単純作業に心を込めるタスク管理
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単純作業に心を込める
目次
1.「単純作業に心を込めて」という行動指針とタスク管理
「単純作業に心を込めて」というこのブログのタイトルは、私の行動指針でもあります。
ブログに「単純作業に心を込めて」と名前をつけたら、「単純作業に心を込めて」という行動指針を得た。
「単純作業に心を込めて」という行動指針は、今の私にとって、うまく機能しています。次の5つの条件を満たすからじゃないかと思ってます。
- (1) 「単純作業に心を込めて」という行動指針に従って行動すれば、大筋で、うまくいく
- (2) 「単純作業に心を込めて」という行動指針に従って行動することが、気持ちよい
- (3) 「単純作業に心を込めて」という行動指針に従って行動する自分のことを、肯定できる
- (4) 「単純作業に心を込めて」という行動指針に従って行動することが、むずかしくない
- (5) 「単純作業に心を込めて」という行動指針に従って行動し続けることに、飽きない
ところで、私の関心事は、タスク管理です。Toodledo、Evernote、IFTTT、Googleカレンダーなどのツールを組み合わせて、自分なりのタスク管理システムを作ることはすごく面白いことです。また、このシステムによって、日々、助けられています。
とはいえ、私がタスク管理に関心を持っている理由は、「夢をかなえるため」や「成功するため」のような、大きくて立派で特別なことを達成するためではありません。私がタスク管理に求めているものは、もっと小さなもの、たとえば、持続可能な毎日を送り続けたり、今日一日を気持ちよく過ごしたり、といった、ささやかで日常的なものです。
さて、私がタスク管理に求めているこれらのささやかなものは、「単純作業に心を込めて」という行動指針と、少なからぬ関係を持っています。
特に、
- (1) 「単純作業に心を込めて」という行動指針に従って行動すれば、大筋で、うまくいく
- (2) 「単純作業に心を込めて」という行動指針に従って行動することが、気持ちよい
- (4) 「単純作業に心を込めて」という行動指針に従って行動することが、むずかしくない
の3つとの結びつきは、かなり深いような気がします。
そこで、「単純作業に心を込めて」という行動指針とタスク管理が、どんなふうに結びついているか、今のところの自分の考えを整理してみます。
2.「単純作業に心を込めて」という行動指針とタスク管理との結びつき
(1) 「「単純作業に心を込めて」という行動指針に従って行動すれば、大筋で、うまくいく」のためのタスク管理
ただし、文字どおり、個々の単純作業だけに全力集中して、その積み重ねとしての全体を無視すると、ひどいことになることもあります。そこで、個々の単純作業に心を込めて取り組むことと、全体をひどいことにならないように動かすこととの間を、何らかの仕組みによってつないでおくほうが無難です。
私は、この点に、タスク管理の存在意義があるんじゃないかと考えています。
個々の単純作業に心を込めて行動することそれ自体に、私は一定の価値を感じています。気持ちよいですし、落ち着きます。
でも、だからといって、個々の単純作業に心を込めさえすれば、全体はどうでもよい、というわけではありません。むしろ、自分の毎日の全体がうまく流れているか否かは、個々の単純作業がうまく進んでいるかよりも、ずっとずっと重要です。個々の単純作業に心を込めて完璧にこなしても、自分の毎日全体がぼろぼろだったら、意味がありません。
しかし、単純作業に心を込めることと、総体としての全体をうまく流すこととは、必ずしもつながりません。それどころか、全体からすればあまり価値のない瑣末な単純作業にこだわり、そこに心を込めることは、全体をうまく流すことを阻害する原因にもなりかねません。
そこで、「個々の単純作業ひとつひとつに心を込めること」を、「総体としての全体をうまく流すこと」へと、つなぐ必要があります。
タスク管理は、このふたつをつなぐ手段になります。唯一の手段ではないかもしれませんが、かなり強力な手段です。
というのも、タスク管理とは、
- (1) 全体をうまく流すために満たすべき要素を洗い出し、
- (2) すべての要素を個々の単純作業に分解して、
- (3) 個々の単純作業のすべてを何らかの方法で管理する
ための仕組みだからです。
そのため、タスク管理システムがうまく機能しているなら、タスク管理システムが管理する個々の単純作業をきちんとこなしさえすれば、全体をうまく流すために満たすべき要素を揃えることができるはずです。
