*

WorkFlowyによるタスク管理は、現在と過去を扱う

公開日: : WorkFlowy

1.WorkFlowy「だからこそ」のタスク管理

WorkFlowyは、しばしば、タスク管理ツールとして紹介されます。

たしかに、WorkFlowyは、タスクの管理のために使えます。トピックをCompleteにする機能がを使えば、階層構造を持つチェックリストを作れますし、タグ機能&検索機能、固有URL(特に検索条件の固有URLによる検索条件の保存)などを組み合わせれば、相当高度なタスク管理システムを、自分の好きなように組み立てることができます。

しかし、WorkFlowyでタスクを管理することの本領は、こことは別の場所にあるような気がしています。

というのも、こういった使い方は、WorkFlowy「でも」できる、という使い方に過ぎないためです。ToodledoやTodoistなど、タスク管理プロパーのツールが標準機能で実現している仕組みを、WorkFlowyのいろんな機能を自分なりに組み合わせることで、WorkFlowy「でも」できるようにしているだけです。であれば、無理してWorkFlowyを使うのではなく、ToodledoやTodoistなどを使ったほうがよいはずです。

そこで、WorkFlowyでタスクを管理する本領を考えてみます。WorkFlowy「だからこそ」できるタスク管理のあり方は、どんなものなのでしょうか。

2.タスク管理の、未来・現在・過去

私が考えたキーワードは、未来・現在・過去です。

(1) 未来

タスク管理に求められる第一の役割は、これからの自分がやるべきタスクを把握して、適切なタイミングでタスク実行のリマインダを自分に与えることです。この意味で、タスク管理が扱う対象は、まずは、未来のタスクです。

ToodledoやTodoistなどのタスク管理ツールも、基本的には、未来のタスクを扱うためのツールだと言えます。未来にやるべきタスクを保存し、未来のタスクに実行日や締切りやコンテキストやプロジェクトを登録し、いろいろな基準で要素を作ることで、未来の自分に適切なリマインダを与えることが、ToodledoやTodoistにできることです。

(2) 現在と過去

他方で、タスク管理は、現在や過去のタスクを扱うこともできます。

まず、タスク管理は、タスクの実行を助けてくれます。タスクの実行は、現在のタスクです。

「タスクの実行」を助けてくれるタスクリストの条件は?

次に、タスク管理は、完了タスク情報を蓄積することで、そこから価値を生み出してくれます。完了タスク情報の蓄積は、過去のタスクです。

Toodledoの完了タスクの情報から、価値を掘り出す・ログとしての価値とマニュアルとしての価値

このように、タスク管理は、基本的には未来のタスクを扱うものではあるものの、現在のタスクや過去のタスクを扱うことについても価値を発揮します。

タスク管理は、未来だけでなく、今と過去を扱う

3.WorkFlowyで、現在と過去を扱う

タスク管理を未来・現在・過去という視点は、WorkFlowy「でも」できるタスク管理と、WorkFlowy「だからこそ」できるタスク管理に、光を当ててくれます。

(1) WorkFlowy「でも」できるタスク管理=未来

まず、未来のタスク管理は、WorkFlowy「でも」できるタスク管理です。

プロジェクトごとにトピックを分けたり、未来のタスクを格納するトピックに日付文字列や日付タグや特定の記号をつけたり、日付タグや特定文字列での検索条件をブックマークしたりすれば、WorkFlowyで未来のタスクを管理することは、きっと可能です。

私がToodledoでやっている程度のタスク管理(Toodledoで人生が変わったサラリーマンの、Toodledo運用例・全部入り(2014.2段階))であれば、実現できそうな気がしています。

個人的には、WorkFlowyで未来のタスクを管理できれば、助かります。でも、未来のタスクを管理するだけなら、Toodledoで現にできていることが、WorkFlowy「でも」できるようになっただけです。

現実に受ける恩恵は、それほど大きくはありません。

(2) WorkFlowy「だからこそ」できるタスク管理=現在と過去

でも、現在と過去のタスク管理なら、WorkFlowy「だからこそ」できることがたくさんあります。

前提として、前述のとおり、私は、Toodledoによるタスク管理にも、現在と過去を取り入れています。現在のタスクを管理するためにはデイリータスクリストがうまく機能していますし、過去のタスクを管理するためにはEvernoteとiftttによる電子業務日誌が大活躍中です。

