日々の仕事の中で育てる『私の教科書』
目次
1.「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」の考え方を、日々の仕事で具体化する
(1) 最近もっともうれしかったことのひとつ
ここ最近、たくさんのうれしかったことに恵まれてます。そのうちのひとつを告白すると、Lyustyle(@Lyustyle)さんによる以下の一連のTweetとエントリです。
WorkFlowyと自分のブログによる知的生産システムと、ハサミスクリプト「WFtoHTML_irodrawEdition」が果たす役割 http://t.co/CaKkLSleGJ◀︎これは,,,,,,閃いた!私が求めていたことをはっきりさせてもらった。
— Lyustyle (@Lyustyle) 2015, 2月 15
自分が何かを届けたいと思って書いた文章から、何かを閃いていただいたことだけでもうれしかったのですが、
@ruu_embo @maro_draft @irodraw 実は、「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」という言葉です。以前、http://t.co/Y1b9ftD41Aで言及されていたのですが、今回の記事を読んでいて、今の自分の考えていることと化学反応しました。
— Lyustyle (@Lyustyle) 2015, 2月 15
「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」という、私にとって大切な言葉から、なんらかの化学反応を起こしていただいたことを知り、ほんとうにうれしく思っていました。
その上、どんな化学反応だったんだろうとワクワクしていたところ、こんなすてきなエントリが公開されました。
このあいだ ひらめいた!といったことをまとめました→http://t.co/wMM2XmXqQO▼WorkFlowyと自分のブログによる知的生産システムと、ハサミスクリプト「WFtoHTML_irodrawEdition」が果たす役割 http://t.co/CaKkLSleGJ
— Lyustyle (@Lyustyle) 2015, 2月 18
ずっと完成しないで変化し続ける有機体とわたしの「教育観」 | 知的生活ネットワーク
このエントリの次の文章を読んで、私は、「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」と「有機体から切り取った暫定的な作品群を公開する場所」ということを語ることによって届けたかったことを、真正面から受け止めていただいたことを実感しました。
わたしのデータベース内で成長し続けている教育観は、彩郎さんのいう、「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」の状態だったのだと言える。いつまでも完成しない私の教育観。それを、その時々の状況を切り取ってアウトプットすることによって徐々に固めていく。そういうことを私はしてきたのだった。
引用元:ずっと完成しないで変化し続ける有機体とわたしの「教育観」 | 知的生活ネットワーク
ブログに自分の試行錯誤を表現することを続けてきてよかったなあと、心から感じた瞬間でした。
(2) 「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」の考え方を具体化する方法
@Lyuさんは「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」で閃いた、と書いてくださってます。でも、実際のところ、@Lyuさんは、ずっとずっと前から、「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」を実践されていたんだと思います。
私がこれを知ったのは、次のエントリを読んだときのことでした。
私達は、長い間、1日に1時間どころか2時間も3時間も勉強をつづけてきた | 知的生活ネットワーク
・・というのは、私の仕事は教育ですが、私はこのような生活を、もう30年近くつづけているからです。
私達にとって、「明日の授業のための研究」を行うことは、授業づくりの土台です。この時間は私の場合かなり多くの割合を占めていました。
6時間分の授業内容の研究と、「発問」「板書」など授業の構成を考えることをやるのですから、当然、1時間や2時間ではおわりません。家に帰ってからもえんえんとやります。
これがほぼ毎日続くのです。
これは仕事ではありますが、「研究」「勉強」でもあります。
こういう生活を30年以上続けてきていると、少しは教育ということについて論ずることができるようになっていることに気づきます。
だから、上の引用に書いてあることは経験的にわかるのです。
本来、このような生活を続けている教師なら、だれでも本の1冊や2冊は書けるくらいのコンテンツはもっているのです。
