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私家版WorkFlowy用語の基礎知識(β版)

公開日: : 最終更新日:2016/05/05 WorkFlowy

WorkFlowyの特徴のひとつは、アウトライン操作にあります。では、アウトラインとはなんでしょうか。また、アウトラインを操作するとは、どのようなことをいうのでしょうか。

ここでは、WorkFlowyの使い方説明の一助になることを期待して、一応の定義を試みます。

ただし、ここでの定義は、厳密な議論のためのものではなく、WorkFlowyの使い方をわかりやすく説明するためのものです。アウトライナーやアウトライン・プロセッシングに関する徹底した議論をするためには、もう少し厳密な定義が求められると思われます。が、それは守備範囲外とさせていただきました。

1.アウトラインを構成する要素

(1) トピック

「トピック」は、WorkFlowyの基本単位です。

WorkFlowyは、「・」から始まるテキスト1段落を「トピック」としています。

ひとつのトピックは、本文、note、メタ情報という3つの情報を持っています。

本文は、トピックに格納された1段落のテキストデータです。テキストしか格納できず、また、1段落しか格納できません。

noteは、トピックの注です。noteに記入できるのは、テキストです。おそらくですが文字制限はなく、また、複数の段落に分けることができます。下線・太字・斜体も使えます。noteはトピックに従属する存在なので、トピックの注だと理解するのがよいかと思います。

それぞれのトピックは、目に見えないメタ情報を持っています。更新時、トピックの固有URL、共有状態などです。

(2) アウトライン

a.「アウトライン」

WorkFlowyにテキストを保存するためには、必ず、トピックという入れ物に入れる必要があります。WorkFlowyの実体は、トピックの集合体です。これらトピックすべての集合体を、「アウトライン」と呼ぶことにします。

WorkFlowyの特徴は、階層構造にあります。トピック群を階層構造に組み立てたものが、WorkFlowyの「アウトライン」です。

b.「ただひとつの巨大なリスト」

WorkFlowyは、ひとつのアカウントに対してひとつのアウトラインしか持てない設計になっています。そのため、WorkFlowyの「アウトライン」は、ひとつのWorkFlowyアカウントが保存しているすべてのデータと一致します。

この側面を強調して「アウトライン」について述べるとき、私は「ただひとつの巨大なリスト」という表現を使うことを好みます。

c.「Home」

WorkFlowyは、「アウトライン」を表示する画面に、「Home」という名前をつけています。

この「Home」は、見方によっては、「アウトライン」全体のもうひとつ上の階層に位置するトピックです。「Home」トピックは「ただひとつの巨大なリスト」の根源たる特別なトピックなので、「Home」トピックを操作することはできません。

(3) リスト

a.「リスト」の定義

WorkFlowyの特徴は、Zoomです。Zoomとは、アウトラインの中に存在するどれかひとつのトピックを、あたかもそのトピックが最上位階層の原点であるかのように、そのトピックの子トピックだけを表示する機能です。

Zoom機能を備えているからこそ、WorkFlowyは、「ただひとつの巨大なリスト」によって多種多様な情報を扱うことができます。

Zoomによって表示されているトピック群は、アウトライン(「ただひとつの巨大なリスト」)の一部です。そこで、これらトピック群を表現するには、全体を示す「アウトライン」とは別の用語を使うほうがわかりやすいです。

そこで、Zoomによって表示されているトピック群を、「リスト」と呼ぶことにします。「リスト」とは、「アウトライン」の一部をZoomによって表示したものです。

b.「リスト」の構成要素

「リスト」の構成要素を、もう少し細かく定義しておきます。

(a) タイトルトピック

「リスト」の上部には、Zoomしているトピックの本文が大きく表示されます(さらに、そのトピックにnoteがくっついている場合、noteの全文が表示されます)。

このとき大きく表示されるトピックを、「タイトルトピック」と呼ぶことにします。

(b) パンくずリスト

タイトルトピックの上には、Homeからそのトピックまでの階層が「>」でつながれて、表示されています。これを「パンくずリスト」と呼ぶことにします。

ちなみに、「パンくずリスト」に表示された階層は、そのひとつひとつがリンクになっています。

(c) リストの本体

タイトルトピックの下には、タイトルトピックの子トピックや孫トピックが表示されています。これらのトピックが表示されている場所を、リストの「本体」と呼ぶことにします。

