*

整った論理構造を持つ文章を書くための、自分のブログの強みと落とし穴

公開日: : ブログ, 書き方・考え方

1.ブログのために書くほうが、ブログ以外のために書くよりも、整った論理構造を持つ文章を書くのが、うんと簡単なのは、なぜか?

(1) 整った論理構造を持つ文章を書きたい

私は、このブログのために、毎日、文章を書いています。

このブログに文章を書くとき、私が心がけているのは、整った論理構造を持つ文章を書くことです。文章の論理構造を整えることで、自分の思考の道筋を、正確に伝えたいと考えています。

他方で、私は、このブログ以外にも、いろんな文章を書いています。本業のためにも、毎日、たくさんの文章を書きます。報告書、意見書、議事録、調査メモ、企画書などなど。本業の傍らやらせてもらっている大学の非常勤講師の仕事のためにも、レポートの講評や、学内誌の記事や、教育実践レポートや、いろいろな文章を書く機会に恵まれています。

このブログ以外のために文章を書くときも、私が心がけているのは、整った論理構造を持つ文章を書くことです。文章の論理構造を整えることによって、その文章の結論はもちろん、その文章が、どんな事実を前提に、どんな検討を行って、そしてどんな結論に至ったのか、その道筋を正確に伝えたいと考えています。

(2) 自分のブログのために書く方が、整った論理構造を持つ文章を書くのが簡単なのは、なぜか?

このように、私が文章を書くときに心がけているのは、このブログのために書くときも、このブログ以外の仕事などのために書くときも、「整った論理構造を持つ文章を書きたい」という共通のことです。

それにもかかわらず、自分のブログのために書くときと、自分のブログ以外の仕事などのために書くときとで、整った論理構造を持つ文章を書く難易度は、主観的には、大きく異なります。自分のブログのために書くときのほうがうんと簡単で、自分のブログ以外の仕事などのために書くときのほうがうんと苦労します。

書いているのは、同じ私という人間です。エネルギーの注ぎ方やモチベーションの高さも、基本的に同じです。それにもかかわらず、自分のブログのために書くほうがうんと簡単で、ブログ以外のために書くほうがうんと苦労します。

なぜ、こんな難易度の差が生まれるのでしょうか。この難易度の差は、どこから来るのでしょうか。

同じ私が書いているのに、自分のブログのために書くほうが、ブログ以外のために書くよりも、整った論理構造を持つ文章を書くのが、うんと簡単なのは、一体、なぜなのでしょうか。

2.自分のブログに書く文章なら、ひとつの文章の表現対象を、シンプルに絞ることができること

少し考えて、ひとつの答えに思い至りました。それは、「自分のブログのために書く文章の方が、それ以外のために書く文章よりも、文章が表現する対象をシンプルに絞ることができるから、整った論理構造で書きやすい」ということです。

(1) 文章が表現する対象のややこしさと個数が、文章を書く難易度を決める

文章は、何らかの対象を表現します。ひとつの文章には、必ず、その文章が表現する対象があるはずです。

ひとつの文章が表現する対象は、ひとつとはかぎりません。ひとつの文章が複数の対象を表現することもあります。

また、ひとつの文章が表現する対象は、簡単なこともあれば、難しいこともあります。

ここで、整った論理構造を持つ文章を書くことを考えてみると、ひとつの対象を整った論理構造で表現するよりも、複数の対象を整った論理構造で表現するほうが、難しいです。また、簡単な対象を整った論理構造で表現するよりも、難しい対象を整った論理構造で表現するほうが、難しいです。

ひとくちに、「整った論理構造を持つ文章を書く」といっても、その文章が表現する対象の個数とややこしさによって、その難易度は、大きく異なります。

(2) 自分のブログのために書く文章と、それ以外のために書く文章の、大きなちがい

この観点から、自分のブログのために書く文章と、それ以外のために書く文章を比較すると、ここには大きなちがいがあります。

自分のブログのために書く文章は、ひとつの文章が表現する対象について、個数もややこしさも、自分で自由に決めることができます。

ひとつの文章で表現する内容をひとつだけに絞ることもできます。ひとつの文章で表現する対象の難易度を、簡単なものに抑えることもできます。

これに対して、自分のブログ以外のために書く文章は、そういうわけにはいきません。自分で勝手に書いているわけではなく、誰かから求められて書くのですから、その文章が満たすべき条件があらかじめ決まっています。

