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「なぜ、私は、思考するツールとして、Evernoteを使うのか?」の「はじめに」

公開日: : Evernote, 書き方・考え方

1.Evernoteは、果たして、思考のためのツールなのか?

(1) 「Evernoteは、思考のために使ってこそ、本領を発揮する」という信念

Evernoteは、情報を記録したデータを保存するためのサービスです。情報を記録したデータを保存することを人間の知的活動のアナロジーで理解すれば、それは、記憶です。Evernoteが担うのは、記憶です。現に、Evernoteのキャッチフレーズは、「すべてを記憶する」です。

これに対して、私がEvernoteに求めているのは、情報を記録したデータを保存しておくことだけではありません。それよりもむしろ、Evernoteで文章を生み出す、ということを求めています。

なぜ、文章を書く道具として、Evernoteを使うのか

思考の断片を捕まえ、そこに文章というかたちを与えることは、私にとって、「思考する」ということと、ほぼイコールです。ということで、私は、Evernoteを思考するツールとして使っている、と言えます。

思考のためのツールとしてのEvernoteはすこぶる優秀だと、私は感じています。そのため、私は、Evernoteの本領発揮は、記憶よりも思考だ、とすら考えています。「Evernoteを記憶だけに使うなんてもったいない。Evernoteは思考のために使ってこそ、その本領を発揮する。」というのが、私の信念です。

Evernote×思考。Evernoteで、考えを捕まえ、育て、寝かせる。

(2) 「もっと優れたツールがあるのではないか?」という疑念

でも、最近、この信念が揺らぎつつあります。

とはいっても、Evernoteは思考のために役に立たないのではないか、という方向からの疑念ではありません。そうではなくて、「Evernoteよりももっと優れた思考のツールがあるのではないか?」という疑念が湧いてきた、ということです。

ここで具体的に想定しているのは、アウトライナーというツールです。アウトラインプロセッサといったりもします。もっと具体的には、MacのOmniOutlinerと、Mac&WinのScrivenerです(後者は、厳密な意味ではアウトライナーではないかもしれませんが)。

Evernoteよりもアウトライナーの方が、思考のためのツールとして、優れているのではなかろうか、と考えるきっかけになったのは、るうさんのブログ記事と、そこからたどったいくつかの記事です。

端緒となったるうさんの記事は、

で、この記事からたどったのが、

という記事たちです。

さらに、最近、

という記事にも出会いました。

(3) ここで、「なぜ、私は、思考するツールとして、Evernoteを使うのか」を考え始める

どれも本当におもしろい考察で、たくさん刺激を受けました。特に、

Evernoteは記憶のツールであって、思考のツールではありません。 きちんと役割分担が必要です。

R-style » Evernoteから思いつきのメモをOmniOutlinerに移すことについてより)

という指摘を、自分なりに考えたいなと思いました。

つまり、「なぜ、私は、思考するツールとして、Evernoteを使うのか」というテーマを考える、ということです。

でも、このテーマは、「私にとって、思考するとは、どういうことなのか?」ということと不可分一体です。かなり大きなテーマなので、考えはじめても、ぜんぜん考えがまとまりません。

そこで、最初からまとまったかたちにすることは諦めて、気長に、その都度その都度の到達点をかたちにすることで、少しずつ思考を進めていく、ということを試みます。

まずは、現時点での到達点として、次の2つを書きます。

  1. 私にとっては、Evernoteが思考のためのツールであることと、その理由について
  2. アウトライナーを使ってみようと思うことと、アウトライナーを使うことに期待すること

2.今のところの到達点2つ

(1) 私にとっては、Evernoteが思考のためのツールであることの理由

少なくとも私にとっては、Evernoteは、思考のためのツールです。思考のためにも力を発揮してくれるツールです。

この理由は、

  • 私の思考スタイルは、文章を書くことで思考を進める、というものだ
  • Evernoteは、私にとって、思考を進めるための文章を書くための、すごく優れたツールだ

というふたつの合わせ技なのではないかと思います。

a.思考スタイルが、文章を書くことで思考を進める、というものだ、ということ

文章を書くことと考えることとの関係について、るうさんが、おもしろいことを書いています。

「文書」のなかの「文章」を作る上でワープロは非常に有効なツールです.しかし,モーツァルトのように『曲は完成しています.あとは紙に書き写すだけです』という人はむしろ例外でしょう.多くは「未完成」のまま「文書」を書き始めるために文章の「前後関係」や,「話のすじみち」を考える必要があります.

ワープロ・カードビュー・アウトライナーのもつ次元性[Evernote][Scrivener] | るうマニアより)

「モーツァルトのように」というのは、すごくわかりやすいです。「思考は完成しています。あとは文章に書き写すだけです。」というモーツァルトのような人にとっては、「思考すること」と「文章を書くこと」は、別の作業です。

でも、私が文章を書くとき、書かれる対象である思考は、ぜんぜん完成されていません。文章を書き進めながら、行きつ戻りつして、いろんなことを考えます。

私は、文章を書くことで、思考を進める、という思考スタイルです。

b.Evernoteは、私にとって、思考を進めるための文章を書くための、すごく優れたツールだ、ということ

Evernoteは、文章を書くこと一般が得意です。

でも、特に、思考を進めるための文章を書くことが得意なような気がします。

このことを考えるヒントになったのは、Tak.さんが、アウトライナーで文章を書く理由について語っている、以下の文章です。

ぼくがアウトライナーを手放せない大きな理由がその「速さ」だ。もちろんここでアウトライナーと言っているのは、OmniOutlinerやFargoやWorkFlowyといったプロセス型アウトライナーのこと。