このように、今、私の毎日の中で、Toodledoは、現在と過去のタスクに対して、現に大きな役割を果たしています。

しかし、現にうまく機能しているToodledoと比べても、WorkFlowyが現在と過去のタスクに対して果たしうる役割は、圧倒的で、異次元です。簡単に検討してみます。

a.WorkFlowyが現在のタスクに対して果たす役割

タスク管理が現在のタスクに対して果たせる役割は、「タスクの実行」でした。そして、Toodledoは、デイリータスクリストや瞬時レビューによって、タスクの実行を支援してくれるのでした。タスクを実行する自分の感情を受け止めたり頭を整理したりすることで、いわば間接的に、タスクの実行を助けます。

これに対して、WorkFlowyが「タスクの実行」に対して果たす役割は、もっとずっと直接的です。WorkFlowyなら、タスクを管理しているまさにそのトピックで、そのタスクの実行と不可分一体の作業を進めることができるのです。

たとえば、『アウトライン・プロセッシング入門』は、次のように述べています。

さらに、タスクやプロジェクトを真剣に考えようとすると、それ以外のことを書くスペースが欲しくなってきます。これも既成のタスク管理ツール(デジタル、アナログ含め)に不満を感じる部分です。たとえば「ブログを書く」というタスクがあるなら、そこにそのまま下書きを書いてしまいたいのです。「A社と費用の交渉をする」というタスクがあるなら、どんなふうに交渉するのかまでその中で考えたいのです。

location 1070

つまり、WorkFlowyなら、「ブログを書く」というタスクを記載したトピックと同じ場所で、実際に、ブログを書くことができます。それは、どんなに深層からスタートしても、Zoom機能によって、そのトピックをひとつの文章のように扱うことができるからです。

しかも、このようにタスクと同じ場所にどれだけの分量を書いても、トピックを折りたたんでしまえば、じゃまになりません。

また、トピックを別の場所に移動すれば、その後じっくり書き進めることもできますし、印刷用ブックマークレットを使えば、その場で作ったトピックを印刷し、連絡用の伝言メモを印刷するのも簡単です。

このように、WorkFlowyは、タスクを管理しているその場所に、好きなように書き加えることによって、タスクの実行を助けてくれます。

b.WorkFlowyが過去のタスクに対して果たす役割

タスク管理が過去のタスクに対して果たせる役割は、「完了タスク情報の蓄積」でした。「完了タスク情報の蓄積」から、ログとしての価値やマニュアルとしての価値を掘り出せることが大切です。

この点についてのWorkFlowyの強みは、タスクを実行する場所とタスクを蓄積する場所が一体としてつながっていることにあります。

ToodledoやTodoistの場合、完了タスク情報を蓄積する場所は、別のクラウドサービスでした。iftttによってEvernoteやGoogleDriveに完了タスク情報を飛ばしているため、タスクの実行はToodledoやTodoist、完了タスク情報の蓄積はEvernoteやGoogleDriveという分断が生じています。

これに対して、WorkFlowyなら、過去の完了タスクは、未来や現在のタスクと同じ「ただひとつの巨大なリスト」の中にすべて存在しています。ひとつの同じリストの中にあるので、ある未来のタスクを確認するときに過去の完了タスク情報を参考にすることも簡単ですし、現在のタスクを実行するときに過去のタスクから得た蓄積を再利用することだってすぐにできます。

このように、WorkFlowyは、過去の完了タスク情報を「ただひとつの巨大なリスト」の中で管理することによって、完了タスク情報から価値を掘り出すことを促進してくれます。

4.WorkFlowy「だからこそ」のタスク管理は、現在と過去にある

WorkFlowyは、ある意味、タスク管理ツールでもあります。タスク管理というと、まず思い浮かぶのは、未来のタスクを管理することです。そのため、WorkFlowyでタスク管理をしようと思い立った方がまず最初にとりかかるのは、WorkFlowyで未来のタスクを管理すること、ではないかと思います。

しかし、未来のタスクを管理することは、WorkFlowy「でも」できることに過ぎません。未来のタスクを管理するだけなら、ToodledoやTodoistの方が、多分ずっと上手くやってくれます。

