『「できる人」はどこがちがうのか』→自分なりの「上達の秘訣」を育てている
公開日:
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最終更新日:2014/07/02
仕事の方法論
目次
1.「できる人」は、自分なりの「上達の秘訣」を持っている
(1) 下手くそな状態から上達するまでの道筋を確信を持って思い描けるか?
何か新しいことを始めるとします。
HTMLではなくマークダウン記法を使おう、自分がほしいiPhoneアプリを自分で作ろう、AppleScriptを自分で組もう、フットサルの試合に出よう、マンドリンを演奏しよう、……。なんでもよいです。
新しいことを始めた最初の段階では、だれもが下手くそです。その、下手くそな最初の段階で、自分に対して次の2つの質問を投げかけるとします。
Q1 新しく始めたそのことについて、「自分は上達する」という確信を持っているか?
Q2 新しく始めたそのことについて、「上達への道筋」を具体的に思い描くことができるか? まずなにをして、次になにをするかを言葉にして、実践できるか?
どちらの質問にも「はい」と即座に肯定できるなら、なんに問題もありません。でも、そうでないなら、『「できる人」はどこがちがうのか』から、何かしらのヒントをもらえるはずです。
(2) 『「できる人」はどこがちがうのか』
『「できる人」はどこがちがうのか』は、齋藤孝先生の初期の名作です。
齋藤孝先生は、いまでこそ、多数のヒット作を持つビジネス書の著者としての顔を持っています。でも、『「できる人」はどこがちがうのか』が出版された2001年、齋藤孝先生は、ビジネス書の著者ではありませんでした。そして、ご本人も、ご自身がその後多数のビジネス書を著すとは考えていなかったのではないかと推測します。
そのためか、齋藤先生は、あらん限りのノウハウや考え方を、『「できる人」はどこがちがうのか』に詰め込んみました。『「できる人」はどこがちがうのか』には、齋藤先生がその後の多数の著書で展開される方法論や考え方の原石が、高密度でつめ込まれています。
『「できる人」はどこがちがうのか』は、まちがいなく、齋藤孝先生の最高傑作のひとつです。
(3) 「上達の秘訣」を育てる
さて、この『「できる人」はどこがちがうのか』が検討するテーマは、そのタイトルのとおり、『「できる人」はどこがちがうのか』です。
齋藤先生は、「上達の秘訣」だと答えます。
些細なことでもいい。そこでの上達の経験を、普遍化しつつ他の領域の上達法へと応用していけることが、「できる人」とそうでない人との違いであると考えた。location 2415
「できる人」は、自分なりの「上達の秘訣」を持っています。この「上達の秘訣」は、特定の領域だけに通用するものではなく、幅広い領域に通用する普遍的なものです。
ある領域で上達した経験から、自分なりの「上達の秘訣」を抽出し、他の領域で上達することに応用できることが、「できる人」の強みです。
「できる人」は自分なりの「上達の秘訣」を持っているので、どんなことを新しく始めても、上達への具体的な道筋を見ることができます。また、いずれは自分が上達することを確信できます。
2.「できる人」は、自分なりの「上達の秘訣」を育てる
『「できる人」はどこがちがうのか』の中には、「上達の秘訣」の具体例がいくつも紹介されています。しかし、同書の中で、もっとも大切なのは、個々の具体的な「上達の秘訣」ではなく、自分なりの「上達の秘訣」を育てる、という考え方です。
諸活動をバラバラな意識で行うのではなく、それらを通して上達のコツを摑まえるという目的意識をもって行う。こうした上達の普遍的論理への意識を喚起し続けるのが、親や教師の主な役割なのである。location 58
「できる人」は、自分なりの「上達の秘訣」を意識しています。「上達の秘訣」は普遍的なものなので、いろんな領域に応用可能です。ですから、「できる人」は、どんなことに取り組んでいても、常にそこから「上達の秘訣」を引き出し、自分なりの「上達の秘訣」へ統合することを習慣化しています。
どのようなジャンルのことを行っているにしても、常にそこから「上達の普遍的な論理」を引き出してくるように意識する習慣 location 82
「どのようなジャンルのことを行っているにしても、常にそこから「上達の普遍的な論理」を引き出してくるように意識する習慣」。この習慣を身につければ、どんな領域の活動をしていても、その領域の活動が他の領域にプラスの影響を与えます。この点で、この習慣は、とても強力です。
自分なりの「上達の秘訣」を育てることを意識する習慣。この強力な習慣への意識を喚起してくれることが、『「できる人」はどこがちがうのか』が名著たる、いちばんの理由です。
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