すべてのメール・すべてのノート・すべてのタスクの凄み(Gmail・Evernote・Toodledoから得る価値を大きくする)
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知的生産
目次
1.すべてのメール・すべてのノート・すべてのタスク
(1) Gmail・Evernote・Toodledoの、すべてのメール・すべてのノート・すべてのタスク
Gmailを使うようになって、私のメール処理システムは、根本的に変わりました。いくつか理由がありますが、そのうちのひとつは、Gmailに、「すべてのメール」という、文字どおり、Gmailに保存されているすべてのメールを表示する機能が用意されていたことでした。
Evernoteを使うようになって、私の情報処理システムは、根本的に変わりました。いくつか理由がありますが、そのうちのひとつは、Evernoteに、「すべてのノート」という、文字どおり、Evernoteに保存されているすべてのノートを表示する機能が用意されていたことでした。
Toodledoを使うようになって、私のタスク処理システムは、根本的に変わりました。いくつか理由がありますが、そのうちのひとつは、Toodledoに、「すべてのタスク」という、Toodledoに保存されているすべての未了タスクを表示する機能が用意されていたことでした(設定によって、未了だけでなく、完了タスクを表示させることもできるけれど、まあ、ともあれ)。
(2) すべてのメール・すべてのノート・すべてのタスクによって、何が可能になるか
a.Gmailの「すべてのメール」機能
Gmailには「すべてのメール」機能があります。そのため、ユーザーが(タグ機能を使って、)メールをどのように分類したとしても、ユーザーは、「すべてのメール」機能を使えば、(ユーザー自身によるメール分類とは無関係に、)Gmailに保存されているすべてのメールを一覧することができます。
これに対して、Gmail以前の一般的なメールアプリには、「すべてのメール」がありませんでした。そのため、ユーザーが(フォルダ機能などによって、)メールを分類してしまうと、ユーザーは、その分類と無関係に、メールアプリに保存されているすべてのメールを一覧することはできませんでした。
b.Evernoteの「すべてのノート」機能
Evernoteには「すべてのノート」機能があります。そのため、ユーザーが(ノートブック機能を使って、)ノートをどのように分類したとしても、ユーザーは、「すべてのノート」機能を使えば、(ユーザー自身によるノート分類とは無関係に、)Evernoteに保存されているすべてのノートを一覧することができます。
これに対して、メモをWindowsのフォルダ等で管理する場合、メモの種類ごとに複数のフォルダにメモを保存すると、(ライブラリなどの特別な機能を使わないかぎり、)複数のフォルダに分類して保存したメモを一覧することはできません。
c.Toodledoの「すべてのタスク」機能
Toodledoには、「すべてのタスク」機能があります。そのため、ユーザーが(Folderなどの要素を使って、)タスクをどのように分類したとしても、ユーザーは、「すべてのタスク」機能を使えば、(ユーザー自身によるタスク分類とは無関係に、)Toodledoに保存されているすべてのタスクを一覧することができます。
これに対して、「すべてのタスク」機能を持っていないタスク管理サービスもたくさんあります。たとえば、Googleタスク(GmailのToDo)は、私が使おうとしていて数年前の段階では、複数のタスクリストを作り、タスクを分類することは可能でしたが、複数のタスクリストに保存されたすべてのタスクを串刺しで表示する機能を持っていませんでした。また、Wunderlistは使い勝手のよいToDoリストサービスですが、複数のToDoリストを作った場合に、複数のToDoリストに登録されたすべてのタスクを串刺しですべて表示する機能は持っていないようです。これらのタスク管理サービスの場合、タスク管理サービスに登録されているすべてのタスクを一覧することは、できません。
2.ポケット一つ原則と分類の両取り
(1) ポケット一つ原則
「すべてのメール」機能を持つGmail、「すべてのノート」機能を持つEvernote、「すべてのタスク」機能を持つToodledo。この3つのサービスの背後には、ひとつの共通した考え方を見ることができます。それは、『「超」整理法』が強調する情報処理システムの基本原則、ポケット一つ原則です。
クラウドと「ポケット一つ原則」は、相性抜群。文章とメールとタスク、3つの「ポケット一つ原則」
(2) デジタルデータだから、分類しても、ポケット一つ原則が成り立つ
他方で、『「超」整理法』の押し出しファイリング方式と、Gmail・Evernote・Toodledoとの間には、表面上は、大きなちがいがあります。押し出しファイリング方式は、ポケット一つ原則を強調し、「分類するな」と説きます。でも、Gmail・Evernote・Toodledoは、「分類するな」とは言わず、それどころか、メールやノートやタスクを分類するための、豊富な機能を提供します。
なぜ、こんなちがいが生じるのでしょうか。それは、『「超」整理法』の押し出しファイリング方式が扱う対象が物理的な書類であるのに対して、Gmail・Evernote・Toodledoが扱う対象が物理的な存在ではないデジタルデータだからです。
物理的な書類を整理する場合、書類を2つに分類して、2箇所に分けて収納すれば、探索する場所が2箇所に増えます。分類をより細かくして、3つ、4つ、5つと増やせば、これにともなって、探索場所も3つ、4つ、5つと増えます。分類することは、ポケット一つ原則を不可能にします。
これに対して、デジタルデータであれば、そのデータがどのように分類されたとしても、物理的に別の場所に収納されるわけではありません。そのため、ユーザーがどのような分類をしたとしても、アプリケーションの方で、すべてのデータが分類されずに一箇所に集められているものとして扱うことが可能になります。ユーザーがデータを10,20,30に分類しても、アプリケーションが対応してくれれば、探索場所は、ひとつのままです。
(3) すべてのメール・すべてのノート・すべてのタスクの凄み
情報を扱うとき、分類をしたくなるのは、人の性です。『「超」整理法』が「超」なのは、「分類してはいけない」という、人の性に反する基本ルールを要求するからです。『「超」整理法』は、いわば、分類を捨て、人の性に反する葛藤を甘受することと、分類によるメリットを諦めることの対価として、ポケット一つ原則の恩恵を選ぶ、という情報処理戦略です。
これに対して、Gmailの「すべてのメール」、Evernoteの「すべてのノート」、そしてToodledoの「すべてのタスク」は、欲求の赴くままに分類をし、分類から何らかのメリットを受けているユーザーに対しても、ポケット一つ原則の恩恵を与えます。これらの機能は、一般的には、特筆されるほどの機能だとは認識されていないようですが、実は、たいへん強力な機能です。
「すべてのメール」・「すべてのノート」・「すべてのタスク」の凄みは、ポケット一つ原則と分類の両取りを可能にすることにあります。これを自覚して、「すべてのメール」・「すべてのノート」・「すべてのタスク」を自覚的に使うと、Gmail、Evernote、Toodledoから得られる価値が、大きくなるはずです。
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