つまり、個々の単純作業に心を込め続けていれば、個々の単純作業の集積である全体も、うまく流れます。
タスク管理があるからこそ、「単純作業に心を込めて」という行動指針に従って行動すれば、全体も、大筋でうまくいきます。
タスク管理の役割は「個々の単純作業に心を込めること」と「全体がうまくいく」ことをつなぐこと
(2) 「「単純作業に心を込めて」という行動指針に従って行動することが、気持ちよい」を支える余裕を生み出すためのタスク管理
ただし、人生を構成する個々の単純作業に心を込めるためには、気持ちに余裕を持つことが必要不可欠です。そして、ひとつひとつの単純作業に心を込められるだけの気持ちの余裕を持つことは、必ずしも簡単なことではありません。そこで、ひとつひとつの単純作業に心を込められるだけの気持ちの余裕を生み出すことをサポートする何かが必要です。
私は、この点にも、タスク管理の存在意義があるんじゃないかと思っています。
私にとって、「単純作業に心を込めて」行動することは、基本的には、気持ちがよいことです。気持ちが落ち着いて心が整いますし、体の無理もなく快適です。また、心を込めて取り組めば、多くの場合、その単純作業をうまくこなせるので、この点でも、気持ちよいです。
ですが、どんなときも、単純作業に心を込めることが気持よいかといえば、そういうわけではありません。私の場合、自分に余裕がないときは、気持ちよく単純作業に心を込めることができません。忙しくて時間に余裕がないとき、疲れていたり眠かったり風を引いていたりして体に余裕がないとき、机の上に書類がいっぱいに広がっていて、スペースに余裕がないときに、机の上を使う事務作業をする時。こんな、余裕がないときは、気持よく単純作業に心を込めることができません。
つまり、「単純作業に心を込めて」行動することが気持ちよいことであるためには、余裕が必要です。気持ちや時間や体や空間に余裕がなければ、単純作業に心を込めることから気持ちよさを汲み取ることができません。
そこで、単純作業に心を込めて行動することに気持ちよさを感じるためには、いかに余裕を生み出すか、が重要になります。
余裕がなくなる原因はいくつかありますが、ひとつの典型的な原因は、自分の許容量を超えたことをしようとすることです。今週の自由時間が残り2時間しかないのに、今週締切りの、所要時間3時間の作業をしようとする、とか、明日は終日頭を酷使する作業をするから、夜には頭が動かない可能性が高いのに、明日の夜に頭をつかう作業を割り当ててしまう、とかです。
許容量を超えれば余裕がなくなるのは当たり前です。にもかかわらず、なぜ自分の許容量を超えたことをしようとしてしまうのかといえば、ここには、次の2つの原因があります。
- (1) 自分の許容量がどれくらい残っているのかが、目に見えない
- (2) 何かをすることが、自分の許容量をどれくらい必要とするのかが、目に見えない
これに対して、タスク管理は、この2つを目で見るための仕組みです。
自分の手持ちタスクの全部を一覧することや、自分の手持ちタスクから今日やるべきタスクだけを抜き出すことは、自分の許容量がどれくらい残っているのかを自分の目で見るために、とても役立ちます。
また、実行したタスクをふり返る仕組みを作れば、どんなことをするためにどの程度の許容量が必要なのかが、だんだんわかってきます。
そのため、タスク管理を続ければ、自分の許容量を超える作業に手を出すことを、ある程度、避けることができるようになります。
結果として余裕を持てますので、タスク管理をすると、「単純作業に心を込めて」行動することに、気持ちよさを感じられるようになります。
(3) 単純作業に心を込めることの優先順位を上げて、「単純作業に心を込めて」という行動指針に従って行動することを簡単にするための、タスク管理
結局、余裕がないときに、単純作業に心を込めることがむずかしい理由は、余裕がなくなると、単純作業に心を込めることの優先順位が下がるためです。どんなに余裕がないときでも、単純作業に心を込めることの優先順位が高ければ、「単純作業に心を込めて」という行動指針に従うことは、むずかしくありません。
単純作業に心を込めて行動することは、ふつうは、むずかしくありません。心を込めて洗濯物をたたむことだって、心を込めて書類をファイルにとじることだって、心を込めて駅の階段を登ることだって、必要なのは自分のやる気ひとつです。
でも、単純作業に心を込めて行動することは、ときに、とてもむずかしいことです。あと10分で家を出なければ通勤電車に乗り遅れて遅刻しそうなときに、洗濯物をたたむことに心を込めることは、なかなかできません。重要な書類を作ることに集中しているときに、いきなり全然関係ない書類のファイリングを頼まれたら、気持ちがざわついて、その書類のファイリングに心を込めていられません。
