*

ドラクエのレベル上げと現実世界の自分育成との重要な違い

公開日: : 書き方・考え方

1.ドラクエのレベル上げと現実世界で自分を育てることは、似て非なるもの

(1) ドラクエのレベル上げも、現実世界で自分を育てることも、どちらも好き

小中学生のころ、私は、ドラクエが好きでした。

ドラクエが好きだったポイントはいくつかあると思うのですが、そのひとつは、レベル上げでした。例の、「テレレレテッテッテー」というテンション上がる音楽が鳴り響くと、それまでは使えなかった呪文を使えるようになったり、倒すのに苦労していた敵をサクッと倒せるようになったりするのは、爽快でした。

でも、その後、大学生になって、私は、ドラクエのレベル上げよりも楽しいことを発見しました。それは、現実世界での自分育成でした。

大学時代は、ある意味、成長期です。有り余る自由な時間を使って、自分をどんなふうに育てるのか、いろいろと試行錯誤できます。私には、それがとても楽しく感じられました。ランニングをして体力つけたり、本を読んで知識を得たり、パソコンの使い方やHTMLを覚えたりして、自分を育てることを楽しんでいました。

(2) 共通するところはあるけれど、重要な違いがある

そんなふうに自分を育てることを楽しんでいた大学生のころ、私は、現実世界で自分を育てることは、ドラクエのレベル上げと、かなり共通する、と考えていました。そのため、現実世界で自分を育てることを、ドラクエのレベル上げのイメージで捉えていました。

でも、最近は、ドラクエのレベル上げと現実世界の自分育成は、いろいろちがうんだな、と気づきました。

現実世界で自分を育てることを効果的に進めるためには、ドラクエのレベル上げとどんな点で違うのかを、きちんと自覚する必要があります。そこで、ドラクエのレベル上げと現実世界の自分育成との間には、どんな違いがあるのだろうか、と考えてみたら、ひとつの重要な違いに気づきました。

それは、「経験値が対象だけで決まるわけではない」ということです。

以下、このことを考えてみます。

2.経験値が対象だけで決まるわけではない

(1) ドラクエのレベル上げは、経験値が、対象だけで決まる

ドラクエでレベルを上げるには、経験値をためる必要があります。経験値は、基本的には、敵を倒して獲得します。そのため、ドラクエでレベルを上げるには、敵を倒すのが基本です。

この経験値ですが、ドラクエでは、どの敵を倒したかによって、得られる経験値があらかじめ決まっています。たとえば、スライム1匹を倒したときに獲得できる経験値は、1です。スライムを倒したなら、どのように倒しても、得られる経験値は1です。

そのため、ドラクエのレベル上げを効率的に進めるには、どの敵を倒すか、が大事です。

たとえば、はぐれメタル1匹を倒せば、10050の経験値がもらえます。はぐれメタルを1匹倒すのは、スライム10050匹倒すことに匹敵します。

他方で、どのように倒すかは、重要ではありません。コツコツダメージ1を積み重ねても、まじんのオノで倒しても、メダパニで混乱させて同士討ちさせても、はぐれメタルを倒したなら、同じだけの経験値がもらえます。

このように、ドラクエのレベル上げは、経験値が、対象だけで決まります。レベル上げのために決定的に大切なのは、対象の選択です。

(2) 現実世界の自分育成は、対象が同じでも、経験値が同じとは限らない

これに対して、現実世界の自分育成は、対象が同じでも、そこから得られる経験値が異なる場合があります。現実世界の自分育成では、経験値を決めるのは、対象だけではないからです。

a.「どのように」対象を経験したか

経験値に大きな違いをもたらすひとつの要素は、「どのように」対象を経験したか、です。

現実世界では、武器で倒したのか、呪文で倒したのか、会心の一撃で倒したのか、毒針で倒したのかによって、経験値が変わります。対象を経験するために用いた道具や手段が違えば、そこから得られる経験値は、異なります。

さらに、どんな問題意識を持って倒したのかによっても、経験値が変わります。倒したのがスライム1匹であっても、「今日は、檜の棒をどんなふうに使ったらダメージをたくさん与えられるかを試行錯誤してみよう。」という問題意識を持って倒せば、経験値は10にも20にもなります。

b.対象を経験した「その後」、何をしたか

経験値に大きな違いをもたらすもうひとつの要素は、対象を経験した「その後」に、何をしたか、です。

現実世界では、倒したのがスライムだとしても、その後の行動によって、そこから得られる経験値を大きくできます。

たとえば、スライムを倒した後で、仲間内で反省会をしたり、倒したスライムを観察して記録したりすれば、得られる経験値が増えます。

(3) 現実世界での自分育成で気をつけるポイント

現実世界では、経験する対象を自分で選べない場面が、しばしばあります。特に、会社員なら、経験する対象を自分で決められるのは、むしろまれです。

たいていは、今日やるべき仕事の内容は決まっていますし、出席するセミナーや勉強すべき分野、合格しなきゃいけない試験も決められています。

でも、経験する対象が決まっていても、現実世界では、その対象を経験することで得られる経験値は、一定ではありません。自分がその対象をどのように経験するかや、自分がその対象を経験した後で何をするかによって、経験値を10倍、20倍に増やすことができます。(反対に、0倍にしちゃうこともあり得ます。)

