*

アウトライナーによる「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」について感じていること

公開日: : 書き方・考え方

1.問題の状況

私は、このブログを始めたころからつい最近まで、ブログエントリを書くために、Evernoteを使ってきました。しかし、MacのEvernoteは、バージョン6にアップデートして以降、動作がかなり重たくなってしまいましたので、ストレスなしに文章を書くための道具としては、ちょっと不向きな気がしています。

とはいえ、ブログを続けていく以上、大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組みは、何とかして確保しなければいけません。

Evernoteやアウトライナーで文章を書くことで、大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組みを作る

そこで、Tak.さんのマネをして、大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組みのために、アウトライナーを使うことにしました。

アウトライナーで大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組みを作ることは、なかなか快適だと感じています。特に、マロ。さんが作ってくださったAppleScript(ハサミスクリプト)のおかげで、アウトライナーで書いた原稿をブログに投稿する流れは、非常にスムーズになりました。

ずっと完成しないで変化し続ける有機体から、暫定的な作品群を切り取るためのハサミ

ところが、ここ最近、私は、ブログエントリを書き上げることができていません。気づけば約2週間も空いてしまいました。

なぜこうなっちゃったんだろうかを考えることで、アウトライナーによる「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」について考えてみます。

2.「Evernoteからアウトライナーへの変化」以外の要因

この2週間、ブログエントリを書き上げることができていないことには、ここで検討している「Evernoteからアウトライナーへの変化」以外の要因もあるように思いますので、最初に、こちらの要因を確認しておきます。

(1) ブログや「彩郎」関係以外のことが、わりと忙しい

ここ数ヶ月、いろいろあって、このブログや「彩郎」関連以外のことが、何かと忙しいです。

私にとってブログや「彩郎」は、すごく大切な存在ではあるのですが、まあ、趣味といえば趣味なので、他を犠牲にするわけにもいきません。

そんなわけで、ブログや「彩郎」関係に注げる時間とエネルギーが減ってしまいました。

(2) ブログや「彩郎」関係でも、ブログエントリ以外のやりたいことがあって、ブログエントリを書き上げることの優先順位が、相対的に下がっている

また、ブログや「彩郎」関係でも、ブログエントリを書き上げる以外にやりたいことがあって、そちらに時間とエネルギーを費やしています。

ひとつは、2014年に書いたブログエントリをざーっとふり返って、できれば体系化することです。すこし前に、2014年1月分だけをふり返ってみたところ、得るものがとても大きかったので、ちょっとがんばって、2014年分全部をやりたいなと考えています。

2014年1月に書いたブログエントリ一覧コメント付き段差バージョンと、OmniOutlinerの段差を一瞬でHTML化するAppleScript

ただ、やってみるとこれはけっこう大変な作業で、私がブログや「彩郎」のために使える時間とエネルギーの大半を吸い込んでしまいます。

3.「Evernoteからアウトライナーへの変化」に関連する要因

「Evernoteからアウトライナーへの変化」以外の要因がかなり大きいので、ほぼそれがすべてではないかとも感じられるところですが、「Evernoteからアウトライナーへの変化」に関連する要因も整理します。

現時点で私が感じるのは、

  • (1) まだ地層が浅い
  • (2) 書きかけの文章が埋没してしまう
  • (3) 切り取りのタイミングが掴みづらい

の3つです。

(1) まだ地層が浅い

「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」が新しい文章を生み出す力は、「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」に、どれだけたくさんの思考の断片が蓄積しているかに依存します。

倉下忠憲さんは、これと似たようなことを、「地層」というメタファーで表現しました。

アイデアの「畑」と「地層」:『ハイブリッド発想術』読書メモ(「なぜ、私は、思考するツールとして、Evernoteを使うのか」番外編)

私は、このブログを始めてからの2年半、Evernoteに地層を重ねてきました。そのため、現段階で、私のEvernoteには、それなりのあつみの地層ができてきました。

これに対して、アウトライナーによる「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」は、まだ始めたばかりです。ですから、現時点では、私のアウトラインは、たいした分量ではありません。

アウトライナーに蓄積した地層が浅いことは、新しいブログエントリを書き上げるペースが下がっている一因かもしれません。

(2) 書きかけの文章が埋没してしまう

「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」を持つ意義のひとつは、書きかけの文章が埋没しにくいことです。あるときふと思いついて書いた思考の断片が、時を超えて表舞台に蘇り、ひとつのまとまった文章へと結実します。

Evernoteを「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」として使うようになって、私がもっとも感動したポイントは、この点でした。

なぜ、「書く」ワークスペースとして、Evernoteを使うのか?

