『知的生産の技術』のカード・システムと、WorkFlowy
前回は、シゴタノ!の倉下忠憲さんの記事を下敷きにして、『知的生産の技術』の各章を、WorkFlowyの視点から概観しました。
今回は、もう一歩踏み込みます。同書のカード・システムの考え方や発想を、WorkFlowyの使い方に取り入れる方法を探ります。前回と同じように、今回も、倉下忠憲さんがシゴタノ!に公開された記事がベースです。
『知的生産の技術』のカード・システムと、Evernote | シゴタノ!
目次
1.求められる機能1:多目的
こうしてできあがったカードは、一見なんの変哲もないものであるが、この単純さが、カード・システムの効果を発揮させるための条件なのだとおもう。カード・システムのためのカードは、多様な知的作業のどれにもたえられるような多目的カードでなければならない。よけいなものをつけくわえるほど、その用途はせばめられるのである。
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カード・システムのための道具は、たくさんの目的に対応できなければいけません。このために大切なのは、「よけいなものがない」ということです。この条件を、WorkFlowyは十分に満たしています。
『知的生産の技術』は、カードのことを、「一見なんの変哲もないものであるが、この単純さが、カード・システムの効果を発揮させるための条件なのだ」と評価しています。これはまさにWorkFlowyのことです。
「よけいなものがない」という点で、WorkFlowyは、飛び抜けています。WorkFlowyのトピックにできることは、1段落のテキストを保存すること、ただそれだけです。修行僧のような雰囲気が漂ってくるほどです。
そのうえ、WorkFlowyがデータを保存するために用意している入れ物は、このなんの変哲もないトピックただ1種類です。そのため、読書ノートも、日記も、ブログ原稿も、タスクリストも、全部同じトピックに保存することになります。
でも、WorkFlowyの特徴は、トピックを階層構造で管理できることにあります。階層構造を好きなように組み立てることで、ユーザーは、個々のトピックに無限の意味づけをすることができます。この自由さが、WorkFlowyの設計思想です。
知的生産の技術としてのカード・システムは、さまざまな場面で、さまざまな方法で、つかうことができるだろう。研究の過程も、結果も、着想も、計画も、会合の記録も、講義や講演の草稿も、知人の住所録も、自分の著作目録も、図書や物品の貸出票も、読書の記録も、かきぬきも、全部おなじ型のカードでいける。
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現に私がWorkFlowyに保存している文章は、たくさんの目的のために書いたものです。ブログ原稿や、ブログを書きながら考えたこと、日々の中で浮かんだ着想や、毎日のタスクリストや日記、講義の草稿もセミナーのプレゼン資料も、抜き書き読書ノートも書評記事も、全部WorkFlowyの「ただひとつの巨大なリスト」の中にあります。
全然ちがう性格を持つ言葉や文章たちが、同じひとつのリストに同居していることに、当初は気持ち悪さを感じました。でも、今は全然違和感を持っていません。私にとって、これは、当たり前のことです。
かくときには、内容による区別をいっさいしないほうがよい。おなじ種類のカードに、とにかく、とりあえずかくのである。分類するなら、カード・ボックスにいれるときにする。
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書くときに内容による区別をせず、全部同じWorkFlowyのトピックにとにかく、書く。分類したくなったら、あとでトピックを動かして、階層構造で分類します。それで問題ありません。
- とりあえずWorkFlowyに書いておく
- あとでしかるべき場所にトピックを移動する
- とりあえずWorkFlowyを探す
- そのときに気の向くままにWorkFlowyのトピックを耕す
これが行動習慣になると、WorkFlowyを操作することで、あたかも自分の脳を耕しているような感覚を覚えます。
2.求められる機能2:携帯性
カードをほんとうに活用するためには、しじゅうもってあるくようにしなければならない。そのためには、くふうがいる。
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メモの道具は、いつも持ち歩く必要があります。頭に着想が浮かんでくるタイミングは、自分では選べません。どんな状況で着想が浮かんできても、逃さずにその場ですぐにとらえるためには、メモの道具をいつも持ち歩くのが一番です。