そのため、たとえば、2つの対象を表現することが求められているなら、自分の勝手な判断で、対象をひとつに絞ることはできません。たとえば、Aについて表現することを求めれれているなら、Aが自分の手にあまるほど難しいとしても、勝手にBのことを表現するわけにもいきません。

つまり、自分のブログのために書く文章は、それ以外のために書く文章に比べて、ひとつの文章が表現する対象の個数を少なくすることも自由ですし、ひとつの文章が表現する対象を簡単にすることも自由です。その文章が表現する対象の個数とややこしさを、シンプルなものに絞ることができます。

これが、私が発見した、自分のブログのために書く文章が、それ以外のために書く文章と比べて、整った論理構造を持つ文章として書くのが簡単な理由です。

3.自分のブログに文章を書く強みと、自分のブログに文章を書くことの落とし穴

ここから、2つのことを考えました。方向はちがいますが、共通することです。

(1) 自分のブログに文章を書く強み

ひとつめは、自分のブログに文章を書く強みです。

ひとつの文章が表現する対象の個数を絞り、表現する対象をややこしくない内容に絞れば、その文章に整った論理構造を与えることは、それほど難しくありません。そして、自分のブログに書く文章なら、これができます。

そのため、自分のブログに文章を書くことは、整った論理構造を持つ文章を書くことを、かなりの程度、助けてくれます。自分のブログ以外の場所に書くときは、整った論理構造を持つ文章をなかなかうまく書けない人でも、自分のブログに書くなら、整った論理構造を持つ文章を簡単に書けるかもしれません。

この意味で、自分のブログは、整った論理構造を持つ文章を書くことの、練習場のような機能を果たします。表現する対象の個数とややこしさをシンプルに絞って、整った論理構造を持つ文章を書くことは、整った論理構造を持つ文章を書くための、よい練習メニューになります。

これは、自分のブログに文章を書くことの強みのひとつです。

この強みを活かすために大切なのは、自分のブログに書ける文章の個数に制限がないことを自覚して、表現したい内容をシンプルに絞った文章を、たくさんたくさん書くことではないかと思います。私自身、これからも、これを自覚して、実践していくつもりです。

(2) 自分のブログに文章を書くことの落とし穴

a.落とし穴

他方で、自分のブログを書くことの落とし穴にも気づきました。

私は、自分のブログに書く文章に整った論理構造を与えるために、わりとしばしば、表現する対象の方をいじります。最初に表現したいと思ったことが、整った論理構造を持つ文章からはみ出る場合、かなり安易に、そのはみ出た部分を切り捨てます。そのため、私がこのブログに書く文章の多くは、簡単に文章表現に乗っかる対象だけを整えて並べたような文章になっています。

うまく整った論理構造を与えることができれば、ひとつひとつの文章のわかりやすさは、上がります。構造がくっきりして、物語のような流れが生まれ、読みやすくもなるように感じます。でも、それによって、本来表現されるべき大切なことが切り捨てれているとしたら、それはあんまり好ましいことではありません。

これは、自分のブログに文章を書くことの落とし穴だとも言えます。

b.落とし穴を、どう考えるか

これについて考えるのは、ふたつです。

(a) 捨てた部分を拾いあげる

ひとつは、ひとつの文章を書くときにうまくはまらなくて切り捨てた部分を、捨ててしまわないで、別の文章によって拾い上げることです。

自分のブログに文章を書くことの強みは、ある文章を書いた後で、その文章を補う別の文章を書く機会が、制限なく与えられることです。ひとつの文章を書く際に、ある大切な部分を切り捨てたなら、その切り捨てた部分に光を当てる別の文章を書きたいと思います。

以前、「思考の一部を捨てても死なない(なぜ、私は、思考するツールとして、Evernoteを使うのか)」という文章を書きました。私はこのブログの文章をすべてEvernoteで書いているのですが、この大きな理由が、Evernoteを使えば、ひとつの文章にはまらずに切り捨てた部分を、別の文章として拾い出すことができるから、です。

これまで以上に、今後、これを実践していきます。

(b) ブログに蓄積された複数の文章の相互関係を構造化する

もうひとつは、ブログの中で、文章と文章の関係を構造化することです。

私は、整った論理構造を持つ文章を書くことが好きなので、このブログに書く文章を、できるかぎり、整った論理構造を持つ文章として書こうとしています。そのため、このブログに蓄積された文章は、ひとつひとつのエントリ内では、ある程度、論理が構造化されています(少なくとも、そうあってほしいと、私なりにベストを尽くしています)。

