじまき鳥クロニクル』→『国境の南、太陽の西』文章作成術を使えば、ちょっとだけ前に進むかもしれません。
スポンサードリンク
関連記事
-
-
ドラクエのレベル上げと現実世界の自分育成との重要な違い
1.ドラクエのレベル上げと現実世界で自分を育てることは、似て非なるもの (1) ドラクエのレベル上
-
-
能力の相互干渉がある:ドラクエのレベル上げと現実世界との重要な違い(4)
1.もうちょっと続けます 先日、ふと思いついて、ドラクエのレベル上げと現実世界の自分育成の違いを考
-
-
WorkFlowyについて語るときに僕の語ること
走ることについて正直に書くことは、僕という人間について(ある程度)正直に書くことでもあった。途中から
-
-
煽らず、脅さず、地に足の着いた希望を示し、行動を生み出す本『ゼロから始めるセルパブ戦略』(倉下忠憲)
1.はじめに 読みました。 『ゼロから始めるセルパブ戦略: ニッチ・ロングセール・オルタナティブ (
-
-
500番目の記事に、「単純作業に心を込めて」でやりたいことを見つける(ブログで考え合う)
1.500番目の記事は、「単純作業に心を込めて」を続けてきたことの成果だった (1) 500番目の
-
-
まさに『数学文章作法 練習問題編』!結城浩先生の『文章教室』がすごい。
1.最短バージョン 結城浩先生のウェブサイトのコンテンツである『文章教室』は、読みやすい文章を書く
-
-
レポート課題に対して、どのようにレポートを作成し、提出すればよいか
0.まとめ レポート課題に取り組むときには、以下の3つの当たり前なことを大切にするとよい。
-
-
WorkFlowyを、赤坂シナモンの地下迷宮みたいにしたい(その1)
1.『ねじまき鳥クロニクル』赤坂シナモンが統べるコンピューターの地下迷宮 『ねじまき鳥クロニクル』の
-
-
WorkFlowyは、文書作成に、どんな革命をもたらすか?
1.はじめに(Amazonの「文書作成ソフト」ランキング) 2016年1月29日、『クラウド時代の思
-
-
「文章群を書き続ける」というあり方が、「考える」を促す
1.「考えたい。でも、そのために何をしていいか、わからない。」 『知的生産の技術』や『思考の整理学』