2.トピック群を特定したり表現したりするための用語

WorkFlowyの「アウトライン」や「リスト」は、たくさんの「トピック」の集合体です。ひとつのアウトラインやリストの中にたくさんのトピックが存在していますので、あるトピックを特定したり、トピックとトピックの関係を表現したりするための用語があると便利です。

そこで、以下の用語を使います。

(1) トピックを特定するための用語

WorkFlowyのアウトラインやリストには、横軸と縦軸があります。この横軸と縦軸を使うと、トピックを特定するのに便利です。横軸を「階層」、縦軸を「順序」と呼ぶことにします。

a.階層

WorkFlowyの階層構造は、トピック冒頭の「・」のインデントによって表現されています。

このトピック冒頭にある「・」の位置が、「階層」を示します。

「・」が左にある方が「浅い」で、右にある方が「深い」です。「・」を左から右に移動させるのが「階層を下げる」で右から左に移動させるのが「階層を上げる」です。

階層には、目盛りがあり、数えることができます。数え方は、リスト本体の一番左に表示されているトピック(たち)を「第1階層」とし、以下、「第2階層」「第3階層」…とします。

この数え方でいくと、リストのタイトルトピックは、「第0階層」です。「最上位階層」と呼ぶこともあります。

b.順序

WorkFlowyのアウトラインやリストを構成するトピックは、上から順番に並んでいます。この並び順が、順序です。

画面表示上、上の方が「前」で、下の方が「後」です。画面表示上の下から上にトピックを移動するのが、順序を「前にする」で、上から下に移動するのが、順序を「後にする」です。

(なお、順序を前にするは「上げる」、順序を後にするは「下げる」の方がわかりやすい気もします。ただ、「上げる」と「下げる」は、階層を浅くしたり深くしたりするために使うことが多いので、できる限り使わないことにします。ただ、「上げる」「下げる」の方がわかりやすいことは否めませんので、誤解の危険が少ない場面では、順序を前にしたり後にしたりする意味で、「上げる」と「下げる」を使うことにします。)

リスト本体エリアの一番最初の順序に位置づけられているトピックは、順序1番めのトピックです。画面表示上は一番上なので、一番上と表現することもあります。

同様に、順序が2番めのトピックが「順序2番めのトピック」で、3番めのトピックが「順序3番めのトピック」です。

こんなあたりまえのことをしつこくくどくど書いているのは、階層構造との関係があるからです。

まず、順序を数えるときは、階層は関係ありません。深さは無視して、上からいくつめのトピックなのか、だけを数えます。

次に、階層によってトピックが折りたたまれている場合は、見えているトピックだけを数えることにします。折りたたまれたトピックの下にいくつのトピックが潜んでいるのかは確かめようがありませんので、見えているトピックを対象として、何番めかを数えます。

WorkFlowyの「順序」は、連続していて、欠番はなく、ダブリもありません。1番の次は2番で、100番の次は101番ですし、1番も2番も100番も101番も、2つ以上は存在できません。

そのため、順序は、そのときに表示されているリストの中に存在するトピックを特定して表現するための、確実な手段になります。

(折りたたまれていたトピックが展開されれば順序が変わってしまいますので、特定が切れてしまいます。しかし、トピックの移動やZoomでも同じことなので、大きな問題ではありません。)

(2) トピックとトピックの関係を表現するための用語

WorkFlowyのトピック群は、階層構造を持っています。階層構造は、構造です。個々の構成要素間に、いろいろな関係が存在しています。

WorkFlowyのトピック相互間の関係性を表現するための用語を確認します。

a.親子関係・階層関係

(a) 親子関係または階層関係

トピックには、階層の深さがある、と説明しました。しかし、トピックは、自分ひとりだけで階層を深く潜ることができません。あるトピックが深い階層に潜りたいと思ったら、そのトピックは、自分以外のいずれかのトピックの下に潜る必要があります。トピックの階層の深さは、そのトピックよりも1階層上のトピックとの関係で生じます。

トピックの階層を生み出すこの関係を、トピックの「親子関係」または「階層関係」と呼ぶことにします。

「親子関係」は、「親トピック」と「子トピック」の関係です。ひとつの「親トピック」からひとつ以上の「子トピック」が生まれる関係に立ちます。

「階層関係」も同じ意味です。「親子関係」の方がわかりやすいので、基本的には「親子関係」を使いますが、階層の深さを数えるときは「親トピックの親トピック」よりも「2階層上のトピック」という表現の方が簡単なので、「階層関係」も併用することにしました。