WorkFlowyをタスク管理に使うなら、WorkFlowy「だからこそ」できることに着目するべきです。そして、WorkFlowy「だからこそ」のタスク管理は、現在と過去にあります。

WorkFlowyを使って現在のタスクを実行すること。WorkFlowyに過去の完了タスク情報を蓄積し続けること。これら現在と過去を、未来のタスク管理と組み合わせるとき、WorkFlowyは、うまく機能するタスク管理システムになるんじゃないかという気がします。

スポンサードリンク

関連記事

no image

WorkFlowyの検索演算子

1.WorkFlowyの検索機能 WorkFlowyは、検索機能を持っています。 このWorkFlo

記事を読む

no image

[[タイトルトピック本文](WorkFlowyのURL)]を、複数トピックを対象に、一挙に書き出すブックマークレット

1.課題=「WorkFlowyのURL」+「タイトルトピック本文」のセットを、たくさんのトピックを対

記事を読む

no image

「とりあえずWorkFlowy」から受け取ったもの

1.「とりあえずガンダム」戦略 by 『コンビニ店長のオシゴト』 『Facebook×Twitter

記事を読む

no image

WorkFlowy&HandyFlowyに文字置換機能を追加する「ReplaceFlowy」

マロ。さんが、また偉大な仕事を達成しました。 WorkFlowyに、文字置換機能を追加するブックマー

記事を読む

no image

【連載】iOSからWorkFlowyを快適に使う(5) iPhoneへの切り出しを具体化するための、サブアカウントというノウハウ

パソコンからはすごく使いやすいWorkFlowyですが、iPhoneからはイマイチです。これを解消す

記事を読む

no image

WorkFlowyを育てる

1.WorkFlowyは、育つ 何を言っているんだと思われるかもしれませんが、WorkFlowyは、

記事を読む

no image

【WorkFlowy】#タグと@タグで、脇道の着想をキャッチする

1.はじめに:WorkFlowyのタグ機能で、脇道の着想をキャッチする (1) WorkFlowyの

記事を読む

no image

【WorkFlowy問題集】(1)『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の目次に沿った同書の元記事リストを、公開日基準時系列に並べ替える(検索とトピック移動)

問題 次の【元記事リスト(目次構造)】は、『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』のベース

記事を読む

no image

WorkFlowyでプロジェクトを進める

1.はじめに 最近、WorkFlowyをタスク管理に使えないだろうか、と試行錯誤しています。Tood

記事を読む

no image

WorkFlowyの有機体から、暫定的な作品群を切り出す。AppleScript「WF2html_p3.scpt」による魔法を公開します。

1.WorkFlowyでブログ原稿を書くとは、WorkFlowyでどこまで書くことなのか? (1) 

記事を読む

スポンサードリンク

スポンサードリンク

no image
お待たせしました! オフライン対応&起動高速化のHandyFlowy Ver.1.5(iOS)

お待たせしました! なんと、ついに、できちゃいました。オフライン対応&

no image
「ハサミスクリプト for MarsEdit irodrawEdition」をキーボードから使うための導入準備(Mac)

諸事情により、Macの環境を再度設定しています。 ブログ関係の最重要は

no image
AI・BI・PI・BC

AI 『〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則』を読

no image
[『サピエンス全史』を起点に考える]「それは、サピエンス全体に存在する協力を増やすか?」という評価基準

1.「社会派」に対する私の不信感 (1) 「実存派」と「社会派」 哲学

no image
[『サピエンス全史』を起点に考える]サピエンス全体に存在する協力の量と質は、どのように増えていくのか?

『サピエンス全史』は、大勢で柔軟に協力することがサピエンスの強みだと指

→もっと見る

  • irodraw
    彩郎 @irodraw 
    子育てに没頭中のワーキングパパです。1980年代生まれ、愛知県在住。 好きなことは、子育て、読書、ブログ、家事、デジタルツールいじり。
    このブログは、毎日の暮らしに彩りを加えるために、どんな知恵や情報やデジタルツールがどのように役に立つのか、私が、いろいろと試行錯誤した過程と結果を、形にして発信して蓄積する場です。
    連絡先:irodrawあっとまーくtjsg-kokoro.com

    feedlyへの登録はこちら
    follow us in feedly

    RSSはこちら

    Google+ページ

    Facebookページ

PAGE TOP ↑