しかし、これらの場合だって、単純作業に心を込めて行動することそれ自体の難易度が上がっているのかといえば、実は、そうではありません。これらの場合に単純作業に心を込めることがむずかしいのは、単純作業に心を込めることそれ自体がむずかしいからではなくて、その単純作業よりも優先順位が高いことが同時に存在するために、相対的に、単純作業の優先順位が下がっているからです。
洗濯物をたたむという単純作業は、通勤電車に乗り遅れないことよりも、優先順位が下がっています。書類のファイリングという単純作業は、重要な書類を作ることよりも、優先順位が下がっています。だから、心を込めていられません。
反対に、その単純作業の優先順位が高いなら、どんなときだって、取り組んでいる単純作業に心を込めることは、それほどむずかしいことではありません。その単純作業の優先順位が高ければ、単純作業に心を込めることは、すごく簡単なのです。
他方で、単純作業は、単純作業に過ぎません。単純作業は、それ単体では、それほど重要なことではありません。なので、普通にしていれば、単純作業の優先順位は、高くありません。
となると、ポイントは、単純作業の優先順位をあげることです。
ここで、タスク管理が力を発揮します。タスク管理をすれば、今取り組んでいる単純作業の優先順位を上げることができるからです。
まず、すでに述べたように、タスク管理は、個々の単純作業をうまくこなすことを、全体がうまく流れることにつなげます。ということは、タスク管理によって導き出された個々の単純作業は、全体をうまく流すための一要素という役割を担っています。そのため、個々の単純作業は、それだけ価値のある行動になりますので、優先順位が上がります。
たとえば、その書類を丁寧にファイリングしておくことが、いかにプロジェクトの中で生じうるミスを根絶するのかを自覚すれば、ファイリングがプロジェクト全体の成果に貢献することを実感できてます。こうなれば、書類のファイリングという単純作業にだって、心を込める気になります。
次に、タスク管理をすれば、タスクの管理と実行を区別できます。自分の手持ちタスク全体を把握して、優先順位や取り組む順番を決めるのが管理で、個々のタスクを片付けていくのが実行です。
この区別で大切なのは、タスクの優先順位を考えたり、今どのタスクを実行するかを決めるのは、管理の場面の事柄であって、実行の場面の事柄ではない、ということです。実行の場面でやるべきことは、管理の場面が導いた今やるべきタスクを、ひたすら実行することだけです。実行の場面では、そのタスクの優先順位を他のタスクと比較する必要はありません。
言葉を変えれば、タスク管理に従ってタスクに取り組んでいるなら、実行の場面で取り組むタスクは、全部、優先順位が最上位のタスクだ、ということです。
そのため、タスク管理をして、その結果、単純作業に取り組んでいるなら、そのときに取り組んでいる単純作業は、その瞬間のもっとも優先順位の高い作業になります。
このように、タスク管理をすれば、今取り組んでいる単純作業の優先順位を上げることができます。そのため、「単純作業に心を込めて」行動することが、とても簡単になります。
3.タスク管理について書くときに、私がいちばん届けたいこと
私の考える、「単純作業に心を込めて」という行動指針とタスク管理との結びつきは、こんな感じです。
まとめると、
- タスク管理をすることで、個々の単純作業を全体の成果につなげる
- タスク管理をすることで、単純作業に心を込めるための余裕を生み出す
- タスク管理で、単純作業の優先順位を上げることによって、単純作業に心を込めることを簡単にする
というみっつです。
私は、これまで、このブログに、タスク管理に関することを、なんども書いています。なぜタスク管理をすると効果があるかとか、どのようにタスク管理をするとうまくいきやすいかとかを、繰り返し繰り返し、書いてきました。
いま、こうして「単純作業に心を込めて」という行動指針とタスク管理との結びつきを考えて感じることは、私にとってのタスク管理の意義は、このあたりにあるんじゃないか、ということです。タスク管理について書くときに私が届けたいと思っていることは、きっと、このあたりにあるんじゃないかと感じます。
これからも、こんな視点から、タスク管理の意義や役割を書き続けていけたらいいなと思っています。
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