トピックの階層を深くするためには、そのトピックをあるトピックの子トピックにする必要があります。どんな深さに属するトピックも、親トピック(そのトピックの1階層上のトピック)との関係を持っていて、その親トピックも、さらにその親トピックとの関係を持っています。この連鎖は、階層0のトピックであるHomeまで続いているので、Homeは、すべてのトピックの母のような存在だといえます。

(b) 親子関係についての、トピックを表現する用語

親子関係に立つトピック群のうち、上の階層のトピックが「親トピック」で、下の階層のトピックが「子トピック」です。「親トピック」「子トピック」という用語は、基本的には、1階層の関係を表現します。つまり、「親トピック」の1階層下のトピックが「子トピック」であり、「子トピック」の1階層上のトピックが「親トピック」です。

これに対して、2階層以上離れた場合は、「孫トピック」「子孫トピック」や「祖父母トピック」「先祖トピック」という用語を使うこととします。

「孫トピック」は、基本的には、[子トピックの子トピック]、つまり、2階層下のトピックです。しかし、[子トピックの子トピックとそれより下すべてのトピック]、つまり2階層以上下のトピックを全部まとめて「孫トピック」ということもあります。

「子孫トピック」は、[子トピックとそれより下すべてのトピック]です。

「祖父母トピック」は、基本的には、[親トピックの親トピック]、つまり、2階層上のトピックです。しかし、[親トピックの親トピックとそれより上すべてのトピック]、つまり2階層以上上のトピックを全部まとめて「祖父母トピック」ということもあります。

「先祖トピック」は、[親トピックとそれより上すべてのトピック]です。

これら「親トピック」「子トピック」「孫トピック」「祖父母トピック」などは、すべて相対的な概念です。基準とするトピックによって、ひとつのトピックが「親トピック」になったり「孫トピック」になったりします。

なお、厳密に言えば、親・子・孫・祖父母などは、基準とするトピックを起点に考えるべきかもしれません。つまり、基準トピックの1階層上が「親トピック」、基準トピックの1階層下が「子トピック」ということです。しかし、この定義では、「親トピック」と「子トピック」とが、基準トピックをはさんで、2階層離れてしまいます。1階層の階層関係に立つ2つのトピックを「親トピック」「子トピック」と表現する方がわかりやすいと思いますので、上記のように定義しました。

b.兄弟姉妹関係・順序関係

(a) 兄弟姉妹関係または順序関係

WorkFlowyの階層構造では、同じ階層に複数のトピックを配置することができます。同じ階層に連続した順序のトピックが存在するとき、それらのトピックは、「兄弟姉妹関係」「順序関係」に立ちます。

別の観点でいえば、「親トピック」を共通とする複数の「子トピック」間の関係が、「兄弟姉妹関係」「順序関係」です。

「兄弟姉妹関係」「順序関係」は、並列関係とは少しちがいます。何がちがうかといえば、順序がある点です。並列関係というと、順序がなく、等価だとされますが、WorkFlowyの「兄弟姉妹関係」「順序関係」には、明確な順序があります。

(もちろん、順序なしの並列関係と意味づけることは可能ですが、構造自体には、順序がある、ということです。)

順序がありますので、兄弟姉妹は、「何番め」と数えることができます。

(b) 兄弟姉妹関係についての、トピックを表現する用語

「兄弟姉妹関係」に立つトピック群のうち、順序が前のトピックが「兄姉トピック」で、順序が後のトピックが「弟妹トピック」です。

「兄姉トピック」は、厳密には[親トピックの子トピックのうち、順番が自分のひとつ前のトピック]を意味します。でも、[親トピックの子トピックのうち、順番が自分より前のすべてのトピック]という意味で「兄姉トピック」という用語を使うこともあります。