引用元:私達は、長い間、1日に1時間どころか2時間も3時間も勉強をつづけてきた | 知的生活ネットワーク
@Lyuさんは、この30年の積み重ねから、ひとつの提案をしています。
教師は、翌日の授業の準備をするために教材研究を行います。それを仕事と捉えるのではなく、「読書」とか「知的のインプット」とか「研究」とかそのような捉え方をすると前向きでより実のあるものになると思いますよという提案です。
引用元:事務仕事以外は、みんな勉強 : Lyustyleの教育ちゃんねる
ああ、明日の授業の準備をしなくちゃいけないと捉えて教材研究を行うのと、自分の教科指導の技や知識を磨くための重要なインプットの時間と考えて勉強する態度で臨むとではおのずと違いが出てくるはずですよね。
引用元:事務仕事以外は、みんな勉強 : Lyustyleの教育ちゃんねる
深く共感します。同時に、私も閃きました。
私も、@Lyuさんに習って、「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」の考え方を、(このブログや文章を書くことだけではなく、)日々の仕事そのもので具体化することにします。
2.日々の仕事の中で『私の教科書』を育てる
(1) 『私の教科書』を、日々の仕事の中で育てる
@Lyuさんは、「教師は、翌日の授業の準備をするために教材研究を行います。それを仕事と捉えるのではなく、「読書」とか「知的のインプット」とか「研究」とかそのような捉え方をすると前向きでより実のあるものになると思いますよという提案です。」と提案されています。
これを読んで、私も、日々の仕事の中でこれをやることにしました。
私の仕事でも、日々の仕事を進めていくために、いろんな準備をします。はじめてのことをするときは、時間をかけて調査したりシミュレーションしたりしますし、定形に近い仕事でも、ひとつひとつの案件ごとに大小様々な新しい勉強が必要になります。また、ひとつの仕事に区切りがついたら、うまくいったときも失敗したときも、多かれ少なかれ、ふり返って反省します。
これからは、これらの調査や勉強やシミュレーション、ふり返りや反省のぜんぶを、「研究」や「トレーニング」として捉えることにします。
たとえていえば、これは、日々の仕事の中で『私の教科書』を作るようなものです。
少し前に読んだ倉下忠憲さんの『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』の中に、「マイ教科書作り」という考え方が紹介されていました。
このテーマノートの作成は、いろんな本に散らばる情報を1冊のノートに集約していくようなイメージです。別の表現を使えば、マイ教科書作りと言えるかもしれません。『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』p.154
参考:Evernote×読書「Evernoteにクラウド読書ノートを作る」(『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』Chapter-4のご紹介)
『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』では、「マイ教科書作り」は読書術のひとつとして紹介されており、私も読書術としてこれを実行していました。しかし、この考え方は、読書だけに限定されるわけではありません。
『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』の「マイ教科書作り」に、@Lyuさんによる提案を加えて、今後、私は、日々の仕事の中でしなければいけないことの全部を、『私の教科書』を育てることとして捉えることにします。
日々の仕事の中で『私の教科書』を育てること。これが、私の閃きです。
(2) 日々の仕事の中で『私の教科書』を育てるための、具体的な方法
a.『私の教科書』を具体化するために、WorkFlowyを使う
とはいえ、「日々の仕事の中で『私の教科書』を育てる」という閃きは、アイデアや心がけのレベルにとどまっていては、あんまり意味がありません。
実際、私自身は、これと似たようなことを、これまでも何度も決意してきましたが、心がけてるだけで、具体的な行動には結びついていなかったような気がします。
せっかくいただいた閃きを、単なるアイデアや心かげに終わらせてはもったいないですので、この閃きを具体的な行動につなげるための工夫を考えてみます。
そこで検討してみると、上で紹介した『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』の「マイ教科書作り」を、私はそれなりに続けることができています。自分のためだけのいい加減なメモではありますが、「論理的な文章の書き方」とか「創造的な学びの場の作り方」といった、自分にとって大切なテーマについては、ぼちぼちと「マイ教科書」を作り続けることができています。
