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Gmailの受信トレイを空にすることから始めるGTD的メール処理

公開日: : Google, 仕事の方法論

1.GTDを自分の生活の中に自然と取り入れるためには

(1)GTDのハードル  

GTDを自分の生活に取り入れれば、おそらく、生活はかなり整然とします。

しかし、GTDを本格的に自分の生活に取り入れるのは、簡単なことではありません。

まず、最初の収集が大変です。まとまった時間をとって、自分の生活全体に関わるタスクをもれなく収集するのは、簡単なことではありません。

次に、どんなタスクの受皿にもなるInboxを整えるのが大変です。タスクはいろんな形でやってくるため、タスクをもれなく受け止めるInboxを自分の生活の中に作るのは、大変な作業です。

さらに、いったんGTD的なフローを整えても、それを維持するのは大変です。気を抜くとすぐに、収集し損ねたタスクや、Inboxに放置されたタスクがたくさん生じます。

要するに、GTDは、効果は大きいけれど、導入や維持のハードルが高いタスク管理手法だということです。

(2)メール処理にGTDの考え方を取り入れるところから始める

これに対して、GTDを(部分的であっても、)気楽に自分の生活に取り入れる方法はないでしょうか。完全でないにせよ、自分の生活の一定領域に関して、GTDの考え方を活用できる分野はないでしょうか。

私が思うに、GTDの考え方を導入しやすい分野は、メール処理です。まずはメール処理にGTDの考え方を取り入れることは、GTDを始めるための、ハードルが低くて効果の高い方法です。

メール処理にGTDの考え方を取り入れて、実際にGTDの考え方を自分の生活の一部で運用すれば、GTDの考え方が自分になじむかをテストすることができます。また、GTDという方法が、どの程度自分の生活によい影響を与えるかを確認することができます。メール処理にGTDの考え方を取り入れて、それでうまくいきそうなら、自分の生活全体にGTDの考え方を適用すればよいと思います。

(3)どのようなメール環境を準備すればよいか

では、メール処理にGTDの考え方を取り入れるために、どのようなメール環境を準備すればよいでしょうか。

ひとつの有効な方法は、すべてのメールアドレスをGmailに集約することです。メインのメールアドレスをGmailに変えることまでは必要ありませんが、使っているすべてのメールアドレスをGmailから送受信することによって、Gmailにすべてのメールアドレスを集約するのがよいと思います。

(4)本記事の概要

以下、まずメール処理にGTDの考え方を取り入れるとよい理由を述べた後、Gmailを使ってGTD的メール処理をする方法を説明します。

2.メール処理にGTDを導入することは、ハードルが低く、効果が大きい

(1)メール処理にGTDを導入することは、ハードルが低い

メール処理に限ってGTDを導入することは、ハードルが低いです。GTD導入のハードルは、最初の収集の大変さ、Inboxを整えることの難しさ、GTDを維持することの面倒くささではないかと思いますが、メール処理に関しては、いずれの問題も生じないからです。

まず、メール処理なら、最初の収集は、特に必要ありません。後述の方法で、すべてのメールアドレスをGmailに集約すれば、自然と、Gmailの受信トレイに、すべてのメールが入ってきます。これで最初の収集は完了します。

次に、メール処理なら、Inboxを整えることの難しさはありません。何も設定しなければ、すべてのメールは、受信トレイに届きます。受信トレイが、自動的に、GTDにおけるInboxになります。あとは、受信トレイに届いたメールを処理するだけです。

最後に、メール処理なら、GTDのフローを維持することが、それほど大変ではありません。タスクの収集については、向こうから勝手にやってきますので、気にする必要がありません。Gmailなら、スターやラベルを使ってメールを処理しさえすれば、GTDのフローは、基本的には回ります。Inboxたる受信トレイに大量のメールがたまってしまっても、まとめてアーカイブしてしまえば、とりあえずInboxを整理することが可能です。

このように、メール処理にGTDを導入することは、そんなにハードルが高くありません。

(2)メール処理にGTDを導入することは、効果が大きい

ハードルの低さに比べて、メール処理にGTDを導入することは、大きな効果を持っています。

まず、受信トレイの基本状態を空にすることによって、返信すべきメールや重要なメールがよくわかります。

また、2分以内でできることはその場でやる、というGTDのルールをメール処理に適用できますので、メールの返信が早くなります。

さらに、メールを処理するためのある程度きちんとした枠組みができますので、だらだらとメール処理に時間をかけることが減り、メール処理に必要な時間を短縮することができます。

3.Gmailを使って、GTD的なメール処理

Gmailを使って、GTD的なメール処理をするには、おおむね、以下のようなやり方がありうると思います。

(0)準備作業

a.すべてのメールをGmailに集約する

まずは、自分が使っている全てのメールアドレスのメールを、Gmailに集約します。Gmailでメールを作成したり送信したりファイルを添付する操作に抵抗がないなら、すべてのメールをGmailから送受信するのがよいと思います。

ただし、現状、残念ながら、@docomo.ne.jp等のキャリアメールをGmailから送受信することはできませんので、キャリアメールの処理は、別扱いにします。

POP/SMTPなどを使って、全てのメールアドレスのメールをGmailから送受信する方法は、以下の記事をご覧ください。

Gmailを使う(1) Gmailからすべてのメールアドレスのメールを送受信し、Gmailにすべてのメールを集約する » 単純作業に心を込めて

b.必要なラベルを作る

次に、必要に応じて、GTD的なメール処理をするために必要なラベルを作ります。

GTDの分類に応じて、「次のアクション」「いつかやる」「連絡待ち」「資料」などのラベルを作るのもよいと思います。特定の日に見直したり処理したりするべきメールについては、43Foldersの考え方に従って、12個の月と31個の日のラベルを作っておくのもよいかもしれません(1か月先までは日のラベルを使い、1か月以上先の予定は月のラベルを使う、という方法)。

