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「瞬時レビュー」をすると、タスク実行時の感情と、うまくつきあえる

1.「瞬時レビュー」の主観的なメリット

「瞬時レビュー」とは、ライフハック心理学の佐々木正悟さん提唱のアイデアであり、タスク完了直後に、その感想を20字から50字程度で、簡単に記録する、というものです。

「レビュー」というと、GTDの「週次レビュー」や「月次レビュー」が有名で、これらは、週に1度や月に1度、タスクを見直すものです。これと比較して、「瞬時レビュー」には、タスク完了後、瞬時に、タスクを見直す、という特徴があります。

「レビュー」は聞こえがいいが面倒くさい | ライフハック心理学

私が「瞬時レビュー」を取り入れたのは、「瞬時レビューは生活リズムをつくるのに良い | jMatsuzaki」という記事を読んだ8月上旬です。

それから約1ヶ月「瞬時レビュー」を続けてみて、「瞬時レビュー」には、いろんなメリットがあるように感じています。

これまでも、いくつかのメリットを書きました。

たとえば、「瞬時レビュー」をすると、タスク実行のサイクルが回るので、タスクのやりっ放しを防ぐことができる、ということ(タスク管理ツールで「瞬時レビュー」をすることで、タスク実行のサイクルを回す)。

あるいは、「瞬時レビュー」をすると、タスク管理ツールが残す行動記録の量と質が圧倒的に高まる、ということ(タスク管理ツールで「瞬時レビュー」をすると、タスク管理ツールが残す行動記録の量と質が、劇的に高まる)。

でも、まだ書ききれていません。

今回は、主観的なところ、つまり、感情面あるいは心理面にフォーカスを当てて、「「瞬時レビュー」をすると、タスク実行時の感情と、うまくつきあえる」ということを書きます。

2.「瞬時レビュー」で、タスク実行時の感情と、うまくつきあう

(1) 「瞬時レビュー」で、ネガティブな感情とうまくつきあう

a.タスク実行時のネガティブな感情

タスクの実行時、私の中には、いろんな感情が湧いてきます。中には、タスク実行を邪魔する感情も湧いてきます。「面倒だなあ」「嫌だなあ」「うまくいかないんじゃないかなあ」「なんで自分がこんなことやらなくちゃいけないんだろう」「不公平だ」といったネガティブな感情は、たいてい、タスク実行を邪魔します。

これらネガティブな感情が湧いてくること自体は、たぶん、自然なことです。感情を抱いた自分を否定したり、感情が湧いてくることを訓練で抑えこもうとしても、きっとうまく行きません。

それよりもよいのは、これらのネガティブな感情をいったんどこか自分の外に吐き出して、自分以外の何かに、受け止めてもらうことです。

そして、タスク実行時に「瞬時レビュー」をすることは、これらネガティブな感情を受け止めてもらうための、ひとつのよい手段です。

瞬時レビューと実行中メモで、タスク実行中の感情&脱線を処理する。感情と脱線からも価値を汲み取るタスクマネジメントシステム

b.具体例

たとえば、1週間後に提出しなければいけない企画書のめどが立っていない状態だとします。この企画書は、会社にとっても大切なものだし、自分の評価にも大きく関わるとします。すごく重要なタスクです。

合理的に考えれば、すぐにこのタスクにとりかかり、少しずつ進めていくべきです。締切りが迫っている重要なタスクなのですから、緊急かつ重要です。

しかし、重要なタスクだけにプレッシャーを感じると、ネガティブな感情がうじゃうじゃ湧いてきます。「間に合わないかもしれない」「よい企画を出せないかもしれない」「企画書を出したら、次はプレゼンが控えているけど、プレゼンもうまくいかないかもしれない」「なんで自分がこんな大きなプロジェクトを担当しなくちゃいけないんだろう」「来週前半は残業続きになるかも」「どうやって企画書を完成させたらいいのかわからない」「ほかの日常業務で手一杯で、企画書にとりかかれなくて、焦る」といったものです。