なぜ、「マイ教科書作り」が続いているのかといえば、重要な要因は、Evernoteを使っていることです。とりあえずEvernoteに放り込んでおけば散逸しませんし、また、Evernoteなら「Evernoteを育てる」という動機付けもあるのでやる気になります。WindowsだけでなくMacからもiPhoneからも投稿や編集や参照が簡単なのもよいところですし、本のページを撮影した写真データを入れておくこともできます。
つまり、読んだ本の中に、「論理的な文章の書き方」とか「創造的な学びの場の作り方」とかに関連するよい記載があったら、とりあえずEvernoteに放り込む。こんな具体的な行動レベルのルールのおかげで、「マイ教科書作り」が続いているのではないか、ということです。
この「マイ教科書作り」の事例を参考にすると、日々の仕事の中で『私の教科書』を育てるためにも、具体的な行動レベルのルールが大切です。仕事を進めるために何かを調べたり、何かを検討したり、失敗して反省したり、うまくいってうれしく感じたりしたときに、いつも行う具体的な行動を決めておくと、うまく機能する気がします。
今回は、この具体的な行動レベルのルールとして、「日々の仕事のいろんなことを、WorkFlowyに記録する」というものを採用しました。「マイ教科書」に関連するものをEvernoteに放り込むように、日々の仕事のための準備のもろもろをWorkFlowyに放り込むことにします。
b.WorkFlowyの『私の教科書』トピックの育て方
WorkFlowyの運用法として、さしあたり、次の3つを決めました。
(a) Home直下に『私の教科書』トピックを立てる
『私の教科書』は、仕事における「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」です。私がWorkFlowyに期待するもののうち、かなり大きな位置を占めるものになりそうなので、Home直下にトピックを立てることにしました。
日々の仕事を進めるために調べたことや検討したこと、日々の仕事の経験から学んだことは、全部この『私の教科書』トピックの配下に集めることにしました。
(b) 「@tb」タグで脇道着想を捕まえる
WorkFlowyの強みのひとつは、あることについてのトピックを立てて書いたり考えたりしているときに、別のことについての着想が湧きやすいことと、その脇道着想を捕まえやすいことです。脇道着想を捕まえるためのタグをつければ、脇道着想を確実に捕まえることができます。
【WorkFlowy】#タグと@タグで、脇道の着想をキャッチする
WorkFlowyで『私の教科書』を育てるためにも、タグで脇道着想を捕まえることが役に立ちそうです。WorkFlowyで仕事のためのWord文書を作成するときはもちろん(彩郎流二毛作。知的生産の治具マクロ「WFtoMSWD.dot」で、Word文書作成プロセスから得る収穫を倍にする。)、「朝一番の自動書記」で仕事のことをシミュレーションしたりふり返ったりするときにも、タグが活躍してくれそうです。
入力のしやすさ(特にiPhoneからの入力のしやすさ)を考慮して、とりあえず、『私の教科書』のためのタグを、「@tb」にしました。
(c) 情報の蓄積を増やしながら、情報に秩序を与え続ける
WorkFlowyの強みのひとつは、情報の蓄積を増やすことと、蓄積された情報に秩序を与えることを、無理なく同時並行で進めることができることです。
多くの情報管理システムは、情報の蓄積を増やすことと、蓄積された情報に秩序を与えることを、同時並行で進めようとすると、多少の無理が出ます。最初に秩序を決めてから、秩序に合わせて情報を整理するか、逆に、最初に情報を蓄積して、次に蓄積された情報を分類して秩序を作るかの、どちらかを選ぶ必要があります。
でも、WorkFlowyは、トピックの入替えや統合が簡単なので、両方を同時に進めても、無理がありません。
そこで、このWorkFlowyの強みを活かし、日々の仕事の中で『私の教科書』を育てるときも、情報の蓄積を増やすことと、蓄積した情報に秩序を与えることを、同時並行で進めることにします。
3.日々の仕事のあり方を育てる
今回、私は、Lyuさんに影響を受け、日々の仕事の中で『私の教科書』を育てることを始めました。そして、この閃きを具体的な行動に結びつけるために、WorkFlowyに『私の教科書』トピックを育てることにしました。
『私の教科書』という閃きとWorkFlowyトピックによって、今後、「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」の考え方は、日々の仕事でも具体化されることになりました。これによって、日々の仕事のあり方も、きっと何らかの影響を受けるはずです。
願わくば、この変化が好ましい方向の変化だとよいなと思います。WorkFlowyの『私の教科書』トピックを育てることが、日々の仕事のあり方を育てることにつながりますように。
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