アウトライナーの「速さ」:Word Piece >>by Tak.:So-netブログより)

私がEvernoteについて感じるメリットを、「速さ」という言葉で、端的に表現しています。そしてこのメリットがあるからこそ、Evernoteで文章を書くと、思考がどんどん進んでいくように思います。

私はTak.さんのいう「プロセス型アウトライナー」を使ったことがないので、Evernoteとプロセス型アウトライナーを「速さ」の点で比較することはできません。Evernoteよりもアウトライナーの方が、さらに「速い」のかもしれません。でも、Evernoteも、十分「速い」です。少なくとも、Wordや秀丸エディタで書くことと比べると、うんと「速い」です。

このように、

  • 私の思考スタイルが、文章を書くことで思考を進める、というものであること
  • Evernoteは、「速さ」ゆえに、思考を進めるための文章を書くことに適していること

という理由から、私にとって、Evernoteは、思考のためのツールなのだろうなと思います。

(2) ツールを変えると、ちょっと違った思考を楽しめるかもしれない

このように、私はこれからもEvernoteを思考のためにも使っていこうと思っているのですが、一連の記事を読んで、アウトライナーも使ってみたい、という気持ちが高まっています。それは、アウトライナーを使ってする思考が、Evernoteを使ってする思考とは、別の形になるのかもしれない、という予感がするからです。そして、そんな思考はすごく楽しそうだと感じるからです。

このように感じるのは、一連の記事を読んで、

  • 私の思考は、Evernoteというツールに方向付けをされているのだろう、と感じたこと
  • アウトライナーというツールで思考をすると、Evernoteとは別の方向の思考ができるかもしれない、と感じたこと

というふたつのことからです。

a.私の思考は、Evernoteというツールに方向付けをされている、のかもしれない

Tak.さんが、「文章書きはプログラマーの想像力に縛られている:Word Piece >>by Tak.:So-netブログ」という記事を書かれています。内容もすごくおもしろいのですが、記事のタイトルである「文章書きはプログラマーの想像力に縛られている」という言葉に、いろいろと感じました。

Tak.さんが書かれていることとは少し違うことなのかもしれないのですが、この記事とこのタイトルを読んで、文章を書くという行為は、文章を書くために使う道具に縛られている、ということを実感しました。

このことと、「思考する≒文章を書く」という私の思考スタイルを併せて考えると、私の思考は、私が文章を書くために使うツールに縛られている、ということになります。

私は、今、何らかの思考を進めるための文章を書こうと思ったら、原則、Evernoteを使います。今の私の思考は、Evernoteで文章を書くことによって、進んでいます。そのため、私の思考は、Evernoteによって縛られています。

Evernoteは、かなり自由度の高いツールです。ですから、仮に、Evernoteが思考を縛るとしても、かなりゆるい縛りです。縛りというよりも、方向付ける、くらいです。そのため、Evernoteによって思考が制約されるといった、ネガティブなものは生じていないように感じます。

でも、Evernoteを使って思考することが、自分の思考に何らかの方向性を与えているというのは、そうかもなあと思います。

b.Evernoteが得意な思考の方向と、アウトライナーが得意な思考の方向は、別方向

アウトライナーは、思考のためのツールです。アウトライナーも、Evernoteと同じく、思考を方向付けます。

でも、アウトライナーが方向付ける思考の方向は、Evernoteによるものとは大きく違っているようです。

以下の記事は、このようなことを表現しています。

個々の知識を整理し、検索すること。
それは、まさにEvernoteを完成させる作業。

Evernoteのアウトライン機能が断片同士を動かすことができない仕様である、というのはまさに「そうであるべき」だからなのかもしれない。
だって、Evernoteのコンセプトは「すべてを記憶する」なのだから。

アウトライナーにいう〈思考〉は、この体系化(あるいは体系化に基づく〈記憶〉)の更に先にあるもの。
既にある体系を壊すもの。
Evernoteよりももっとずっと暴力的なもの。
もっと非日常の世界。

目に見えるカタチは時としてその内実を表す、ということーEvernoteとアウトライナー – LawDesiGnより)

Evernoteが得意な思考は体系化やトップダウン。なぜEvernoteがこのような思考を得意とするのかといえば、それがEvernoteの設計思想だから。

これに対して、アウトライナーが得意とする思考は、その体系を壊すもの。強力なボトムアップによって、体系自体を組みかえていくような思考。Evernoteは、その設計思想からして、体系を壊していく思考のためのツールじゃないから、この方向は、アウトライナーの方が得意。

私自身は、アウトライナーをまともに使っていないので、ここに書いたことは、ピント外れなのかもしれません。でも、一連の記事を読んで、アウトライナーに対して、こんな期待を抱きました。

3.「おわりに」ではなくて、「はじめに」

「おわりに」として、この記事のまとめを書こうかなとも思いましたが、やめました。

この記事は、これだけで完結するものではぜんぜんありません。ここから考え始めていきたいことのさわりを書いた記事です。記事全体で、「はじめに」的な位置づけです。なので、現段階では、まとめるべき何かはありません。

とりあえず、今の時点でかたちにできることを、こんな感じでかたちにして、あとは、気長に継続的に、考えていきます。

実益はあんまりなさそうだけれど、楽しそうです。

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