社会人になって学んだ3つのこと
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仕事の方法論
1.できる社会人になるための3つのアドバイス
Chikirinの日記に、新社会人へのアドバイスが載ってました。この高度資本主義社会における企業で働き始める新社会人に対しての、できる社会人になるための、王道のアドバイスではないかと思います。
Chikirinさんからのアドバイスは、次の3つです。
(1) 努力が報われると思うな
評価されるのは努力じゃなくて成果。
努力をほめて、じゃだめですよ、ということです。
(2) 失敗した時が最大のチャンス
失敗した時こそ、自分への評価を高めるための最大のチャンス。
失敗したときに、逃げずに対処することで、逆に自分の評価が高まりますよ、という話。転んでもただでは起きない、受領は倒るる所に土を掴め、的な感じですね。
(3) 上司じゃなくて、市場に評価される人に
何度も書いてるけど、評価されるべきは市場。
せまい会社内の上司に評価されるよりも、もっとひろい市場に評価される人にならないと、この先生きていけないよ、という感じです。
2.働き続けるための3つのアドバイス
いずれもごもっともで、反論はありません。でも、エントリタイトルの「社会人になって学んだ3つのこと」という観点で、自分のことをふり返ると、それぞれ、多少別の視点もありえます。
いずれも、Chikirinさんのアドバイスよりも、緩くて甘いです。こんなアドバイスを真に受けると、この高度資本主義社会で活躍することはできないかもしれません。でも、少なくとも私自身にとっては、自分が働き続けるために、どれも大切な観点です。
(1) 上司には、努力の過程を見せた方がよい
Chikirinさんもおっしゃるとおり、評価されるべきは努力じゃなくて成果です。
でも、だからといって、努力を見せちゃだめだ、努力は隠すべきだ、と思う必要はありません。むしろ、上司に対しては、努力の過程を見せた方がよいです。
理由はふたつあります。
a.上司が部下をマネジメントする
ひとつは、上司が部下をマネジメントするときの要請です。
部下が努力の過程を隠すと、上司からは、部下のキャパシティが見えにくくなります。その結果、上司が部下に無理を強いてしまったり、逆に物足りない仕事を振ってしまったり、ということになります。部下に無理がたまることも、部下が力を発揮しないことも、チーム全体としてもマイナスです。
たいていの上司は、部下に無理を強いることも、部下の力を発揮させないことも、望みません。でも、このためには、部下がどれくらい努力しているかを認識する必要があります。
この観点から、上司には、自分の努力の過程を見せた方がよいです。
b.上司が部下を指導する
もうひとつは、上司から部下への指導の場面です。
上司から部下に対する指導がうまく機能するには、指導のポイントを外さないことが大切です。上司がこのポイントを捉えるためには、部下が苦労したところや部下が力を注いだところを知ることが大切です。つまり、部下の努力の過程が見えれば、上司は、部下に対する指導のポイントを掴みやすくなります。
ひとつの仕事においては、評価されるべきは成果です。努力の過程はどうでもよいです。
でも、その部下自身の成長を考えると、上司は、部下の努力の過程を見たいと思います。
この観点からも、上司には、努力の過程を見せた方がよいと、私は思います。
(2) 失敗した後は無理しないで、むしろ成功した後にきちんとやればいい
a.失敗したときにいちばん大切なのは、ダメージから回復すること
失敗したときの対応で差がつくこと、失敗したときこそ逃げずにきちんと対応することで、評価が上がること。これもそのとおりです。
でも、「逃げずにきちんと対応する」を失敗したときのあるべき対応とすると、追い込まれます。
失敗したときは、ダメージを受けています。ダメージを受けたときにまず大切なのは、ダメージから回復することです。そのために大切なのは、失敗したら、その失敗を諦めて、とりあえず無理しない、ということではないかと思います。
b.失敗した後の対処法の考え方で、ダメージから回復できるなら、問題ないけれど……
失敗した後の対応によって自分の評価を上げる、という考え方をすることで、失敗のダメージから一気に回復できることもあります。それならそれで、全然問題ありません。そのように考えたらよいです。
でも、失敗した後の対応によって自分の評価を上げる、とい考え方は、諸刃の剣です。失敗した後で、「逃げちゃだめだ、ここからの対応が問われているんだ!」と自分に言い聞かせすぎると、これがプレッシャーになって、失敗のダメージがより大きくなることもあります。
つまり、失敗してダメージを受け、その後、理想の対応ができずに、重ねてダメージを受け、という状態に陥る可能性があります。
c.失敗したときは無理せずに、むしろ成功したときにきちんとすればよい
失敗したときにいちばん大切なのは、無理しないで、失敗のダメージを回復することです。失敗した後は、無理しなくてもよいです。
私の結論はそれだけですが、「そんなんじゃ甘すぎる、同期に差をつけられてしまうではないか」と焦るのであれば、失敗したときではなく、成功した後の対応を考えるとよいのではないかと思います。
失敗した後は、誰でも反省します。でも、成功した後は、多くの人は、ふり返ったり記録したりしません。なので、うまくいったとき、成功したときに、その成功体験からきちんと得るものを得る、ということを心がけると、それがひとつの強みになります。
失敗したときは無理しないで、成功したときにきちんとする。これもひとつの失敗との向き合い方です。
(3) 何かから評価されることは目標にせず、自分が生み出せる価値に着目する
a.より広い基準に評価されることを目指す方が、合理的
Chikirinさんは、上司から評価されるのではなく、市場から評価される人になろう、とおっしゃいます。ごもっともです。
社内の上司という評価基準の外側には、市場という、社内よりも広い基準が存在しています。上司に評価されることを考えるよりも、その外側の市場で評価される人を目指した方が、合理的です。
b.そもそも論として、他者からの評価よりも、自分が生み出せる価値に着目
でも、これとは別の観点も大切ではないかと思います。
それは、何かから評価されることを目標とすることそのものをやめる、ということです。上司から評価されるか、市場から評価されるか、というのは、いずれも、他者からの評価を目標としている点で、共通します。
これに対して、他者からの評価をそもそも目標としない、という観点もありえます。そして、場合によっては、この方が楽です。
他者からの評価を目標としない場合、いったい何を指針とすることができるのか。いろいろあるとは思うのですが、私は、社会人として健全な指標は、「自分が生み出せる価値」ではないかと思います。
自分は、働くことによって、どんな価値を生み出せているのか。これを意識しながら働くことは、他者からの評価を気にしないで、それでもある程度の高みを志しながら働くための、便利な考え方です。
3.まとめ
Chikirinさんのアドバイスは、次の3つです。高度資本主義社会において、末永く活躍できる人材になるためには、ぜひ従うべきよいアドバイスです。
- (1) 努力が報われると思うな
- (2) 失敗した時が最大のチャンス
- (3) 上司じゃなくて、市場に評価される人に
私のアドバイスは、次の3つです。かなり甘っちょろいアドバイスなので、このアドバイスに従っても、大活躍できる人材にはなれない気もします。
でも、社会人として働き続けるためには、ある程度役に立つのではないかと思います。
- (1) 上司には、努力の過程を見せた方がよい
- (2) 失敗した後は無理しないで、むしろ成功した後にきちんとやればいい
- (3) 何かから評価されることは目標にせず、自分が生み出せる価値に着目する
いずれにせよ、社会で働くのは、楽しいことです。一緒にいろいろと試行錯誤していきましょう。
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