これに対して、少なくともいまのところ、私がアウトライナーに放り込んだ書きかけの文章群の多くは、埋没しています。「なんか前に似たようなことを書いた気がするんだけれど、どこに書いたかわからなくなって、もう一度書く」ということが、しばしば出てきます。

私のアウトライナーの地層は、まだ浅いです。それなのにこんなことになってしまう理由のひとつは、「更新日順で並び替え」機能が使えないからではないかと感じています。

(3) 切り取りのタイミングが掴みづらい

「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」が新しい文章を生み出すメカニズムは、変化し続けるひとつの大きな有機体から、暫定的な完成品を継続的に切り取る、というかたちをとります。

ずっと完成しないで変化し続ける有機体から、暫定的な作品群を切り取るためのハサミ

Evernoteもアウトライナーも、変化し続けるひとつの大きな有機体になりますので、そこから暫定的な完成品を切り取ることはできるはずです。でも、Evernoteとアウトライナーとでは、切り取りのコツのようなものが、かなりちがうような気がします。

大きなちがいは、Evernoteにはノートという区切りが最初から用意されているのに対して、アウトライナーにはなんの区切りもないことです。

すこし前に、このちがいを、ノートに杭を打つか否か、という観点から整理しました。

全体としてひとつの流動的な有機体であるか否か(Evernoteとプロセス型アウトライナーの思想のちがい)

Evernoteは、ノートという杭によって区切られているので、ひとつのノートの中身をまとまったかたちに整えたら、それでそのノートはある程度固定化されます。でも、アウトライナーは、全体としてひとつの流動的な有機体なので、ひとつの枝の配下をまとまったかたちに整えても、枝をシェイクすれば、その枝はさらに成長するかもしれません。

成長の可能性が無限であるという点では、アウトライナーの方が優れているように思えます。でも、これは、切り取りのタイミングが掴みづらいということでもあります。今じゃなくてもう少し育ててから切り取るほうが、もっといいものが切り取れるのではないか、と感じてしまうためです。

このあたりの感覚に、まだ慣れていないためか、アウトライナーからの切り取りのタイミングが、どうもうまく掴めていません。

4.では、どうするか

最後に、以上の検討を踏まえて、「では、どうするか」です。さしあたり、次の3点で行きます。

(1) アウトライナーによる「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」自体は、しばらく続ける

まず、アウトライナーによる「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」自体は、もうしばらく続けます。「Evernoteからアウトライナーへの変化」に関連する要因は、いずれもきちんと考えるべき要因だと思うのですが、この要因をきちんと考えるためにも、もうしばらくはアウトライナーによる「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」を続けたほうがよいと感じます。

(2) 日々の忙しさを所与のものとして、その中でアウトプットを続ける

次に、無理しないことを心がけます。

今の私は、ブログと「彩郎」以外のことで、忙しくなっています。これは、自分ではそれほど望んでることではないものの、まあ仕方のないことなので、所与のものとして受け入れます。

所与のものとして受け入れた上で、無理しないでできる範囲で、ブログや「彩郎」としてのアウトプットを続けていこうと思います。

(3) 個々のアウトプットが扱う範囲を小さくすることで、暫定的な作品群を切り取るペース自体は、ある程度保つ

だけどそれでも、アウトプットのペース自体は、ある程度保ちたいと思います。

無理しないでアウトプットするためには、アウトプットのペースを下げることと、ひとつひとつのアウトプットが扱う範囲を小さく絞ることの2つがありえます。ここしばらくの私は、無理しないためにアウトプットのペースを下げてみたのですが、これはあんまり気持ちよくありません。そこで、今後は、アウトプットのペースはある程度保ったまま、ひとつひとつのアウトプットが扱う範囲を小さく絞ることを心がけます。

