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WorkFlowyを共同制作環境として活用する(2) 時間軸の検索を活用する

公開日: : WorkFlowy

1.WorkFlowyを共同作業環境として活用するための課題と、その対策

HandyFlowyとMemoFlowyという2つのWorkFlowyアプリは、WorkFlowyの共有トピックの上で生まれ育ちました。

私たち開発チームメンバーは、WorkFlowyのトピック共有機能を用いて、WorkFlowyのトピックをPro共有しています。アプリの機能やUIについての意見交換も、ベータ版を使った感想やバグを報告しあうことも、すべてこの共有トピックのうえで行われます。2015年9月から始まったやりとりの全部が共有トピックに蓄積されていて、2016年8月現在、トピック数は4万を超えました。

WorkFlowyは、HandyFlowy&MemoFlowyのための共同制作環境として、現にとてもうまく機能しています。WorkFlowyの共有機能がなければ、ひょっとすると、HandyFlowy&MemoFlowyはこの世に存在しなかったかもしれません。

しかし、WorkFlowyは、ご存知のとおり、シンプルなクラウドアウトライナーです。高機能のグループウェアではありません。タイムライン機能もなければ、特定のメンバー宛に投稿する機能もないですし、自分宛の投稿だけをフィルタリングするための仕組みもなければ、フォルダやノートなど情報を管理する機能すらありません。そんなシンプルな機能しか持たないWorkFlowyが、どうすれば、共同制作環境としてうまく機能するのでしょうか。

この疑問に答えるべく、HandyFlowy&MemoFlowy開発を通じて得たノウハウを、順次紹介するのが、この連載です。

今回は、検索機能にフォーカスをあて、

  • 前回自分が書き込んでから、今までに、自分以外の人が、どこにどんな書き込みをしたのかが、知りたい。
  • 今、共有トピック上で熱くやり取りされている話題を知りたい。

という要望に応えます。

2.WorkFlowy検索の基礎知識

前回と重なる点もありますが、前回以降、新たに明らかとなった知見もありますので、改めて、WorkFlowy検索の基礎知識を整理します。

(1) 基本

WorkFlowy検索とは、

  • i)あるトピックにZoomしたリストにつき、
  • ii)検索条件に当てはまるトピックとその先祖トピックのみを表示し、検索条件に当てはまらないトピックを折りたたみ、
  • iii)検索条件を黄色くハイライトする

という機能です。

ポイントは2つ。

  • 検索結果として表示されたリストは、特殊な折りたたみ・展開状態になっているものの、もともとのリストである。
    • ゆえに、そのリストに対して、編集操作を加えることができる。
      • 折りたたんだり展開したりできる。
      • 編集できる(トピックの移動や削除といったトピックそのものの編集、トピック内に格納されたテキストの編集)。
      • Zoomできる。
    • 条件に合うものだけを「抽出」しているのではない。
  • 表示されているトピックは、検索条件に当てはまるトピックと、そのトピックの先祖トピック。非表示になっているトピックは、検索条件に当てはまらないトピック。
    • ただし、非表示になっているトピックも、折りたたまれているだけ。展開すれば、表示される。

WorkFlowy検索の基本と応用

(2) 検索演算子

WorkFlowy検索では、特別な検索演算子を使うことができます。

公式ブログ等でも公開されていないものも含め、現時点で判明している検索演算子は、以下のとおりです。

  • -[除外検索]
  • OR[or検索]
  • “”[語順を含めての検索・数字の一部の検索]
  • is:[トピックの状態による検索]
  • last-changed:[最終更新時による検索]
  • last-changed-before:/last-changed-since:[最終更新日時を基準とする検索]
  • last-changed-by:[トピックの最終更新が自分か他人かによる検索]
  • completed:[トピックがCompleteとなった時を基準とする検索]
  • completed-since:[トピックがCompleteとなった日時を基準とする検索]
  • has:note[トピックがnoteを持っているか否かを基準とする検索]