「弟妹トピック」は、厳密には[親トピックの子トピックのうち、順番が自分のひとつ後のトピック]を意味します。でも、[親トピックの子トピックのうち、順番が自分より後のすべてのトピック]という意味で「おとうと妹トピック」という用語を使うこともあります。

c.階層関係と順序関係の組み合わせ

階層関係と順序関係の複合的な関係

階層関係と順序関係は、合わさって複合的な関係を持つこともあります。たとえば、親トピックの兄姉トピック、妹と弟トピックの孫トピック、という感じです。

トピックを指す用語

いろいろありえますが、たとえば、以下のとおりです。

  • 甥姪トピック
    • 兄姉トピックまたは弟妹トピックの子トピック
  • 叔父叔母トピック
    • 親トピックの兄姉トピックまたは弟妹トピック

3.アウトライン・リスト・トピックの操作に関する用語

WorkFlowyは、アウトラインを操作することができます。アウトラインの操作とは、

  • トピックの移動
  • トピックの折りたたみ&展開
  • トピックへのZoom

の3つです。

このうち、最初の「トピックの移動」はアウトラインの構造を組み替えるものであるのに対して、残り2つの「トピックの折りたたみ&展開」と「トピックへのZoom」は、アウトライン構造はそのままで、表示するリストを切り替えるもの、いわば視点を変えるものといえます。

(1) トピックの移動

WorkFlowyは、トピックの階層や順序を変えることができます。これが、「トピックの移動」です。

a.トピック移動の単位

トピックの移動は、そのトピックとそのトピックのすべての子孫トピックを単位とします。つまり、子トピックや孫トピックを持つ親トピックを移動させると、親トピックと一緒に、子トピックや孫トピックも移動する、ということです。

b.「順序の移動」と「階層の移動」

WorkFlowyにおいて、トピックの場所を決める要素は、「順序」と「階層」です。そのため、WorkFlowyのトピック移動には、「順序の移動」と「階層の移動」があります。

(a) 「順序の移動」

「順序の移動」は、そのトピックを順序の軸で「前」や「後」に動かすものです。それだけのシンプルなものなのですが、厳密に見ていくと、多少、おさえておくべきことがあります。

まず、WorkFlowyの「順序」は、欠番を許さないのでした。ですから、あるトピックを移動させることによって、もともとそのトピックが存在していた順番を欠番にすることはできません。ではどうするかといえば、「順序」の移動はつまるところ「順番の交換」です。「前」や「後」のトピックと、「順番の交換」をすることが、「順序の移動」なのです。

となると、「順番の交換」相手のトピックがどのように決まるかがわかれば、「順序の移動」を理解することができます。ただし、この決まり方は複雑ですし、このルールを厳密に理解していなくても、大筋で支障はありません。そこで、若干正確性を欠きますが、ここでは、移動するトピックと同じ階層に属する「前」や「後」のトピックと「順番の交換」をする、と説明しておきます。

(b) 「階層の移動」

「階層の移動」は、そのトピックを階層の軸で「上」や「下」に動かすものです。階層を浅くしたり深くしたりします。

「階層の移動」でおさえておく必要があるのは、WorkFlowyでは、トピックの階層は連続している必要がある、ということです。「親トピック」の下は、必ず「子トピック」です。「親トピック」の下に「子トピック」を飛ばして「孫トピック」を置くことはできません。

この制約を踏まえて、「階層の移動」をもう少し細かく見てみます。

まず、階層を浅くすることを、「階層を上げる」と呼ぶことにします。「階層を上げる」とは、[あるトピックを、親トピックの(直近の)弟妹トピックにする]ことを意味します。

次に、階層を深くすることを、「階層を下げる」と呼ぶことにします。「階層を下げる」とは、[あるトピックを、(直近の)兄姉トピックの子トピックにする]ということです。

若干回りくどい定義をしたのには、理由があります。WorkFlowyの「階層を上げる」「階層を下げる」は、[順序を変えずに階層を上げる][順序を変えずに階層を下げる]ではないからです。

具体的に見てみましょう。

こんなトピックがあるとします。

  • 波平
    • サザエ
      • タラオ
    • カツオ
    • ワカメ

このとき、「カツオ」トピックの階層を上げるとします。仮に、「階層を上げる」が[順序を変えずに階層を上げる]であれば、こうなるはずです。

  • 波平
    • サザエ
      • タラオ
  • カツオ
    • ワカメ

しかし、実際は、こうなります。

  • 波平
    • サザエ
      • タラオ
    • ワカメ
  • カツオ

これは、「階層を上げる」が、[あるトピックを、親トピックの(直近の)弟妹トピックにする]だからです。「カツオ」トピックの親トピックは「波平」トピックです。そこで、「カツオ」トピックは、「階層を上げる」と、波平トピックの(直近の)弟妹トピックになります。