WorkFlowyはクラウドサービスなので、スマートフォンアプリもありますし、複数の端末から使えます。なので、スマートフォンを触れるときならスマートフォンから入力し、ノートパソコンを開いているときならノートパソコンから入力する、ということが可能です。いつでもどこにいても、いつもと同じWorkFlowyにメモをすることができます。WorkFlowyは、持ち運べるメモの道具です。
どこからでも同じ場所に書けることによって、メモが散逸する危険がぐっと減ります。メモが散逸しない、ということは、とても大切なことです。いろんな場面でたくさんのメモを書いても、それらのメモが散逸し、蓄積も活用もされなければ、メモへのやる気はいずれどこかに吹き飛んでしまいます。WorkFlowyに書いたメモは散逸しませんので、メモのやる気を無駄にしません。
ただ、スマートフォンから使うWorkFlowyは、今のところ、それほど使いやすくありません。ここは、今後に残された課題です。
3.カードに何を書くのか
カードに何を書くのかといえば、「文章」です。豆論文ともいうべき、着想にまとまった文章のかたちを与えたものを、せっせと書くのです。
わたしたちが「手帳」にかいたのは、「発見」である。毎日の経験のなかで、なにかの意味で、これはおもしろいとおもった現象を記述するのである。あるいは、自分の着想を記録するのである。それも、心おぼえのために、みじかい単語やフレーズをかいておくというのではなく、ちゃんとした文章でかくのである。ある意味では、それはそのままでちいさな論文ないしは論文の草稿となりうるような性質のものであった。
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『知的生産の技術』のカード・システムは、「発見の手帳」から出発しました。カード・システムの底には、「発見の手帳」の原理が流れています。この「発見の手帳」の原理とは、豆論文の形式で書く、というものです。頭のなかでそらで考えるのではなく、頭に浮かんだ着想に、きちんとまとまった文章のかたちを与えます。
日常生活のなかで浮かんだ着想を、単にキーワードメモのままに留めず、きちんとした文章のかたちへと育てることによって、カード・システムは、知的活動の記録になります。
そのような豆論文を、毎日、いろいろな現象をとらえて、つぎつぎとかいてゆくのである。たまってみると、それは、わたしの日常生活における知的活動の記録というようなものになっていった。
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カード・システムは、自分が書いた文章を管理するシステムです。そのため、カード・システムのための道具は、快適に文章を描くことができる道具でなければいけません。『知的生産の技術』も、カードについて、その大きさや紙質や罫線などに、いろいろなこだわりを持っていました。
では、WorkFlowyはどうでしょうか。少なくとも私にとっては、とても気持ちよく文章を書くことができる道具です。動作が軽いこと、UIがシンプルですっきりしていること、キーボードからトピックを思い通りに動かせることなど、いろんな要素がうまく融合しているためか、WorkFlowyで文章を書くのは、とても気持ちのよい時間です。
「発見」は、できることなら即刻その場で文章にしてしまう。もし、できない場合には、その文章の「見だし」だけでも、その場でかく。あとで時間をみつけて、その内容を肉づけして、文章を完成する。見だしだけかいて、何日もおいておくと、「発見」は色あせて、しおれてしまうものである。「発見」には、いつでも多少とも感動がともなっているものだ。その感動がさめやらぬうちに、文章にしてしまわなければ、永久にかけなくなってしまうものである。
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カード・システムに書くのは、文章です。でも、文章を書くには時間がかかります。その場で完全な文章を書き上げるのが難しい場合だって、多いはずです。
こういうときは、着想の断片を書き留め、あとで時間ができたときに、その断片を文章に整えます。WorkFlowyは、このような、まず断片を書き留め、あとで断片を文章に組み立てる、という2段階で文章を書くことが、とても得意です。
また、人間の知的活動を、教養としてではなく、積極的な社会参加の仕かたとしてとらえようというところに、この「知的生産の技術」というかんがえかたの意味もあるのではないだろうか。
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『知的生産の技術』は、知的生産を、積極的な社会参加の仕方ととらえます。日常の生活のなかで見つけた着想を豆論文にして、それをブログに公開すれば、自分の知的活動がささやかだけれど積極的な社会参加へとつながります。
