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「作品」と「価値」をめぐる時間軸

公開日: : 単純作業に心を込める

少し前に、これを書きました。

価値を生み出すことに関するブログのあり方が、とりわけ好き。

ここに書いた「「作品」を作り終えた後、価値を見い出される」のことを、ブログからは離れて、もう少し考えてみます。

自分が生み出したものは、どのようなものであれ、自分の「作品」です。

今夜の夕食や、誰かに宛てた手紙のような、形あるものは、もちろん自分の「作品」です。

友達と演奏した曲、子どもに向けた絵本の読み聞かせ、今日の仕事の窓口におけるお客様対応のような、形のないものも、ある意味で、自分の「作品」です。

せっかく生み出す自分の「作品」なので、そこに何らかの「価値」があるとよいと思います。

ですが、自分の「作品」に価値があるか否かを決めるのは、自分ではありません。決めるのは、自分以外の誰かです。

自分以外の誰かが、自分が生み出したその「作品」に、何らかの「価値」を見い出したとき、その「作品」は「価値」を獲得します。つまり、「作品」の「価値」とは、自分以外の誰かに見い出されることによって、生まれるものです。

「作品」の「価値」は、自分以外の誰かによって見い出される。

ここに時間軸を入れて考えてみましょう。

まず、同時です。「作品」を生み出すことと、「価値」を見い出されることとが、同時に生じます。

たとえば、講演です。講演の本番に、どのようなことをどのように話すか。こんな自分のふるまい全体が、自分の「作品」です。

講演という「作品」は、生み出されるのと同時に、参加者という受け手に届きます。参加者はその場でその講演という「作品」に何らかの「価値」を見い出します。(もちろん、なんの「価値」も見い出さないことだって、ありえます。)

つまり、講演は、「作品」を生み出すことと、「価値」を見い出されることとが、同時に生じるわけです。

次に、「作品」を作り終えた後で、「価値」を見い出される、という順序です。

前に書いたように、ブログは、この一例でした。ブログ記事という「作品」を書き終えた後で、そんな既に生み出された「作品」に対して、誰かが「価値」を見い出してくれます。(もちろん、誰にも「価値」を見い出されないことだって、ありえます。)

つまり、ブログは、「作品」を作り終えた後で、「価値」を見い出される、という順序です。

ここまでに、

  • 「作品」と「価値」が同時:「作品」を生み出す=「価値」を見い出される
  • 「作品」が先、「価値」が後:「作品」を生み出す→「価値」を見い出される

の2つを見てきました。

論理的にいえば、もうひとつあります。「作品」を生み出すよりも前に、「価値」を見い出される、という順序です。

一見、この順序はなさそうです。「価値」を見い出そうにも、対象である「作品」が存在していないのですから、よくわかりません。

しかし、ありえます。

それは、

  • これから生み出される予定の「作品」に期待される「価値」が、まず、決まる。
  • その後、その期待された「価値」を実現すべく、「作品」が生み出される。

という順序です。

たとえば、クライアントからの注文にもとづき、システムを組んで納入する場合。最初に、クライアントが求める機能や要件が定まります。つまり、クライアントが期待する「価値」です。そして、その後、その期待された「価値」を実現すべく、システムという「作品」が生み出されます。

つまり、最初に何らかの「価値」を期待され、その後、その期待された「価値」を実現すべく「作品」が生み出される、という順序は、わりと幅広く存在しています。

およそすべての社会的な営みには、自分が生み出す「作品」に自分以外の誰かが「価値」を見い出す、という構造があります。しかし、この「作品」と「価値」の関係に時間軸を導入すると、そこに、3つのパターンが浮かんできます。

自分の「作品」に誰かが「価値」を見い出す、という構造を前提としても、3つのパターンのいずれかによって、異なった特徴を持つように感じています。

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