別の観点からせつめいすれば、こういうことです。

WorkFlowyのトピックは、自分自身が移動することによって、他のトピックの子になることができますが、自分自身が移動することによっては、他のトピックの親になることはできません。トピックが親になるのは、別のトピックが移動してきて、そのトピックの子トピックになったときだけです。自分自身がどのように移動しても、自分自身の移動だけでは、他のトピックの親となることはできません。

「カツオ」は、自分の意志だけで、「サザエ」や「ワカメ」や「タラオ」の子になることができます。でも、「カツオ」は、自分の意志だけでは、「サザエ」や「ワカメ」や「タラオ」や「波平」の親になることはできないのです。

(2) 折りたたみ&展開

トピックの移動は、WorkFlowyのアウトラインの構造を組み替えるものでした。これに対して、折りたたみ&展開は、構造自体は変えずに、表示を変えます。

a.折りたたみと展開の基本的な説明

折りたたみと展開は、親子関係を前提とします。

(a) 折りたたみ

親子関係に立つトピック群があったとき、「親トピック」だけを残して「子孫トピック」を見えなくすることを、「折りたたみ」といいます。

(b) 展開

親子関係に立つトピック群があったとき、「親トピック」の「子トピック」を見えるようにすることを、「展開」といいます。

b.親トピックを折りたたむのか、子トピックを折りたたむのか

「折りたたみ」と「展開」ではっきりさせておくとよいのは、折りたたむのは「親トピック」なのか「子トピック」なのか、です。

たとえば、こんなトピックがあるとして、折りたたみによって、「波平」トピックだけを表示したとします。このとき、折りたたまれたのは、「波平」トピックでしょうか。それとも、「サザエ」トピックと「カツオ」トピックと「ワカメ」トピックでしょうか。

  • 波平(親トピック)
    • サザエ(子トピック)
    • カツオ(子トピック)
    • ワカメ(子トピック)

つまり、折りたたみによって「親トピック」だけを表示して「子トピック」を非表示にしたことを、[親トピックを折りたたんだ]表現するのか、[子トピックを折りたたんだ]と表現するのか、という問題です。

私は、[親トピックを折りたたんだ]と表現しています。子トピックについては、[折りたたみによって、子トピックが表示されなくなった/見えなくなった]などの表現です。

「波平」たちの例でいえば、折りたたんだのは「波平」トピックで、「波平」トピックを折りたたむことによって、「サザエ」トピックたちが見えなくなった、となります。

c.折りたたみと展開の定義

これを踏まえて、折りたたみと展開のもうちょっと丁寧な定義は、こうなります。

「トピックの折りたたみ」とは、[そのトピックの子孫トピックを非表示にすること]です。

「トピックの展開」とは、[折りたたみによって非表示になっていたそのトピックの子トピックを表示すること」です。(「展開」によって表示されるのは、すべての「子孫トピック」とは限りませんので、「子トピック」としました。「孫トピック」以下の「子孫トピック」が展開されるか否かは、「子トピック」の折りたたみ・展開状況次第です。)

(3) Zoom

a.Zoomは、視点の場所の変更

「Zoom」は、WorkFlowyの超重要概念です。Zoomを理解して使いこなすことさえできれば、もうWorkFlowy初心者ではありません。

では、Zoomとは何でしょうか。

Zoomとは、[「アウトライン」に存在するトピック群のうち、あるトピックとその子孫トピックだけを、そのトピックを最上位階層とする独立したひとつの「リスト」として表示すること]です。

ややこしいので、順をおって説明します。

「リスト」とは、WorkFlowyの「アウトライン」のトピック群のうち、ひとつのトピックにZoomしたものでした。リストの「タイトルトピック」にはZoomしたトピックが表示され、リストの「本体」にはZoomしたトピックの子孫トピックが表示されます。ただ、この説明にはZoomが登場するので、定義が循環しています。そこで、もう少し別の観点から見てみます。

「リスト」とは、WorkFlowyの「アウトライン」(すなわち「ただひとつの巨大なリスト」)の中にある任意の一部だけを拡大して表示したものです。「リスト」を表示するとき、WorkFlowyは、「アウトライン」の構造に手を加えていません。「アウトライン」の構造を前提に、その一部を拡大表示したものが、「リスト」です。