詳しくは、以下のページをご覧ください。

WorkFlowyの検索演算子

(3) 「WorkFlowyのURL」による「保存された検索」

WorkFlowyは、リストごとに、URLを持っています。私はこれを「WorkFlowyのURL」と呼んでいます。

この「WorkFlowyのURL」の中には、検索条件も含まれています。先ほど紹介した検索演算子も、すべて「WorkFlowyのURL」に表現されています。

そこで、ある検索結果の「WorkFlowyのURL」を保存しておき、そのURLにアクセスすれば、その検索結果をダイレクトに表示できます。

多くのウェブサービスで「保存された検索」として提供されている機能を、URLだけから利用できる、というわけです。

WorkFlowyのURLの基本と「保存された検索」のような活用例

3.共同制作環境のために便利な検索

いくつか、例を示します。

(1) last-changed:

共有トピック全体を対象に「last-changed:」で検索をすると、最近更新されたトピックだけを表示できます。

この検索の役割は、2つです。

  • ●時間に共有トピックを訪れたときに、自分が離れてから今までの間にどんな新しいやりとりがなされているかを確認できる。
  • 久しぶりに共有トピックを訪れたときに、共有トピックで最近ホットな話題を知ることができる。

「last-changed:」は、共有トピック検索の基本です。

共有トピック全体を対象に「last-changed:」で検索する「WorkFlowyのURL」を、共有トピックの入口付近に貼っておけば、共有者全員にとって、便利かと思います。おすすめです。

(ただし、共有トピックそのものの「WorkFlowyのURL」は、人によってちがってしまいますが、その子トピック以下は、共有者全員共通です。そこで、共有トピックそのものを対象として検索をするのではなく、共有トピックの1階層下に、事実上の共有親トピックを作り、そのトピックを対象にした検索URLを取得する方がよいです。)

(2) last-changed-since: last-changed-before:

1週間ぶりに共有トピックを訪れたときなど、「last-changed:」だけでは対応しづらいときもあります。

そんなときにおすすめなのは、「last-changed-since:」つまり、特定の日時を基準としてその日時より後に更新されたトピックのみを表示する検索演算子と、「last-changed-before:」つまり、特定の日時を基準としてその日時より前に更新されたトピックのみを表示する検索演算子です。

具体的な使い方は、次のように、2つを組み合わせます。

last-changed-since:08/01/2016@00:00:00 last-changed-before:08/02/2016@00:00:00

2016年8月1日午前0時0分0秒より後に更新され、2016年8月2日午前0時0分0秒より前に更新されたトピックのみを表示する、という意味なので、要するに、2016年8月1日に更新されたトピックだけを表示することができます。

この検索演算子を、1日ずつ動かしながら使うと、共有トピックにおけるやりとりを、経時的に概観できるため、自分が離れていたときのやりとりがダイナミックに浮かび上がります。

なお、この検索演算子をいちいち手で打ち込むのは面倒です。HandyFlowyには、検索用登録語句という機能があり、拡張日付機能によって日時をカレンダーメニューからの選択で入力できますので、よろしければご利用ください。

(3) last-changed-by:others last-changed:

上記2つは、時間軸のみを基準とする検索でした。

これに対して、「最終更新者が自分か、自分以外の人か」を基準として検索することもできます。それが、「last-changed-by:」です。

ただ、これを単独で使うと、特に共有トピックを長く使った後は、検索条件にヒットするトピック数が多くなりすぎて、処理にたいへん時間がかかります。

そこで、「last-changed-by:others」は、「last-changed:」などと組み合わせて使うとよいでしょう。

たとえば、

last-changed-by:others last-changed:7d

は、

最終更新が自分以外の人により、最終更新日時がここ1週間のうちのトピック

を表示します。

4.まとめ

WorkFlowy共有トピックの魅力は、同時に集う必要がない、ということです。共同制作メンバーは、自分にとって都合のよい時間に、自分なりのペースで、共有トピックに情報を追加することができます。

他方で、このメリットは、新しい情報が、いつ、どこに加えられたかが、よくわからない、という問題を引き起こします。

そこで、今回は、最近新しく追加された情報とその場所を知るために、「last-changed:」などの検索演算子を使って、時間軸を活用することを紹介しました。

次回は、時間軸ではない方法により、もっと直接に、自分が読むべき情報をフィルタリングするための仕組みを紹介します。乞うご期待。

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