こんなときに、弱気になる自分の未熟さを呪ったり、せっかく与えられた機会を感謝できない自分の意識の低さを反省したりしても、仕方ありません。不安に思ったり、面倒に感じたり、不平不満を抱いたりしている自分の感情を、とりあえずそのまま認める方がよいです。

そこで、「瞬時レビュー」をします。自分の感情を観察して、その感情を、文字にします。ネガティブなことでも気にせずに、どんどん書きます。すると、多くの場合、ネガティブな感情は落ち着きますし、場合によっては、対策も思い浮かびます。

たとえば、「どうやって企画書を完成させたらいいのかわからずに、不安に思っている」と書けば、それだけで不安が少し落ち着きます。さらに、「じゃあ、とりあえず過去の似たようなプロジェクトの企画書を見て、企画書の完成イメージを持つところから始めよう。」というように、具体的な対策が思い浮かぶこともあります。

このように、「瞬時レビュー」は、タスク実行時に湧いてくる、タスク実行を邪魔するネガティブな感情を、うまく処理してくれます。「瞬時レビュー」をすると、ネガティブな感情とうまくつきあえます。

(2) ポジティブな感情を「瞬時レビュー」で捕まえ、活かす

a.タスク実行時に湧いてくる、ポジティブな感情

タスク実行時に湧いてくる感情は、タスク実行を邪魔するネガティブなものばかりではありません。タスク実行を助けてくれるポジティブな感情が湧いてくることもあります。

タスクが思い通りにうまく片付くと、満足できます。大変そうだなあと不安に思っていたタスクが、思いの外、簡単に片付くと、安心できますし、胸のモヤモヤが晴れます。

取り組んでいる具体的なタスクが、自分が実現したい価値に繋がっていると感じられると、やりがいを感じたり、高揚感を覚えたりします。タスク実行のために自分の力を存分に発揮できたり、タスク実行を通じて自分が成長していることを実感したりすると、ワクワクすることもあります。

b.ポジティブな感情を「瞬時レビュー」で捕まえる

このようなポジティブな感情は、そのままにしておくと、どこかに消えてしまいます。ひとつのタスクを完了して、ワクワクした気持ちでやる気に満ち溢れていたとしても、次のタスクを始めたとたん、ワクワク感もやる気も霧のように消え去ってしまう、ということが、しょっちゅう発生します。

そこで、ポジティブな感情が湧いてきたら、すかさず、「瞬時レビュー」で捕まえます。

具体的には、そのポジティブな感情を言葉で表現するだけです。大変なタスクを片付けることができて、胸のつかえが降りたなら、「ようやく終わった。大変だったけれど、がんばってよかった。胸のつかえが降りた」などと書きます。自分の目標に繋がっているタスクを実行して、やりがいを感じたなら、「このタスクを実行したことで、自分が実現したい価値を、ちょっとは実現できたんじゃないかと思う。よかった。」などと書きます。

ポジティブな感情に言葉を与えると、ポジティブな感情を自分できっちりと自覚することができますので、ポジティブな感情からのメリットを大きくすることができます。また、元気がなくなったときにその自分のポジティブな感情を記した言葉を読み返せば、元気になれるかもしれません。

このように、ポジティブな感情を「瞬時レビュー」で捕まえれば、タスク実行時に湧いてきたポジティブな感情を、タスク実行のために活かすことができます。

(3) 「瞬時レビュー」で感情を自覚して、感情を大切にする

a.感情は、役に立つ・立たないとは別次元で、大切

ここまでに書いてきたのは、ネガティブな感情を処理し、ポジティブな感情を活かす、ということです。役に立つ・立たないという次元で、感情を捉えた検討です。

でも、たぶん、感情は、役に立つ・立たないという次元とは関係なく、それ自体が大切なのではないか、という気もします。

あのタスクを実行したときに、自分はこんな不安を感じた。このタスクを実行したら、自分はあんなワクワク感を覚えた。こんなタスク実行時に湧いてきた感情は、きっと、それ自体が、価値のある大切なものです。

