課題とアプローチ×具体的と抽象的のマトリクス
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書き方・考え方
目次
1.具体的な課題と抽象的な課題
課題には、具体的な課題と抽象的な課題があります。(ふたつにぱりっと分かれるわけではなく、程度問題ではありますが、頭の整理として。)
(1) 具体的な課題とは
たとえば、「2015年3月、●●大学□□学部に合格する。」というのは、具体的な課題です。
いつ、どのような状態になれば、その課題を達成できているかがわかるのは、具体的な課題です。具体的な課題は、その課題を達成するために必要な条件が、ある程度明確です。
(2) 抽象的な課題とは
たとえば、「成長できる環境に身を置く」というのは、抽象的な課題です。
抽象的な課題は、どのような状態になれば、その課題を達成できているかが、明確ではありません。そのため、抽象的な課題は好ましくない、と言われることもあります。
他方で、抽象的な課題は、自分が求める本質を表現している、とも言えます。具体的な課題の背後には、その課題を達成することで実現したい本質的な価値があるはずですが、具体的に課題を設定してしまえば、その本質を捉え損ねる可能性があります。抽象的に課題を表現すれば、その分、本質を外しにくくなります。
2.具体的なアプローチと抽象的なアプローチ
課題に対するアプローチにも、具体的なアプローチと、抽象的なアプローチがあります。
(1) 具体的なアプローチとは
たとえば、「2014年12月までに、●●大学□□学部の過去問を全部解く。」とか、「2014年10月までに、スティーブ・ジョブズとジェフ・ベゾスとラリー・ペイジとマーク・ザッカーバーグの電気を読んで、どんなところで経験を積んだのかを一覧表にまとめる。」というのは、具体的なアプローチです。
課題を達成するために必要な、自分の、具体的な行動を考えて、期限を区切ってその行動を実現する、というようなアプローチです。
(2) 抽象的なアプローチ
これに対して、抽象的なアプローチの場合、課題を達成するための枠組みを大切にします。
この枠組みとは、たとえば、「課題を分析する→課題達成に必要な要素を洗い出す→優先順位を決める→具体的な行動に落とし込む」といったものです。
課題を設定するための枠組みに唯一の正解があるわけではないので、毎回同じ枠組みに沿ってアプローチするわけではありません。しかし、抽象的なアプローチは、いずれにせよ、課題を前にしたら、まず、どのような枠組みでその課題達成に向けて進むかを、抽象的に検討します。
3.マトリクス
課題とアプローチ、そして具体的と抽象的で、マトリクスを作ることができます。
こんなマトリクスです。
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具体的な課題 |
抽象的な課題 |
|
|
具体的なアプローチ |
具体的な課題に対する、具体的なアプローチ |
抽象的な課題に対する、具体的なアプローチ 2014年10月までに、スティーブ・ジョブズとジェフ・ベゾスとラリー・ペイジとマーク・ザッカーバーグの電気を読んで、どんなところで経験を積んだのかを一覧表にまとめる。 |
|
抽象的なアプローチ |
具体的な課題に対する、抽象的なアプローチ 2015年3月に●●大学□□学部に合格するために、 課題を分析して達成に必要な要素を洗い出し、優先順位をつけて、行動計画を作る。 |
抽象的な課題に対する、抽象的なアプローチ |
4.課題に対するアプローチの得手不得手を分析的に考えると、役に立つ
課題に対するアプローチをこの4つのマトリクスに分解すると、課題に対するアプローチについての得手不得手を、より分析的に考えることができるのではないかと思います。そして、このことは、課題に対してアプローチする際に、わりと役に立つのではないかと思います。
(1) 得手不得手を分析する
課題に対するアプローチを分析的に考えるというのは、「あの人は課題解決が得意だ」とか「あの人は課題解決が苦手だ」と言うときに(まあ、あんまりこんなこといいませんけれども)、このマトリクスのどの領域について述べているのかを分析するということです。
具体的な課題に対する具体的なアプローチが得意(あるいは苦手)な場合と、抽象的な課題に対する具体的なアプローチが得意(あるいは苦手)な場合を、区別して評価することによって、その人の得意(あるいは苦手)なことを、より的確に表現できます。
(2) 分析すると、役に立つ
この観点から分析すると、役に立ちます。
自分について言えば、自分が得意なアプローチ方法を知ることが、役に立ちます。
自分が、抽象的な課題に対して抽象的にアプローチするのが得意なら、まずはこの観点から課題にアプローチするのが賢いです。与えられた課題が具体的なものなら、最初に課題を抽象化し、抽象的な課題に変換してしまえばよいです。反対に、自分が、具体的な課題に対して具体的にアプローチするのが得意なら、与えられた課題が抽象的な課題であっても、課題を具体化して、具体的な課題を設定してから、課題にアプローチすればよいです。
誰かを指導する場合にも、その人の得意なところ、苦手なところを、マトリクスに当てはめて理解して、それを踏まえた指導をすることは、効果的です。
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