梅棹氏は、カード・システムのカードを組み替えて、『知的生産の技術』の原稿を書きました。これと同じように、WorkFlowyに日々の発見を豆論文として書き続けていれば、そこからブログエントリを切り出すのは簡単です。
4.カードの使い方の基本原則1
カードの使い方の基本原則1は、「カードは、他人がよんでもわかるように、しっかりと、完全な文章でかく」です。今の自分ではない人がそのカードを読むだけで、その内容をしっかりと理解できるように、完全な文章で書きます。豆論文と同じです。
なぜでしょうか。「記憶するかわりに記録する」ためです。
わたしは、なるだけ記憶をたよりにしないようにしている。なかには記憶力のすぐれたひともいるけれど、だいたいにおいて人間の記憶はあてにならない。記憶をたよりに知的作業をすすめようとするひとを、わたしはあんまり信用しない。
カードは、他人がよんでもわかるように、しっかりと、完全な文章でかくのである。「発見の手帳」についてのべたときに、豆論文を執筆するのだといったが、その原則はカードについてもまったくおなじである。カードは、メモではない。
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別の観点からいえば、「忘れるために文章で書く」です。カードに書かれた文章を読みさえすれば、どんな着想なのかがわかるように書けば、自分の頭で着想を覚えておく必要はありません。忘れても、着想はちゃんと蓄積されます。カードは、忘却のための道具です。
頭のなかに記憶するのなら、カードにかく必要はない。カードにかくのは、そのことをわすれるためである。わすれてもかまわないように、カードにかくのである。標語ふうにいえば「記憶するかわりに記録する」のである。あるいは、「頭にいれずにカード・ボックスにいれる」のである。
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WorkFlowyに着想をメモするときも、「次にWorkFlowyのこのトピックを見るときには、この着想の内容をきれいさっぱり忘れているもの」という前提で、きちんとした文章を書くようにします。
カードにかいてしまったら、安心してわすれてよいのである。そこで、カードをかくときには、わすれることを前提にしてかくのである。つまり、つぎにこのカードをみるときには、その内容については、きれいさっぱりわすれているもの、というつもりでかくのである。
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ただ、その文章を読むだけで着想の内容がわかるような文章を書くのは、骨が折れます。自分のためだけにそんな文章を書き切ることは、なかなかできません。でも、ブログのために文章を書くなら、読者が理解できるように書きますので、自然と、その文章だけで着想の内容を理解できる文章を目指して書くことになります。ブログを書くことは、この意味でも、着想を蓄積するためのよい手段です。
5.カードの使い方の基本原則2
カードの使い方の基本原則その2は、「1枚のカードにはひとつのことを書く」です。
一枚のカードにはひとつのことをかく。この原則は、きわめてたいせつである。
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1枚のカードに複数の内容が混ざっていると、そのカードを活用するのがうまくいかないからです。梅棹氏は、思い切って小さい単位に分けることを推奨します。
おもいきって、ちいさい要素にわけたほうが成功する。一枚のカードに一行しかかいてなかってもかまわないのである。カードをけちっていたのでは、カードはつかえない。
WorkFlowyは、ひとつのトピックには1段落のテキストしか格納できない設計になっています。段落を分けると、自動的に、トピックが分かれるわけです。
そのため、WorkFlowyで着想をメモする際に、1段落にひとつのことを書く、という方針を守っていれば、自然と、1トピックにひとつのこと、という原則を守ることができます。
他方で、WorkFlowy無料プランでは、1ヶ月の新規トピック数に制限が設けられています。WorkFlowyを知的生産の道具として存分に使うのであれば、トピック数制限のないWorkFlowy Proにアップグレードすることも有効な選択肢だという気がします。「トピックをけちっていたのでは、WorkFlowyはつかえない」なのです。
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1枚1枚のカードには、いくつか、形式的に大切なことがあります。
まず、「見出し」です。
そのかわり、豆論文にはかならず「見だし」をつける。
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それから、「日付」です。
