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「セルフブランディングを実践した先にある世界」と「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」

公開日: : ブログ, 仕事の方法論

目次

1.普通の個人が、自分の毎日に、「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」を組み込む

私の知るかぎり、大学教授などのプロの研究者が自分の研究テーマを考察する深さは、やたらと深いです。研究者は、どうして、あんなにも圧倒的な深さまで、考察を深めることができるのでしょうか?

私の考えは、研究者の毎日に「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」が組み込まれているから、です。

学生のゼミを指導したり、論文を発表したり、学会で報告をしたり、研究会の司会をしたりといった、研究者の毎日を満たしているたくさんの作業が、「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」として機能しています。

研究者が考察を深める仕組み:「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」

では、研究者ではない普通の個人が、ここから何かを真似することはできないでしょうか。

つまり、研究者ではない普通の個人が、自分の毎日に、「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」を組み込むにはどうしたらよいか、ということです。

一昔前まで、自分の毎日に「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」を組み込むことは、たいへんなことでした。でも、ウェブが進化したこのソーシャル時代なら、ブログやSNSの使い方によっては、普通の個人だって、自分の毎日に「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」を組み込むことができます。

考えたことを文章などのかたちでアウトプットして、自分のブログで公開することが、この仕組みの中心になります。その時点までの考察をちょっとずつでも文章などのかたちにアウトプットして、それを自分のブログに公開することを繰り返せば、ときによいフィードバックが得られます。そして、少しずつかもしれませんが、考察は深まります。

普通の個人が、自分の毎日に、「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」を組み込む

これが、ここまでに考えたことです。

2.セルフブランディングを実践することで、自分の毎日に、「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」を組み込む

(1) 『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』のポイント

こんなことを考えていたら、少し前に読んだ、『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』を思い出しました。

Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング

ここでの考察との関係で、この本のポイントを、ふり返ってみます。

私がこの本から受け取った大事なポイントは、セルフブランディングの本質が、「自分の持ち味を発揮すること」と「自分の価値を他者に見い出していただくこと」とをつなぐことにある、ということです。

セルフブランディングは、必ずしも名をあげるための技術ではありません。セルフブランディングが目指すのは、有名になることではなく、自分に価値を見い出してくださる人へ、自分を届けるための環境や条件を整えることです。この環境や条件を整えることで、自分の持ち味を存分に発揮したときに、そこに誰かが価値を見い出してくれる確率を高めるための営みが、セルフブランディングです。

この本を読んだ後、私は、「自分の持ち味を発揮することと、価値を見い出されること。『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』」というエントリを書き、「「セルフブランディングを実践した先にある世界」で生きてみたくなったから、セルフブランディングに取り組むことにした」と述べました。

「セルフブランディングを実践した先にある世界」では、自分の持ち味を発揮することと、自分の価値を見い出されることがつながっています。ですから、自分の持ち味を発揮すれば、わりと高い確率で、誰かにそこに価値を見い出してくださいます。この世界で生きる人は、自分の持ち味を発揮することと、自分の何かが他者にとっての価値になることとが、かなりの程度、一致しています。これは、とても幸福な状態です。

(2) 「セルフブランディングを実践した先にある世界で生きる」ことと、普通の個人が自分の毎日に「その時点までの考察をアウトプットし、フィードバックを得る仕組み」を組み込むこと

さて、「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」に戻ります。

私が感じたのは、「セルフブランディングを実践した先にある世界」のあり方と、「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」が組み込まれた毎日のあり方は、ある意味、かなり共通するんじゃないだろうか、ということです。

どういうことでしょうか。

a.「普通の個人が、自分の毎日に、「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」を組み込む」での課題と検討

ひとつ前の「普通の個人が、自分の毎日に、「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」を組み込む」で考えたのは、機会の不存在という問題でした。

プロの研究者が、毎日のように(なかば義務として)繰り返す、雑誌に小さな論考を投稿する、学会で発表する、講義を持つ、ゼミを指導する、研究の成果を論文にまとめる、といった作業は、「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」として機能しています。プロの研究者は、毎日に組み込まれているこの仕組みの助けを借りて、考察を深めます。

他方で、プロの研究者ではない普通の個人が、自分の毎日にこの仕組みを組み込むことは、なかなか大変なことです。これらの作業をこなすだけの能力があるかどうかとか、これらの作業をこなすだけの時間を確保できるかどうか、以前に、普通の個人には、通常は、これらの作業をする機会が与えられていないからです。

この意味で、問題のポイントは、能力や時間ではなく、機会の不存在にあります。普通の個人が、自分の毎日に「その時点までの考察をアウトプットし、フィードバックを得る仕組み」を組み込みたいと思ったとして、このためにクリアすべき課題は、「どのようにしてその機会を得るか?」です。

この課題に対して、「普通の個人が、自分の毎日に、「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」を組み込む」で、私は、

  • 自分のブログに、自分の関心事をめぐる考察をアウトプットし続ける
  • SNSで、自分の関心事をとりまくゆるやかなネットワークを作る
  • 自分の関心事と自分にできることを公開して、機会を得る

