*

文章を書く練習の効果を上げるための3条件

公開日: : 最終更新日:2013/06/15 書き方・考え方

1.練習すれば、文章を書く力は、上がる

文章を書く力は、天賦の才ではなく、意図的に鍛えることができます。鍛えるために必要なのは、基本の理論を知った上で、練習することです。テニスのサーブやバスケのシュートと同じです。

文章の基本理論は、いろんなところに書かれているので、定評のある本を何冊か読めば、それで十分のはずです。あとは練習なのですが、練習の効果を上げるには、次の3つの条件を意識するとよいと思います。

2.効果的な練習のための3条件

(1) 誰かに何かを伝えるために書く

まず、誰かに何かを伝えるために書く、ということです。

文章は、自分のためだけに書くこともできます。たとえば、日記は、自分のために日々を記録したり、自分の頭や心を整理するために書くものです。

自分のためだけに書く文章にも、価値があります。しかし、文章を書く練習の効果は、自分のためだけに書く文章を書いて練習するよりも、誰かに何かを伝えるための文章を書いて練習する方が、高いと思います。

この理由は、誰かに何かを伝えるための文章を書くと、文章の読み手を想像するからです。文章の読み手を想像すると、言葉の選び方や文の並び順、段落分けや項目分けを工夫します。どうすればもっとわかりやすくなるだろうか、この文章は誤解されないだろうかと、いろいろ試行錯誤します。この工夫と試行錯誤が、文章を書く練習になります。

(2) ひとつのテーマとひとつの結論を持った文章を書く

次に、ひとつのテーマとひとつの結論を持った文章を書く、ということです。

a.テーマと結論を持つ文章を書く

文章は、テーマと結論を持つ文章と、持たない文章に分かれます。

夏休みの日記は、テーマと結論を持たない文章です。エッセイや小説も、テーマと結論を持たない文章です。

これに対して、新聞の社説は、テーマと結論を持つ文章です(一応、そういわれています)。企画書や論文も、テーマと結論を持つ文章です。

文章を書く練習は、テーマと結論を持つ文章から始める方がおすすめです。理由はふたつあります。ひとつは、テーマと結論を持つ文章には、比較的、一定のルールがあるので、文章を書く力を具体的なスキルとして把握しやすいことです。もうひとつは、テーマと結論を持つ文章は、実用的なので、テーマと結論を持つ文章を書く練習をする方が役に立つことです。

b.ひとつのテーマとひとつの結論を持つ文章を書く

テーマと結論を持つ文章の中でも、特に練習向けなのは、ひとつのテーマとひとつの結論を持つ文章です。

ひとつの文章が、複数のテーマと複数の結論を持つことがあります。特に、長い文章は、複数のテーマと複数の結論が組み合わさってできていることが多いです。

しかし、少なくとも練習としては、ひとつのテーマとひとつの結論を持つ文章の方がよいと思います。ひとつのテーマとひとつの結論の文章は、いわば文章の基礎です。文章の基礎をきちんと繰り返し練習して身につけることで、ひとつのテーマとひとつの結論の文書を組み合わせて、複数のテーマと複数の結論を持つ文章を書く力を鍛えることができます。

(3) 推敲を繰り返す

最後に、推敲を繰り返す、ということです。

推敲は、文章の自己添削です。自己添削には、いくつかの視点があります。

まず、言葉を選ぶことです。推敲の故事そのままですが、「推す」か「敲く」かのどちらがいいかというたぐいの選び方もあります。また、「という」とか「ような」とかを削ったり加えたりする選び方もあります。

次に、並び順です。言葉の並び順や文の並び順、段落の並び順を変えると、文章のわかりやすさや説得力は大きく変わります。いろいろと並び替えてみることで、ベストな並び方を試すのも、大切な推敲です。

それから、分け方です。文の分け方、段落の分け方、項目の分け方を変えます。長すぎるのもよくないですが、短ければよいというものでもありません。

このように、言葉の選んだり、並び順を変えたり、分け方試したりして、自分が書いた文章を自己添削するのが、推敲です。同じ単語からなる文章でも、言葉の選び方や単語・文の並び順、分け方・まとめ方によって、わかりやすさや説得力が、全然違います。推敲を繰り返すことで、どんな言葉を選んで、どんな順番で文を並べて、どんな項目を作るとよいのか、少しずつ、身につきます。

