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Evernoteは「大きな引き出し」。「しまう」と「響く」

1.「しまう」と「響く」

恩田陸さんの『光の帝国』に、「大きな引き出し」という短編が収録されています。自分の中に「大きな引き出し」を持っていて、膨大な書物を記憶することができるという、ちょっと不思議な能力を持つ、春田家の皆さんのことを描いた物語です。

光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)
恩田 陸
集英社
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私は、この短編のなかに出てくる「しまう」と「響く」という概念がとても好きで、何かを体験するときは、この概念を大切にしています。

「しまう」と「響く」

私は、村上春樹の小説を読むときも、三谷幸喜の映画を見るときも、ミスチルのライブに行くときも、大学で講義をするときも、その体験を自分の中に「しまおう」としています。

でも、私は春田家の皆さんではないので、自分の中の引き出しは、そんなに大きくありません。春田家の皆さんのように、自分の中に「大きな引き出し」があったらいいのになと思っていました。

2.Evernoteは「大きな引き出し」

(1) Evernoteは「大きな引き出し」

話は変わって、Evernoteです。

Evernoteは、私が大好きな5つのクラウドサービスのひとつで(残りの4つは、Gmail、Googleカレンダー、Toodledo、Pocket)、すべてを記憶するオンラインメモです。

Evernote | Evernote、Skitch、その他のファミリーアプリですべてを記憶。

私は、3年半前にアカウントを作って、2年ちょっと前から本格的にEvernoteを使い始めました。今では、Evernoteは、私のWindowsパソコンで、Google Chromeと並んでもっとも使用頻度が高いアプリケーションです。

このEvernoteなのですが、最近、Evernoteは私にとっての「大きな引き出し」なのではないかと感じています。

すべてを記憶するEvernoteなら、自分が体験したことの多くを「しまう」ことができます。

また、Evernoteの中に「しまった」自分の体験は、常にこのEvernoteという「大きな引き出し」の中にあって、何かのきっかけで、しばしば「響く」ことがあります。

(2) 子育てをEvernoteに「しまう」と、ときどき「響く」

たとえば、私たち夫婦は、子どもの成長記録をEvernoteに保存しています。子どもの成長を、Evernoteに「しまっている」わけです。

我が家で大活躍!子育てを彩る、Evernote子ども成長記録ノートの作り方と共有方法

我が家の子育て×Evernote。子育てのためにEvernoteに入れているものと、その目的・方法

「しまう」のは、お出かけや記念日などの特別な一瞬はむしろまれで、普段の遊びやお散歩や食事など、なんてことのない日常が大半です。これらを、分類とか評価とか脚色とか演出とかなしに、どんどんEvernoteに「しまう」ことを続けています。

そうすると、このEvernoteが、ときどき「響く」のです。

「響く」きっかけのひとつは、Evernoteの「関連するノート」です。

あるとき、今日の子ども成長記録ノートをEvernoteで見ていたら、ノートの下に表示される「関連するノート」に、半年くらい前の日の子ども成長記録ノートが表示されました。懐かしいなと思って開いてみると、そのノートは、今日お出かけした場所と同じ場所に、はじめてお出かけした日の成長記録ノートでした。

はじめてお出かけした日の成長記録ノートを開くと、子どもと一緒にその場所にはじめてお出かけしたときのことが鮮やかに思い出されました。蝉が鳴いてたこととか、お外を自分の足で歩けるのが楽しくて仕方ないげの子どもの様子とか、そのときに夫婦で交わした会話とか。そして、この半年で、子どもがどんなふうに成長してきたかも、実感しました。

「関連するノート」をきっかけにして、Evernoteが「響き」ました。

3.Evernoteという「大きな引き出し」に「しまう」と、「響く」

自分の中の「大きな引き出し」にすべての体験を「しまう」ことができる春田家の皆さんに、私はあこがれていました。「大きな引き出し」に「しまった」体験が、自分の中で「響き」続けるという人生は、本当にすばらしいなあと思っていました。

でも、Evernoteを使えば、誰もが自分の「大きな引き出し」を持つことができます。Evernoteに自分の体験の全部を「しまう」ことができます。Evernoteという「大きな引き出し」にしまわれた自分の体験は、いつまでもちゃんとそこにあって、一生自分の中で「響き」続けます。

今の私は、こんなイメージで、Evernoteを使っています。

Evernoteを育てる

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    彩郎 @irodraw 
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