そうだとすると、「Zoom」は、「リスト」として拡大表示する対象を切り替える動作を指します。つまり、Zoomとは、表示する「リスト」の切り替えです。

「Zoom」は、「アウトライン」の構造に手を加える動作ではありません。そうではなく、今ある「アウトライン」の構造を前提に、表示する視点だけを替える動作です。

「Zoom」は、視点の場所の変更だともいえます。WorkFlowyの「場所」とは、「順序」と「階層」で特定されるトピックの場所なので、視点をどの順序のどの階層に存在するトピックに置くかを切り替えることが、Zoomです。(ただし、実際には、「順序」が決まれば自動的に「階層」も決まります。)

b.Zoomの種類

「Zoom」には、視点をどのように変化するかによって、いくつかの種類があります。「Zoom」から通常イメージされるのは「Zoom in」と「Zoom out」の2つですが、「Zoom」の本質は視点の場所の変更、表示する「リスト」の切り替えなので、この2つにとどまるものではありません。

では、Zoomには、どのような種類があるのでしょうか。

(a) Zoom in

まず、「Zoom in」とは、[現時点でZoomしているトピックの子孫トピックのうちのどれかひとつへとZoomすること]です。

表示されている「リスト」には、通常、複数のトピックが存在します。それらトピック群のうちのいずれかひとつを選んで、そのトピックにZoomするのが、「Zoom in」です。

視点の場所は、子孫トピックのうちのどれかひとつに切り替わるので、階層は深くなります。現在のリストのうちの一部を拡大表示するものなので、「Zoom in」です。

「Zoom in」をするには、キーボードからなら、「Zoom in」先のトピックにカーソルを置いて「Alt+→(Win)」「Control+→(Mac)」で、マウスやタップからなら、「Zoom in」先のトピック冒頭の「・」(Bullet)をクリック・タップです。

(b) Zoom out

次に、「Zoom out」とは、[現時点でZoomしているトピックの先祖トピックのうちのどれかひとつへとZoomすること]です。

表示されている「リスト」は、「アウトライン」全体の一部を拡大表示したものです。「リスト」がZoomしているトピックは、通常、自分よりも上の階層のトピックを持っています。自分よりも上の階層に位置するトピックのうちのいずれかひとつへとZoomするのが、「Zoom out」です。

視点の場所は、先祖トピックのうちのどれかひとつに切り替わるので、階層は浅くなります。現在のリストを含む、より広い範囲のリストを表示するものであり、視点を引く動作なので、「Zoom out」です。

「Zoom out」をするには、キーボードからなら、「Alt+←(Win)」「Control+←(Mac)」で、マウスやタップからなら、リスト上部にある「パンくずリスト」に記載された先祖トピックを選択してクリック・タップです。

(c) Jump

「Zoom in」と「Zoom out」は、代表的な「Zoom」です。でも、「Zoom」はこの2つだけではありません。[現時点でZoomしているトピックの子孫トピックでも先祖トピックでもないトピックにZoomする]というものが残っています。このようなZoomには、「Jump」と「Slide」があります。

「Jump」も「Slide」も、公式の用語ではありません。私が(さっき)勝手に名づけました。「Zoom in」でも「Zoom out」でもないリスト表示切替が少なくとも2種類あると考え、それらを「Jump」「Slide」と名づけたわけです。

では、「Zoom in」でも「Zoom out」でもないリスト表示切替とは、どのようなものでしょうか。

まず、「Jump」から見てみます。

「Jump」は、[トピックの固有URLを利用して、リストの表示を切り替えること]です。

WorkFlowyのすべてのトピックは、そのトピックを特定するただひとつの固定URLを持っています。あるトピックのURLを表示すれば、そのトピックをタイトルトピックとするリストを表示することができます。これは、そのトピックへの「Zoom」です。でも、この「Zoom」は、「Zoom in」でも「Zoom out」でもありません。これを「Jump」と呼ぶことにします。

「Jump」するには、ブラウザのブックマークに登録したトピック固有URLを利用する方法と、WorkFlowy内に書き込んだトピック固有URLのハイパーリンクをクリックする方法があります。

また、ブラウザの「戻る」を使えば、直前にブラウザが表示していたトピック固有URLにアクセスできますので、これも「Jump」の一種です。

(d) Slide

次に、「Slide」は、[兄姉トピックや弟妹トピックへZoomすること]です。

パソコンから使うWorkFlowyだけだと思いますが、WorkFlowyは、[兄姉トピックや弟妹トピックへZoomする]ためのキーボードショートカットを持っています。[兄姉トピックへZoomする]が「Control+Shift+9」で、[弟妹トピックへZoomする]が「Control+Shift+0」です。