「瞬時レビュー」を1ヶ月ほど続けて感じるのは、「瞬時レビュー」は、そんな大切な自分の感情を大切にするための、よい手段だ、ということです。

b.「瞬時レビュー」をすると、自分の感情をきちんと自覚できる

「瞬時レビュー」をすると自分の感情を大切にできる理由は、「瞬時レビュー」をすることで、自分の感情をきちんと自覚できるからです。

まず、自分の感情をきちんと自覚する、とは、どういうことでしょうか。

「自分の感情なんだから、わざわざ何かをしなくても、十分自覚できる」という考え方もあるかもしれません。しかし、少なくとも私にとっては、そうではありません。自分をふり返ると、自分が自覚できている感情は、すごく漠然としたレベルにとどまっていて、具体的な感情をきちんと自覚しているには程遠い状態です。

たとえば、「企画書を作る」というタスクを実行する際、私は、ものすごくたくさんの感情を抱きます。「締め切りに間に合うだろうか」「質の高いものを作れるだろうか」という不安もあれば、「この企画で自分が実現したい価値を実現できる」というやりがいや「この企画書作成のプロセスを通じて、よいノウハウやスキルを学べるのではないか」というワクワク感もあります。

でも、ただタスクに取り組んでいるだけでは、これらの感情は、通常、私の中を通り過ぎていきます。私が自覚しているのは、漠然とした不安や漠然とした高揚感だけです。何もしない状態では、私は、なんとなく不安でもやもやする、なんとなく高揚感を覚えて元気になっている、というレベルにとどまっています。

これに対して、タスク実行中の感情を把握しようとして、自分の感情を観察すれば、私は、これらの感情を自覚できます。漠然とした不安や高揚感といったレベルではなく、「間に合わないかもしれない」という不安、「成長できるんじゃないか」という期待感といったレベルで、かなりの程度具体的に自覚できます。

このように、自分の感情を具体的に認識することが、自分の感情をきちんと自覚する、ということです。

その上で、「瞬時レビュー」との関係を考えてみると、「瞬時レビュー」をすると、自分の感情を自覚できます。それも、かなり具体的に自覚できます。

というのも、「瞬時レビュー」は、自分の感情に言葉を与える作業だからです。それも、タスクを実行した直後に、ほぼリアルタイムに自分の感情を観察し、感情を言葉で表現する行為だからです。

このように、「瞬時レビュー」をすれば、自分の感情を具体的に自覚できます。自分の感情を具体的に自覚することは、自分の感情を大切にするための第一歩です。「瞬時レビュー」は、自分の感情を自覚することを助けることで、自分の感情を大切にします。

3.タスク実行時の感情を考慮したタスクマネジメントシステムを作る上で、「瞬時レビュー」が機能する

今回は、「「瞬時レビュー」をすると、タスク実行時の感情と、うまくつきあえる」ということを検討しました。ネガティブな感情を処理できる、ポジティブな感情を活用できる、そして、自分の感情を大切にできる、ということです。

タスクマネジメントシステムを作る上で、どんなツールを使うかや、どんな情報をどのように流すルールにするか、いわば客観的な側面は、大切です。

でも、タスクマネジメントシステムの中でタスクを実行するのは、私という人間です。タスクは私という人間に実行されない以上、ちっとも片付きません。

そして、私という人間がタスクを実行するとき、私の中にはいろんな感情が湧いてきて、これらの感情は、私のタスク実行に大きな影響を与えます。

そのため、タスクマネジメントシステムを作るときは、タスク実行時の感情を考慮して組み立てる必要があります。

「瞬時レビュー」は、タスク実行時の感情を考慮してタスクマネジメントシステムを作るために、優れた構成要素として機能してくれます。

参考:ハイブリッド手帳システムを作る【タスク編】ToodledoとEvernoteで作るタスクマネジメントシステム

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