思考の枠組みを活用することで、考えることを具体的な作業にする
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書き方・考え方
目次
1.まとめ
(1) テーマ
考えることから、一定レベルのアウトプットを安定して生み出すには、どうしたらよいか。
(2) 結論
思考の枠組みをうまく活用するとよい。
(3) 理由
思考の枠組みに沿って、順序立てて思考を進めれば、何らかの成果が生まれる。
たとえば、『武器としての決断思考』(瀧本哲史)に解説されている「メリット・デメリット」という思考の枠組みを活用すれば、何らかの判断を下すために、確実に前進することができる。
有用な思考の枠組みに従って、ひとつずつ丁寧にその枠組みに沿って進んでみると、考えれば考えた分だけ、前に進むことができる。思考の枠組みを活用することで、考えることは、具体的な作業になる。
2.考えることと成果
私は、考えることが好きです。しばしば、とりとめもなく考えたり、考えを文章という形にして、楽しんでいます。このような考える行為は、いわば考えることそれ自体が目的なので、考えることから何らかの成果を生み出す必要はありません。
しかし、考えることそれ自体が目的であることはむしろ少なく、多くの場合、考えることは、何らかの成果を期待されているのだと思います。何らかの解決するべき問題があって、その回答を見つけるために考える。あるいは、AかBかの決断が求められていて、どちらを選択するべきかを、考える。
これらの、成果を期待されている場面では、考えるという行為から、何らかの成果を生み出す必要があります。とはいえ、考えるというのは、抽象的な行為なので、考えることが成果につながっているのかがわからず、五里霧中となることもしばしばです。
考えることを安定して成果につなげるためには、どうしたらよいか。この問いに対する私なりの答えは、思考枠組みをうまく活用すればよい、というものです。思考枠組みをうまく活用すれば、考えれば考えただけ、成果に近づくことができるようになります。
3.思考の枠組みを活用すること
(1)思考の枠組に沿って考える
では、「思考の枠組みをうまく活用する」とは、どういうことでしょうか。抽象的に言えば、有用な思考枠組みを丸呑みして、素直に、愚直に、丁寧に、思考枠組みに沿った思考を進めていく、ということだと思います。
(2)思考の枠組みの一例 『武器としての決断思考』より
有用な思考枠組みの例を挙げるのが一番早いので、『武器としての決断思考』(瀧本哲史)から、「メリット・デメリット」という思考の枠組みを引用します。
この本の「3時間目 どんなときも「メリット」と「デメリット」を比較する」(p.99~)では、「●●をするべきか、否か」という形の特定の論題について、決断を下すときに、どのような思考をとればよいか、を解説しています。その思考の枠組みは、以下の通りです。
(1)当該行動(●●)をとったときメリットとデメリットを比較して、メリットがデメリットよりも大きければ、当該行動をとる。逆に、メリットがデメリットよりも小さければ、当該行動をとらない。
(2)メリット・デメリットは、それぞれ、以下の3条件を満たさなければいけない。
【メリットの3条件】
- 内因性(何らかの問題があること)
- 重要性(その問題が深刻であること)
- 解決性(問題がその行動によって解決すること)
【デメリットの3条件】
- 発生過程(論題の行動を取ったときに、新たな問題が発生する過程)
- 深刻性(その問題が深刻であること)
- 固有性(現状ではそのような問題が生じていないこと)
(3)思考の枠組みを活用することによって、考えることは、具体的な作業になる
何かをするかしないかを考えるときに、ただ漠然とその事柄を考えるよりも、上記枠組みに沿って考えた方が、安定した成果が生まれます。少なくとも、この枠組みに素直に従えば、考えることに時間を費やしただけ、自分の考えは前に進みます。
思考の枠組みをうまく活用すれば、考えるということは、とらえどころのない抽象的な行動ではなく、手を動かすことで前に進んでいく具体的な作業になります。
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