3.練習する場所を確保する

練習の効果を上げるための3条件をまとめると、次の3つです。

  1. 誰かに何かを伝えるために書く(読み手を想像して書く)
  2. ひとつのテーマとひとつの結論を持った文章を書く
  3. 推敲を繰り返す(言葉の選び方、並び順、分け方を自己添削する)

これら3条件を満たして、文章を書けば、書いた分だけ、文章を書く力を鍛えることができます。そうなると、大切なのは、この3つの条件を満たして文章を書く場所を確保することです。ブログでもメールでも投書でも授業でも何でもよいので、練習する場所を確保できれば、練習の効果は、確実に上がるはずです。

スポンサードリンク

関連記事

no image

なにかおもしろいことができる自分の場所を育てる。『「Chikirinの日記」の育て方』を読んだその後。

1.『「Chikirinの日記」の育て方』から得た「なにかおもしろいことができる自分の場所を育てる」

記事を読む

no image

「WorkFlowyで本を書いた人からの手紙」

1.はじめに こんにちは。少しずつ暖かくなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。 先日さし上げた

記事を読む

no image

仮説としての「問い・答え・理由」によって、思考の範囲を区切る(私のトップダウン型思考)

1.はじめに (1) 私のトップダウン思考と、Tak.さんのボトムアップ思考 杭を打てば垣根がで

記事を読む

no image

WorkFlowyについて語るときに僕の語ること

走ることについて正直に書くことは、僕という人間について(ある程度)正直に書くことでもあった。途中から

記事を読む

no image

「オブジェクト型ワード・プロセッサ」という夢と、その実現

1.大学生のときに共感した「オブジェクト型ワード・プロセッサ」の夢と、その後の10年 (1) 「オブ

記事を読む

no image

文章をアウトプットする仕組み

1.インプットとアウトプットとの関係 情報との接し方には、インプットとアウトプットがあります。ひとつ

記事を読む

no image

『文章教室』(結城浩)練習問題実践記録・第9回「接続詞をうまく使いましょう」

この文章は、結城浩先生の『文章教室』に取り組んだ記録です。 →文章教室 第1回~第8回の記録は、

記事を読む

no image

研究者が考察を深める仕組み:「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」

1.研究者の道を真剣に検討したことで、何を得たか 私事ですが、学生時代に自分の生業を考えていたとき

記事を読む

no image

粘土のようなアウトライナー、ブロックのようなEvernote。

1.ずっと完成しないで変化し続ける有機体から暫定的な作品群を切り取ること 先日、こんなことを書きまし

記事を読む

no image

思考の筋道をたどることのできる文章を書くための日本語文章力

1.どんな文章を目指すか 私は、日本語文章力を鍛えたいと考えています。仕事においても、普段の暮らし

記事を読む

スポンサードリンク

スポンサードリンク

no image
お待たせしました! オフライン対応&起動高速化のHandyFlowy Ver.1.5(iOS)

お待たせしました! なんと、ついに、できちゃいました。オフライン対応&

no image
「ハサミスクリプト for MarsEdit irodrawEdition」をキーボードから使うための導入準備(Mac)

諸事情により、Macの環境を再度設定しています。 ブログ関係の最重要は

no image
AI・BI・PI・BC

AI 『〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則』を読

no image
[『サピエンス全史』を起点に考える]「それは、サピエンス全体に存在する協力を増やすか?」という評価基準

1.「社会派」に対する私の不信感 (1) 「実存派」と「社会派」 哲学

no image
[『サピエンス全史』を起点に考える]サピエンス全体に存在する協力の量と質は、どのように増えていくのか?

『サピエンス全史』は、大勢で柔軟に協力することがサピエンスの強みだと指

→もっと見る

  • irodraw
    彩郎 @irodraw 
    子育てに没頭中のワーキングパパです。1980年代生まれ、愛知県在住。 好きなことは、子育て、読書、ブログ、家事、デジタルツールいじり。
    このブログは、毎日の暮らしに彩りを加えるために、どんな知恵や情報やデジタルツールがどのように役に立つのか、私が、いろいろと試行錯誤した過程と結果を、形にして発信して蓄積する場です。
    連絡先:irodrawあっとまーくtjsg-kokoro.com

    feedlyへの登録はこちら
    follow us in feedly

    RSSはこちら

    Google+ページ

    Facebookページ

PAGE TOP ↑