いくら小さくても、ひとつのアウトプットをすれば、その分、いろんなことを考えます。ひとつひとつのアウトプットを大きくするよりも、小さくてもいいからアウトプットの数を重ねることの方が、たくさん思考を進めてくれるような気がしています。

スポンサードリンク

関連記事

no image

書評エントリの分類

1.書評エントリの分類を考える (1) じぶん史上最強の読書術は、書評エントリを書くこと 私がこ

記事を読む

no image

研究者が考察を深める仕組み:「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」

1.研究者の道を真剣に検討したことで、何を得たか 私事ですが、学生時代に自分の生業を考えていたとき

記事を読む

no image

能力の相互干渉がある:ドラクエのレベル上げと現実世界との重要な違い(4)

1.もうちょっと続けます 先日、ふと思いついて、ドラクエのレベル上げと現実世界の自分育成の違いを考

記事を読む

no image

論理的に表現するために、三段論法という論理の型が役に立つ

1.論理的に表現するために、論理の型が役に立つ (1) 「論理的であること」を求められたら、「論理

記事を読む

no image

「枠の外に混沌さを排出する」という文章の書き方に関連する2つのメタファー

1.「文章群を書き続ける」によって、自然と身についた、文章の書き方 大学生の頃から、「文章を書く」こ

記事を読む

no image

Evernoteは、ノートの杭を打つからこそ、思考のツールとして現にうまく機能している。

1.ノートの杭を打つにもかかわらず、Evernoteは、なぜ、思考のツールとして現に機能しているのか

記事を読む

no image

自然な退化がある:ドラクエのレベル上げと現実世界との重要な違い(3)

1.ドラクエのレベル上げと、現実世界との、もうひとつの重要な違い 3つ連続でドラクエのことを書いて

記事を読む

no image

文章を二次元で書くための道具(グループ分け、接続詞、項目名・項目番号)

1.文章を二次元で書くためには、どんな道具があるか (1) 文章を二次元で書く、ということ 文章

記事を読む

no image

課題とアプローチ×具体的と抽象的のマトリクス

1.具体的な課題と抽象的な課題 課題には、具体的な課題と抽象的な課題があります。(ふたつにぱりっと分

記事を読む

no image

なぜ、文章書きとしての私は、アウトライナーよりもEvernoteを贔屓しているのか?

1.はじめに この記事を読みました。 Evernoteとアウトライナーの融合に対する試案(201

記事を読む

スポンサードリンク

スポンサードリンク

no image
お待たせしました! オフライン対応&起動高速化のHandyFlowy Ver.1.5(iOS)

お待たせしました! なんと、ついに、できちゃいました。オフライン対応&

no image
「ハサミスクリプト for MarsEdit irodrawEdition」をキーボードから使うための導入準備(Mac)

諸事情により、Macの環境を再度設定しています。 ブログ関係の最重要は

no image
AI・BI・PI・BC

AI 『〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則』を読

no image
[『サピエンス全史』を起点に考える]「それは、サピエンス全体に存在する協力を増やすか?」という評価基準

1.「社会派」に対する私の不信感 (1) 「実存派」と「社会派」 哲学

no image
[『サピエンス全史』を起点に考える]サピエンス全体に存在する協力の量と質は、どのように増えていくのか?

『サピエンス全史』は、大勢で柔軟に協力することがサピエンスの強みだと指

→もっと見る

  • irodraw
    彩郎 @irodraw 
    子育てに没頭中のワーキングパパです。1980年代生まれ、愛知県在住。 好きなことは、子育て、読書、ブログ、家事、デジタルツールいじり。
    このブログは、毎日の暮らしに彩りを加えるために、どんな知恵や情報やデジタルツールがどのように役に立つのか、私が、いろいろと試行錯誤した過程と結果を、形にして発信して蓄積する場です。
    連絡先:irodrawあっとまーくtjsg-kokoro.com

    feedlyへの登録はこちら
    follow us in feedly

    RSSはこちら

    Google+ページ

    Facebookページ

  • 2014年12月
    « 11月   1月 »
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031  
PAGE TOP ↑