ロールズの「無知のヴェール」と、「自分の一番好きなブログを自分で作る」
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目次
1.ジョン・ロールズの「無知のヴェール」
以前、別の記事に(フィクションとして)書いたことがあるのですが、私は大学生のころ、環境問題にハマっていました。持続可能で豊かな社会を実現するにはどうしたらいいんだろう、というのが、当時の私の最大の関心事でした。
元来、本を読んだり思想を学んだりすることが好きだったので、持続可能な社会を実現するためのヒントを求めがてら、そのころ、社会のあり方に関する思想を、いくつか学びました。最初はルソーとか、ホッブズとか、カントとか、ヘーゲルとかの古典的なものを学んでいたのですが、徐々に、現代政治思想まで来ました。そのときに出会ったひとつが、ジョン・ロールズでした。
ジョン・ロールズの代表作は、『正義論』です。
何かとむずかしい議論なので、当時も十分に理解できていたわけではないです。また、今は正義論の内容はすっかり忘れてしまいました。でも、ひとつだけ、比較的覚えていることがあります。それは、「無知のヴェール」という考え方です。
「無知のヴェール」は、このページに説明がありましたので、引用します。
「無知のベール」とは、自身の位置や立場について全く知らずにいる状態を意味する。 一般的な状況はすべて知っているが、自身の出身・背景、家族関係、社会的な位置、財産の状態などについては知らない、という仮定である。 自身の利益に基づいて選ぶのを防ぐための装置だ。 それを通じて、社会全体の利益に向けた正義の原則を見いだせるようになる。
(無知のヴェールより)
この説明からもわかるように、「無知のヴェール」とは、社会全体の利益に向けた正義の原則を見出すための、思考ツールです。
自分がどんな人間で、何が得意で、どんな物を持っていて、ということを知っていると、人間は、自分にとって有利な社会制度を選ぶ。だから、そのような諸々の自分の条件をまったく知らない、という状態を考える。これが「無知のヴェール」。この「無知のヴェール」をかぶった状態で、みんなが選ぶ社会制度が、公正な社会制度なんだ、というような筋道です。
2.「無知のヴェール」を使って、「自分が一番好きなブログを自分で作る」へ
(1) 「自分が一番好きなブログを自分で作る」(byごりゅごさん)
話は変わって、ブログです。
ブログは、今の私にとって、最大ではないですが、かなり大きな関心事です。「単純作業に心を込めて」をどんな場所に育てていきたいのだろうか、ということを、しばしばつらつらと考えます。
このことを考えるときに、私がまず念頭に置いているのは、私が大好きなブログのひとつである「ごりゅご.com」のごりゅごさんの名言、「自分が一番好きなブログを自分で作る」、です。
自分の「好き」を知り、それを自分に取り入れていけば、いつのまにかそれが自分オリジナルなものになるっていうか。
なによりも、大抵自分のブログの一番の読者は自分なわけで。
自分という読者に向けて、自分が一番面白いと思えることを続けてやるのが、結果的に一番シンプルに「面白い」ブログを作る方法なのではないかなーと思う次第であります。
3ステップでできる人気ブログのつくり方
- 好きなブログを3つくらい探す
- そのブログのどこが好きか考えまくる
- それを全部ミックスして混ぜ合わせたブログを自分で作る
自分の好きなブログを自分で作ることは、人気ブログへの王道だと思います。また、ブログを続けることを楽しむためにも、すごく大切だと思います。ごりゅごさんによる「自分が一番好きなブログを作る」という方針は、私がブログを続ける上で、ベースの考え方です。
(2) 自分が一番好きなブログに近づいているかを、「無知のヴェール」で確認する
a.「自分が一番好きなブログを作る」のは、なかなか大変
「自分が一番好きなブログを作る」には、どうしたらよいのでしょうか。
「自分のブログを一番好きになること」なら、そんなにむずかしくはありません。自分のブログは、特別な存在です。自分で手をかけて、いろいろなことを決められます。また、自分が生み出した記事がたくさん蓄積されています。そのため、自分で手をかけて育てているというそのことだけで、自分のブログを一番好きになること自体は、たぶん、可能です。
しかし、ここで大切なことは、「自分のブログを一番好きになること」ではなく、「自分が一番好きなブログを作ること」です。自分が育てているブログだからという理由で「自分のブログを一番好きになること」を達成しても、それは人気ブログへの道ではありません。また、これだけの理由で自分のブログを一番好きになっても、きっと、その「好き」は長続きしません。「自分のブログを一番好きになること」と「自分が一番好きなブログを作ること」は、まったく別のことで、大切なのは、「自分が一番好きなブログを作ること」です。
そして、「自分が一番好きなブログを作ること」は、なかなか険しい道です。
なぜか。
ひとつは、「自分が一番好きなブログ」に育てていくこと自体が大変だからです。世の中にはたくさんのブログがあります。すばらしいブログもいっぱいあります。その中で、「自分が一番好きなブログ」を育てるのは、険しい道です。
でも、ここで考えたいのは、もうひとつの理由です。それは、「自分のブログが、自分の一番好きなブログに近づいているかを自分で確認することが、とても難しいから」という理由です。自分のブログは、特別な存在です。特別な存在なので、なかなか客観的に見ることができません。そのため、果たして自分のブログが自分の一番好きなブログに近づいているのかを自分で確認するのは、至難の業です。
b.そこで、「無知のヴェール」
そこで、「無知のヴェール」です。つまり、「自分のブログが、自分の一番好きなブログに近づいているかを自分で確認する」という目的のために、先ほどの「無知のヴェール」という思考ツールが使えるのではないか、ということです。
ここでの「無知のヴェール」は、自分のブログに関する諸々についてのヴェールです。
- 自分がこのブログをしていることそのもの
- これまでに、自分がどんな記事を書いたのか
- これから、自分はどんな記事を書こうとしているのか
これらについて、自分を無知にするためのヴェールです。
このような「無知のヴェール」をかぶっているときに、
- 私はこのブログをRSS登録するか?
- 私はこのブログをシェアするか?
- 私はこのブログの記事をシェアするか?
- 私はこのブログの記事をPocketに入れるか?
- 私はこのブログの記事をEvernoteに入れるか?
- 私はこのブログの記事を起点に何かを考えるか?
というようなことを考えます。その答えは、どうなのか。
好きなブログなら、RSS登録はもちろん、積極的にブログをシェアしたり、記事をPocketに入れたり、その記事を起点にいろんなことを考えたりしたくなります。そのため、これらの自問自答を積み重ねていくと、「無知のヴェール」をかぶっていても、
- 私はこのブログを好きなのか?
ということがわかるのではないか、ということです。
(3) 「自分が一番好きなブログを自分で作る」に向けて、ブログを育て続ける
私にとって、ブログを育てることは、とても楽しいことです。育てる手段はいろいろあり、成長を計る指標もたくさんあります。ブログを育てることは、ひとつの育成ゲームのようなものです。
でも、ブログを育てるというゲームの楽しさは、かなり強烈です。この楽しさにハマりすぎて、いつのまにか、自分のブログを、(そのブログを自分でやっているのでなければ)自分であんまり好きではないブログに育ててしまっている危険性もあります。
このような悲しい事態を防ぎ、「自分が一番好きなブログを作る」に向けて、ブログを育て続けるために、「無知のヴェール」をまとった状態でも自分のブログが好きか?ということを、ときどき、確認していきたいなと思っています。
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