でも、現状、私が整った論理構造を与えようとしているのは、個々の文章(エントリ)の内側だけです。ひとつの文章と別の文章との間に何らかの関係があるとしても、その関係は、このブログの中で、なんにも示されていません。つまり、このブログに蓄積された文章と文章の関係は、このブログの中で、まったく構造化されていません。

ブログに蓄積された複数の文章の相互関係を構造化すること。固定ページを整えるなり、個々の記事に関連ノートを手作業で入れるなり、やれることはいろいろあるはずです。現状、ここは手付かずなので、今後の課題として、重点的に取り組みたいと思います。

スポンサードリンク

関連記事

no image

WorkFlowyで、離れた場所を同時に操り、文章を書く

1.WorkFlowyで長文を書くことを助けてくれるのは、階層構造だけではない WorkFlowy

記事を読む

no image

「文章を書き上げる理由」の獲得

1.自分のブログを持つ効用を、自分の価値観や考え方に引きつけて、探しだす こんなエントリを書きまし

記事を読む

no image

WorkFlowyで文書を作成することによって、文章作成主体に生じる、副次的だけど、より本質的で根本的な革命について(その1)

1.WorkFlowyによる文書作成が革命的であるもうひとつの側面は、文書作成主体への影響 先日、こ

記事を読む

no image

Amazonアソシエイトで、自分の土台を構成する本のリストを設置する

1.Amazonアソシエイトのお気に入りウィジェット Amazonアソシエイトプログラムにも登録し

記事を読む

no image

レポート課題に対して、どのようにレポートを作成し、提出すればよいか

0.まとめ レポート課題に取り組むときには、以下の3つの当たり前なことを大切にするとよい。

記事を読む

no image

どこに何が書いてあるか、はっきり示す(文章を書くときの簡単で効果が高いコツ)

1.文章を書くときの、簡単で効果が高いコツには、どんなものがあるか 仕事をする上で、なんらかのテー

記事を読む

no image

思考を育てるシステムの構成要素としてのEvernoteとブログ

1.Evernoteが、思考するためのツールである理由は、ブログがあるから (1) Evernot

記事を読む

no image

マトリクスをやわらかい思考に使う(内観法とマトリクス)

1.マトリクスは、自分と他者との関わりを振り返るためにも使える マトリクスは、便利な思考ツールです。

記事を読む

no image

論理的思考のプロセスが正しいことと、命題の内容が正しいこととの区別

1.論理的思考のプロセスの正しさと命題内容の正しさの区別 議論において、論証の正しさを検討するとき

記事を読む

no image

Windows Live Writerを気に入っている3つのポイント

1.はじめに Zoundry Ravenをうまく使うことができていないので(→記事)、Window

記事を読む

スポンサードリンク

スポンサードリンク

no image
お待たせしました! オフライン対応&起動高速化のHandyFlowy Ver.1.5(iOS)

お待たせしました! なんと、ついに、できちゃいました。オフライン対応&

no image
「ハサミスクリプト for MarsEdit irodrawEdition」をキーボードから使うための導入準備(Mac)

諸事情により、Macの環境を再度設定しています。 ブログ関係の最重要は

no image
AI・BI・PI・BC

AI 『〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則』を読

no image
[『サピエンス全史』を起点に考える]「それは、サピエンス全体に存在する協力を増やすか?」という評価基準

1.「社会派」に対する私の不信感 (1) 「実存派」と「社会派」 哲学

no image
[『サピエンス全史』を起点に考える]サピエンス全体に存在する協力の量と質は、どのように増えていくのか?

『サピエンス全史』は、大勢で柔軟に協力することがサピエンスの強みだと指

→もっと見る

  • irodraw
    彩郎 @irodraw 
    子育てに没頭中のワーキングパパです。1980年代生まれ、愛知県在住。 好きなことは、子育て、読書、ブログ、家事、デジタルツールいじり。
    このブログは、毎日の暮らしに彩りを加えるために、どんな知恵や情報やデジタルツールがどのように役に立つのか、私が、いろいろと試行錯誤した過程と結果を、形にして発信して蓄積する場です。
    連絡先:irodrawあっとまーくtjsg-kokoro.com

    feedlyへの登録はこちら
    follow us in feedly

    RSSはこちら

    Google+ページ

    Facebookページ

PAGE TOP ↑