という3つが解決策になるのではないか、と書きました。

自分のブログに考察をアウトプットし続ければ、雑誌や共著に小さな論考を書くのと同じような機能が得られます。

SNSでゆるやかなネットワークを作れば、非公式の研究会や学会が果たしているのと同じような役割を期待できます。

自分の関心事と自分のできることを公開すれば、人に教える機会や多くの人の目に触れる場所で発表したり書いたりする機会が得られるかもしれません。こうなれば、講義やゼミで学生を指導したり、学会で発表するのと同じような効果が生まれるかもしれません。

b.単にブログとSNSをすればいい、わけではない

普通の個人にとって、これら3つが解決策になるはず、ということに、私は、わりと強い確信を持っています。ですが、ブログを開設して、TwitterやFacebookを始めさえすれば、それだけで「その時点までの考察をアウトプットし、フィードバックを得る仕組み」になるかといえば、そういうわけではありません。

自分のブログに考察をアウトプットし続けることは、自分でブログを開設しさえすれば、可能です。でも、たとえば誰にも読まれないブログに考察をアウトプットし続けることで考察を深めることは、たぶんなかなか難しいことです。誰にも読まれないブログにアウトプットを続けることは難しいことですし、誰にも読んでもらえなければ、フィードバックをいただくこともできません。

参考:よき聞き手としてのブログ

SNSで、自分と共通の関心事を持つ人とのゆるやかなネットワークを作るにしても、そもそも、共通の関心事を持つ人を見つけるのも、共通の関心事を持つ人に見つけていただくのも、ある程度時間がかかります。さらに、意見や感想を交換しあう関係になるのも、一朝一夕には行きません。

自分の関心事とできることを公開して、機会を得るのは、もっとハードルが高いです。そもそもウェブに公開しただけでは、届けたい人に届く可能性が低いです。さらに、機会を得るには、他者に、「この人は、これに関心があって、できるんだな」と認識してもらい、信頼してもらわなければいけませんが、自分で「関心があります」「できます」と言っているだけでは、そのような認識も信頼も得られません。

ブログを開設し、SNSを始めることと、「その時点までの考察をアウトプットし、フィードバックを得る仕組み」を組み込むこととの間には、小さくない溝が横たわっています。

c.『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』流のセルフブランディングで、溝を越える

そこで、『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』に戻ります。

『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』が描く「セルフブランディングを実践した先にある世界」とは、自分の関心事に関する考察なり感想なりをウェブに上げると、それが、共通の関心事を持つ誰かに届く世界です。この世界では、自分のブログはよき聞き手に育っていて、自分のSNSアカウントは共通の関心事を持つ方々とゆるやかにつながっていて、ウェブに公開した自分の関心事やできることはそこに価値を見い出してくださる方に届きやすくなっています。

ということは、この世界なら、

  • 自分のブログがよき聞き手に育っているので、自分のブログに自分の関心事をめぐる考察をアウトプットし続けることができます。
  • SNSで、自分の関心事をとりまくゆるやかなネットワークができているので、SNSの中でゆるやかに考察や感想を交換しあうことができます。
  • ウェブに公開した自分の関心事とできることが、そこに価値を見い出してくださる方々に届きやすくなっているので、関心事を活かす機会を得られる可能性が高まります。

Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』が描く「セルフブランディングを実践した先にある世界」なら、普通の個人にとって、自分のブログやSNSは、「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」として機能しています。

結局、普通の個人が、自分の毎日に「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」を組み込むために実践すべきことは、「セルフブランディングを実践した先にある世界」にたどり着くために実践すべきことと、ほとんど同じです。

『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』流のセルフブランディングを実践し、「セルフブランディングを実践した先にある世界」にたどり着いたなら、そのとき、私は、自分の毎日に「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」が組み込まれていることに気づくはずです。

3.「セルフブランディングを実践した先にある世界」で生きることの新たな魅力

『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』を読んだとき、私は「セルフブランディングを実践した先にある世界」で生きることに強い魅力を感じました。自分の持ち味を発揮することと、他者から自分の価値を見い出してもらうこととが一致することを、すばらしいことだと感じたためです。

今回、私が考えていたのは、「どのように考察を深めるか?」という、セルフブランディングとはぜんぜん別のテーマでした。しかし、この検討で気づいたのは、「セルフブランディングを実践した先にある世界」で生きることが、自分の毎日に「考察を深めるための仕組み」を組み込むことと、まっすぐにつながっている、ということです。

「セルフブランディングを実践した先にある世界」で生きることの新たな魅力に気づき、ウェブが進化したこのソーシャル時代で生きていることの幸運を、あらためてしみじみと感じています。

4.関連するいろいろ

(1) 『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング

ソーシャル時代のセルフブランディングを考える上で、必読の一冊。2011年に書かれた本だけれど、ぜんぜん古くない。

紹介記事:自分の持ち味を発揮することと、価値を見い出されること。『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』

(2) 「考察を深めるための仕組み」としての「単純作業に心を込めて」

a.よき聞き手としてのブログ

よき聞き手としてのブログ

ブログをよき聞き手として捉えることについて。

ブログがよき聞き手になるために大切なことは、読み手の存在を実感し、読み手に伝えたいと願えること

ブログをよき聞き手に育てるために、何が大切なのか。

b.500番目の記事に、「単純作業に心を込めて」でやりたいことを見つける(ブログで考え合う)

「単純作業に心を込めて」で考察を深めることができた実例と、そのとき(2014年2月)に見つけた、私がこのブログでやりたいこと。

c.心から書きたいテーマやネタこそ、気楽に、どんどん、何度も、書く

同じテーマを何度も書いてしまえ、と吹っ切れたときに書いた文章(2013年5月)。私が、このブログを、考察を深めるための仕組みとして活用することを始めたのは、このころのことでした。

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