おなじように、カードにもかならず日づけをいれる習慣をつけたほうがよいだろう。わたしは、カードの左下のすみに、日づけをいれることにしている。また、おなじ項目で何枚かのつづきものカードができることがある。そのときには、一連番号をうつ。
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複数のカードを関連付けるなら、WorkFlowyのURLをトピックやnoteに書き込むのがよいかと思います。トピック間にリンクをはりめぐらす感覚です。
6.分類について
カード・システムは、情報を分類するためのシステムではありません。
カードのことをいうと、だれでも、分類はどうするのか、ということを気にされるようである。あるいは、カードといえばかならず、数千枚、数万枚のカードが整然と分類されて、ケースに保管されているところを想像するようだ。しかしこれは、カードというものは知識を分類して貯蔵するものだという、たいへん普遍的で、またむりからぬ誤解からくるまちがいである。
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では、何のためのシステムなのでしょうか。それは、情報の操作です。
カード・システムでは、情報を記載したカードを取り出し、組み合わせを作ったり、並べ替えたりすることで、情報を操作します。
くりかえし強調するが、カードは分類することが重要なのではない。くりかえしくることがたいせつなのだ。いくつかをとりだして、いろいろな組みあわせをつくる。それをくりかえせば、何万枚のカードでも、死蔵されることはない。
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分類ではなく操作が重要なんだ、ということは、『知的生産の技術』の文章作成法である「こざね法」にも現れています。
つぎは、この紙きれを一枚ずつみながら、それとつながりのある紙きれがほかにないか、さがす。あれば、それをいっしょにならべる。このとき、けっして紙きれを分類してはいけない。カードのしまいかたのところでも注意したことだが、知的生産の目的は分類ではない。
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分類するのではなく、論理的につながりがありそうだ、とおもわれる紙きれを、まとめてゆくのである。何枚かまとまったら、論理的にすじがとおるとおもわれる順序に、その一群の紙きれをならべてみる。そして、その端をかさねて、それをホッチキスでとめる。これで、ひとつの思想が定着した
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WorkFlowyでも同じです。トピックを扱うときに大切なのは、トピックを分類することではなく、操作することです。階層を組み立てたり、並べ替えたり、分割したり、合体させたり、といった操作が肝心です。
とはいえ、ひとつのリストしか使えないWorkFlowyには、多種多様な情報が保存されています。トピックを分類しないと、買い物リストと論文の原稿が同居して、よくわからないことになりそうです。
そこで、Home直下などの上位階層を、何らかの基準であらく分類しておくのが現実的です。『知的生産の技術』は、分類の基準について、このように述べます。
ある意味では、それは分類というようなものではないかもしれない。知識の客観的な内容によって分類するのではなく、むしろ主体的な関心のありかたによって区分するほうがよい。
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主観的な関心のあり方による区分として、私は、「分人」に大きな可能性を感じています。「分人」とは、平野啓一郎さんが『私とは何か』や『ドーン』、『空白を満たしなさい』などで明らかにした考え方なのですが、これとアウトライン・プロセッシングとの関係は、「分人ネットワークとアウトライン・プロセッシング | gofujita notes」をぜひご一読ください。
分類に関して、WorkFlowyで大切なことが、もうひとつあります。それは、分類の基準を固定する必要はない、ということです。WorkFlowyの強みは、階層構造の組み替えが大変簡単であることです。既存のトピックをまったく異なる階層に組み替える作業も、すぐにできてしまいます。
WorkFlowyによるカード・システムにおいて、分類は、そのときそのときの主観的な関心のあり方によって、流動的に変化していくものです。
7.課題
(1) 創造の装置としてのEvernote
倉下忠憲さんは、カード・システムの観点から見たときのEvernoteの課題として、創造の装置としてもう一歩な部分があることを指摘されます。
蓄積の装置としては抜群に機能してくれますが、創造の装置としてはもう一歩な部分があるのです。それが、どのような形で実現されるのかはわかりませんが、きっとこの課題も時間と共に解決されていくことでしょう。