このZoomは、子孫トピックでも先祖トピックでもないトピックへのZoomなので「Zoom in」でも「Zoom out」でもなく、固有URLを利用しているわけでもないので「Jump」でもありません。

Zoom対象のトピックを、順序が前や後のトピックへとずらすことから、「Slide」と名づけてみました。

c.補足(分類の基準について)

なお、これら4つのZoomは、分類基準が2つあります。ひとつが「現在のトピックとZoom先トピックとの関係」で、もうひとつが「Zoomするために利用している手段」です。階層構造で表現すれば、こうなります。

  • 【基準2】Zoomするために利用している手段
    • トピック固有URL→「Jump」
    • トピック固有URL以外
      • 【基準1】現在のトピックとZoom先トピックとの関係
        • 先祖トピック→「Zoom out」
        • 子孫トピック→「Zoom in」
        • 兄弟姉妹トピック→「Slide」

これに対して、「現在のトピックとZoom先トピックとの関係」という基準だけでこの4つを分類することも、実は可能です。こうなります。

  • 【基準1】現在のトピックとZoom先トピックとの関係
    • 先祖トピック→「Zoom out」
    • 子孫トピック→「Zoom in」
    • 兄弟姉妹トピック→「Slide」
    • その他のトピック→「Jump」

この方が論理的かなあとおも思うのですが、「トピック固有URLを利用したZoom」をちょっと特別扱いしたいという思いがあり、今のところ、上に書いたような基準で分類しています。今後、[トピック固有URLを利用しないで、先祖トピックでも子孫トピックでも兄弟姉妹トピックでもないトピックにZoomする]というリスト表示切替を見つけたら、そのときは、分類基準をひとつにする定義に乗り換えることを検討します。

おわりに

ここに記載した用語を整理するにあたっては、段差ラ部メンバーとのやりとり、とりわけ、Tak.さんの『アウトライン・プロセッシング入門』、倉下忠憲さんによるアウトライナー用語のたたき台、gofujitaさんによるアウトライナーの説明に、大変助けられました。ありがとうございます。

また、中野明氏による『マック企画大全』で紹介されていた「家族」のメタファーも参考にさせていただきました。

この私家版WorkFlowy用語の基礎知識は、β版です。しばらくのあいだ、この用語を使ってWorkFlowyの説明を繰り返してみて、使い勝手の悪い定義などを見つけたら、適宜修正していこうと思います。

また、今回は、スクリーンショットは使わず、具体例もあまり豊富ではありません。今後、スクリーンショットや具体例を補充して、よりわかりやすい用語集へと育てていこうと考えております。

お知らせ

このエントリは、その後、加筆修正などを経て、書籍『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の一部分となりました。

書籍『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の詳細目次と元エントリは、次のとおりです。

『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の詳細目次と元記事の紹介

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WorkFlowyのある世界の物語(想田彩郎の場合)

想田彩郎35歳の問題意識 想田彩郎は35歳。従業員10名程度の小さな調査会社で働いている。主な仕事内

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お待たせしました! オフライン対応&起動高速化のHandyFlowy Ver.1.5(iOS)

お待たせしました! なんと、ついに、できちゃいました。オフライン対応&

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「ハサミスクリプト for MarsEdit irodrawEdition」をキーボードから使うための導入準備(Mac)

諸事情により、Macの環境を再度設定しています。 ブログ関係の最重要は

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AI・BI・PI・BC

AI 『〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則』を読

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[『サピエンス全史』を起点に考える]「それは、サピエンス全体に存在する協力を増やすか?」という評価基準

1.「社会派」に対する私の不信感 (1) 「実存派」と「社会派」 哲学

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[『サピエンス全史』を起点に考える]サピエンス全体に存在する協力の量と質は、どのように増えていくのか?

『サピエンス全史』は、大勢で柔軟に協力することがサピエンスの強みだと指

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  • irodraw
    彩郎 @irodraw 
    子育てに没頭中のワーキングパパです。1980年代生まれ、愛知県在住。 好きなことは、子育て、読書、ブログ、家事、デジタルツールいじり。
    このブログは、毎日の暮らしに彩りを加えるために、どんな知恵や情報やデジタルツールがどのように役に立つのか、私が、いろいろと試行錯誤した過程と結果を、形にして発信して蓄積する場です。
    連絡先:irodrawあっとまーくtjsg-kokoro.com

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