現実世界で自分を育てるときは、ドラクエのように対象ごとに経験値が決まっていないことを肝に銘じて、どのように経験するかと、経験したその後に何をするかを、できるだけ意識していたいなと思います。

スポンサードリンク

関連記事

no image

私は、こんな道具を使って、文書を作りたい。(その3・「切り出し」による文書作成)

WorkFlowyやUlyssesからヒントを得て、「私は、こんな道具を使って、文書を作りたい。」と

記事を読む

no image

読者のことを考えるって、こういうことだったのか!結城浩著『数学文章作法 基礎編』(ちくま学芸文庫)

1.『数学文章作法 基礎編』は、考えを読者に伝えることを目的とする文章を書くための、新定番 (1)

記事を読む

no image

当事者意識を活用する

1.当事者意識とはなにか 「当事者意識」は、私にとって大切なものです。自分にとって大切な領域において

記事を読む

no image

文章の個数(WorkFlowyで文章を書くこと)

1.文章の個数は仮のもの WorkFlowyで文章を書くようになって実感したことは、「文章の個数は

記事を読む

no image

「なぜ」&「どのように」と「説明の尺度」〜『わかりやすく説明する練習をしよう』(1)

1.『わかりやすく説明する練習をしよう』 (1) 『わかりやすく説明する練習をしよう』 『わかり

記事を読む

no image

粘土のようなアウトライナー、ブロックのようなEvernote。

1.ずっと完成しないで変化し続ける有機体から暫定的な作品群を切り取ること 先日、こんなことを書きまし

記事を読む

no image

「着想」→「連想」→「整想」という発想の3プロセスと、「いきなり「整想」発想法」

1.『Evernoteとアナログノートによるハイブリッド発想術』の肝は、「整想」をカバーしていること

記事を読む

no image

大学受験勉強にのぞむ4つの基本戦略

1.はじめに 高校生の子どもを持つ知人から、その子に大学受験の受験勉強のコツを教えてくれと頼まれま

記事を読む

no image

ていねいに書き直すために時間とエネルギーがかかるのはあたりまえ~『文章教室』第8回の感想

1.『文章教室』の中で、とりわけ第8回が思い出深い (1) 『文章教室』完結! 『文章教室』は、

記事を読む

no image

『文章教室』を『数学文章作法 練習問題編』として使う。

1.『数学文章作法 基礎編』(結城浩著・ちくま学芸文庫)で学んだその後に、何をすべきか? (1)

記事を読む

スポンサードリンク

スポンサードリンク

no image
お待たせしました! オフライン対応&起動高速化のHandyFlowy Ver.1.5(iOS)

お待たせしました! なんと、ついに、できちゃいました。オフライン対応&

no image
「ハサミスクリプト for MarsEdit irodrawEdition」をキーボードから使うための導入準備(Mac)

諸事情により、Macの環境を再度設定しています。 ブログ関係の最重要は

no image
AI・BI・PI・BC

AI 『〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則』を読

no image
[『サピエンス全史』を起点に考える]「それは、サピエンス全体に存在する協力を増やすか?」という評価基準

1.「社会派」に対する私の不信感 (1) 「実存派」と「社会派」 哲学

no image
[『サピエンス全史』を起点に考える]サピエンス全体に存在する協力の量と質は、どのように増えていくのか?

『サピエンス全史』は、大勢で柔軟に協力することがサピエンスの強みだと指

→もっと見る

  • irodraw
    彩郎 @irodraw 
    子育てに没頭中のワーキングパパです。1980年代生まれ、愛知県在住。 好きなことは、子育て、読書、ブログ、家事、デジタルツールいじり。
    このブログは、毎日の暮らしに彩りを加えるために、どんな知恵や情報やデジタルツールがどのように役に立つのか、私が、いろいろと試行錯誤した過程と結果を、形にして発信して蓄積する場です。
    連絡先:irodrawあっとまーくtjsg-kokoro.com

    feedlyへの登録はこちら
    follow us in feedly

    RSSはこちら

    Google+ページ

    Facebookページ

PAGE TOP ↑