どういうことでしょうか。
知的生産システムが創造の装置として機能するためには、2つのことが大切です。ひとつは「折にふれて情報を見返すこと」で、もうひとつは「組み替えたり並べ替えたりして情報を操作すること」です。
まず、前者の「折にふれて見返すこと」を考えてみましょう。
カードは物なので、それ自体がリマインダになります。これに対して、Evernoteは物ではありませんので、この点で若干弱いといえます。他方で、Evernoteには、リマインダ機能や関連するノート機能が備わっています。日常的にEvernoteを使い、Evernoteが日々の知的生産における基地のような存在になっていれば、Evernoteの中の情報を折にふれて見返すことは、わりと自然に生じます。そのため、「折にふれて見返すこと」については、Evernoteはむしろ優秀な気がします。
これに対して、後者の「組み替えたり並べ替えたりして情報を操作すること」については、Evernoteそれ自体の機能だけでは、実現不可能です。
倉下さん自身は、この対策として、AppleScriptによってEvernoteのノートを「くる」方法を考案されていて(Evernoteのアイデアカードを「くる」方法 | シゴタノ!)、たしかに有効な方法なのですが、誰にでもできることではありません。Evernote自体が、情報の組み替えや並べ替えに向いていないことは、否めない事実です。
私は思うのですが、知的生産の場面で求められる情報の組み替えや並べ替えとは、自分の意図を持って、自分の手で行う作業です。これに対して、Evernoteはデータベースなので、情報の組み替えや並べ替えは、個々のデータが持つ様々な要素を基準にして、自動的に行うべきものとされているような気がします。
Evernoteにおいては、情報の操作は、ユーザーが意図を持って手作業でするものではなく、Evernote側が全部自動でやってくれるもの、と位置づけられています。ですから、Evernoteに情報を操作する機能がないことは、自然なことのように思います。
(2) 創造の装置としてのWorkFlowy
では、WorkFlowyはどうでしょうか。
前者の「折にふれて情報を見返す」については、WorkFlowyは、リマインダ機能や関連するノート機能を持っていません。折にふれてふさわしい情報を自動的に見返すことになる仕組みをつくることは、WorkFlowyではできません。
では、どうしたらよいでしょうか。
ここでも、自分の意図を持った手作業が解決になります。
検索機能、タグ機能、トピック移動機能などによって、自分にとって大切な情報を浮かび上げる運用ルールを実践し続けることによって、折にふれて情報を見返します。
たとえば、「毎朝、その日の日付で「知的生産」トピックを検索する」、「1週間に一度、アイデア用のタグ「#idea」を確認する」、「書きかけの文章は「書きかけ」トピックの一番上に移動する」などが、折にふれて見返すための運用ルールの具体例です。
後者の「組み替えたり並べ替えたりして情報を操作すること」については、WorkFlowyは抜群です。WorkFlowyはデータベースではないので、個々のトピックが持っている要素を基準にした自動的な組み替えや並べ替えは、できません。でも、WorkFlowyは、自分の意図を持って手作業でトピックを組み替えたり並べ替えたりすることは、抜群に得意です。
(3) WorkFlowyの課題は、蓄積の装置にあるのか?
では、WorkFlowyの課題は、Evernoteとは逆に、「創造の装置としては抜群に機能してくれますが、蓄積の装置としてはもう一歩な部分がある」なのでしょうか?
ここでは結論だけ書きますが、私は、そうではないと考えています。WorkFlowyは、蓄積の装置としても、抜群に機能してくれます。データベースではないので、自動的な抽出機能や並べ替え機能はありません。しかし、自分の意図を持って手作業で組み替えや並べ替えを自由にできるWorkFlowyだからこそ実現できる蓄積の仕方がある、というのが、今の私の実感です。
創造の装置だと思われているWorkFlowyを蓄積の装置としても使うとき、WorkFlowyは、知的生産のための装置として、うまく機能します。
8.さいごに
カードは、適当な分類さえしておけば、何年もまえの知識や着想でも、現在のものとして、いつでもたちどころにとりだせる。カード法は、歴史を現在化する技術であり、時間を物質化する方法である。
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私がWorkFlowyに感じるのは、まさにこれです。WorkFlowyは、歴史を顕在化する技術であり、時間を物質化する方法です。
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