なお、私の場合は、スターのみで運用しているため、GTD的なメール処理のためのラベルは作っていません。

(1)受信トレイを「Inbox」と考える

GTDには、新しく入ってきたすべてのタスクをいったん受け止めるためのInboxが必要です。GmailでGTD的なメール処理をするためには、素直に、Gmailの受信トレイを「Inbox」と考えればよいと思います。

何も設定しなければ、すべてのメールは、すべて受信トレイに配達されます。受信トレイに配達されたすべてのメールについて、GTDの処理のプロセスを行えば、受信トレイは空になって、メールに関する一通りの作業が終わります。

受信トレイをInboxと考えて、処理のプロセスのゴールを受信トレイを空にするという具体的な形で把握することによって、メール処理に分かりやすいゴールが設定されます。

(2)2分以内で実行可能なら、すぐにやる

GTDの考え方の中で、即効性のある考え方のひとつが、「2分以内で実行可能なら、今すぐやる。」という行動指針です。この考え方を行動指針に据えて実践すると、作業はサクサクと進みます。

この考え方のポイントは、今すぐやるかを判断するための基準を設定して、その基準を満たすなら今すぐ行動を起こす、というところではないかと思います。ですから、基準を2分に置くかは、自分の作業条件に従って、自由に決めたらよいと思います。何にしても、一定の基準を設定して、その基準を満たしたら、今すぐに片付けてしまう、ということが大切です。

メール処理でも、同じです。メールの処理を始めたら、上から順番に開いていって、2分以内でそのメールが要求する行動を完了することができるなら、その場ですぐにやってしまうことが有効です。たとえば、返信すればそれ以上の行動が必要でないメールは、メールを確認したその場ですぐに返信して、アーカイブしてしまうのがよいです。

(3)しかるべき処理をして、リマインダをセットする

a.リマインダをセットする必要性

メールの中には、すぐにその場でそのメールに関わるもろもろを完了できないものもあります。その場合は、そのメールに関してどのような行動が必要かを考えた上で、そのメールを適切なところに分類する必要があります。そして、メールに対する処理を行ったら、そのメールに何らかのリマインダをセットした上で、そのメールを受信トレイからアーカイブして消します。こうすることで、Gmailの受信トレイを空の状態に保つことができます。

メールにリマインダをセットするというのは、適切なタイミングで再度そのメールを見直すことができるように仕込んでおく、ということです。適切にリマインダをセットすることによって、必要なときに再度そのメールを目にすることができるという安心感が生まれるため、躊躇なく受信トレイのメールをアーカイブすることが可能になります。

b.Gmailでリマインダをセットために使える方法

Gmailで特定のメールに関するリマインダをセットするためには、以下の4つの方法を使うことができます。

(a)スターを付ける

メールをアーカイブする前に、そのメールにスターを付けておけば、後からそのメールを見直すことが簡単になります。

スターは、設定によって、複数のものを使うことができます(Gmailの設定メニューで使用するスターの種類を選ぶことができます)。6色のスターと6種類の記号の合計12種類のスターがありますので、それぞれにしかるべき意味を与えておけば、スターだけで、かなりの管理をすることができるのではないかと思います。

(b)ラベルを付ける

ラベルは、ユーザーが自由に追加することができます。また、ラベルは、入れ子状態にして整理することができます。

たとえば、GTDの分類に従って、「次のアクション」「いつかやる」「連絡待ち」「資料」といったラベルを作ることが考えられます。

あるいは、43Foldersの思想に従って、12個の月ラベルと31個の日ラベルを作るのもひとつの方法ではないかと思います。

(c)返信の下書きを書く

下書きを途中まで書いておけば、立派なリマインダとして機能します。

スマートフォンから下書きを書き始め、iPadで書き進め、最後にPCで完成させて送信する、という使い方も可能なところが、Gmailの強みです。

(d)メールのURLをタスク管理システムにコピー&ペーストする

Gmailでメールスレッドを開いたときのURLは、「mail.google.com/mail/略=#inbox/ランダムな文字列」という形になっています。このURL末尾のランダムな文字列は、そのメールスレッドを特定する文字列です。このURLは、そのメールスレッド特有のURLです。

ですから、このURLを何らかのタスク管理システムにコピー&ペーストすれば、特定のメールスレッドにリマインダをセットすることができます。

Toodledoのノート欄、EvernoteのノートなどにURLをコピー&ペーストするという使い方が考えられます。

c.リマインダのための仕組み(自分なりのルール)を作る

上記のいろいろな機能を組み合わせて、リマインダのための仕組みを構築します。

必要なときに必要なメールを開くことができればよいので、それほど難しく考える必要はありません。一日の終わりに「スター付き」ラベルを確認する、一日の始まりにその日のラベルを確認する、等のシンプルなルールで十分です。

4.おわりに

今や、メールは、仕事や日常生活において、大きな位置を占めます。メール処理にGTDの考え方を取り入れて、メール処理に自分なりのルールを構築することができれば、メール処理はスムーズに進みます。メール処理がスムーズに進めば、仕事や日常生活の大きな部分がスムーズに進みます。

メール処理は、GTDの考え方を取り入れることが効果的な分野です。

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