*

Evernote×仕事。Evernoteに自分なりのマニュアルを蓄積する

公開日: : 最終更新日:2013/12/24 Evernote, 仕事の方法論

1.Evernoteを仕事に活用する

先日、Evernote Businessのセミナーに行きました。

Evernote Businessのセミナーに参加した収穫を共有するためのエントリ(2013/11/26@名古屋)

このセミナーを聞くと、Evernote Businessを導入すると、私たちの働き方がどのように効率化され、どのように生産的になるかが、よくわかりました。そのため、私は、Evernote Businessを自分の会社に導入したいなあと強く感じました。

他方で、このセミナーで紹介されていたことの多くは、Evernoteの個人アカウントでも実現可能です。Evernoteの個人アカウントとEvernote Busnessのもっとも大きな差は共有機能であって、共有機能以外の多くの部分は、とりあえず、個人アカウントで始めることができます。

また、今後、私の会社がEvernote Businessを導入したとすれば、私の個人的な仕事ノートブックを、共有されるビジネスノートブックに変換するのは、ごく簡単です。

そこで、まずは、自分自身のアカウントを使って、個人的に、Evernoteを仕事に活用することから始めることにしました。

2.抽象的な方針

これまで、私は、Evernoteを仕事にはあまり使っていませんでした。仕事への活用方法は、基本的にはゼロからの構築なので、最初に、抽象的な方針として、以下の3つを決めました。

(1) 個人情報と機密情報は、入れない

少なくとも現段階では、Evernoteに個人情報と機密情報を入れないことにしました。現段階で私がEvernoteを仕事に活用するのは、私が、私の個人アカウントを使って、個人として行っていることです。

であれば、会社がお客様に対して責任を持つ個人情報や、会社の機密情報は、入れてはいけません。

まあ、当然といえば当然ですが、とりあえず放り込んでおくことを基本とするEvernoteの思想と逆方向を向く制約なので、きちんと方針として持っておくことにします。

(2) Evernoteを使うと価値が生まれることに使う

Evernoteを仕事に活用する目的は、Evernoteを活用することによって、効率的で生産的な働き方を実現するためです。Evernoteを使うことそれ自体に意味があるわけではありません。そのため、Evernoteを使うと価値が生まれることにEvernoteを使う、ということを、方針としました。

私は、Evernoteが好きです。Evernoteにいろんなものを入れることによって、Evernoteを育てたいと思っています。そのため、Evernoteでできることなら何でもEvernoteでやりたい、という気持ちが湧いてきます。

しかし、Evernoteでできるからといって、Evernoteでやらない方がよいことも、たくさんあります。Evernoteを使っても、Evernoteを使ってこその価値が生み出せないなら、Evernoteを使う意味はあんまりありません。

そこで、仕事に関しては、Evernoteを使うと価値が生まれることに絞って、Evernoteを使おうと思います。

(3) 最初から手間をかけ過ぎない

Evernoteを仕事に使う目的は、仕事の効率を現状よりも上げるためです。

仕事の効率を上げるためには、Evernoteを仕事に使うために必要な手間と、Evernoteから得られるメリットを比べた時に、Evernoteから得られるメリットが上回らなければいけません。

Evernoteからどんなメリットが得られるかは、やってみないと何とも言えないところがあり、コントロール不要ですが、Evernoteに費やす手間は、自分がコントロールできます。そこで、最初は、Evernoteに費やす手間を大きくしすぎないことを心掛けます。

3.自分なりのマニュアルをEvernoteに蓄積する

この方針を踏まえて何に使うといいかなと考えたところ、Evernoteに自分なりのマニュアルを蓄積するといいんじゃないかな、という結論に至りました。

(1) 自分なりのマニュアルを作る

私の仕事には、ある程度、パターンがあります。すべてがルーティーンではありませんが、すべてが完全に新しい仕事というわけでもありません。そのたえ、どんな仕事をしたときも、その仕事の進め方をそれなりに抽象化することで、他の仕事にも使えるやり方を抽出できます。

ある仕事から、他の仕事にも使えるやり方を文章の形で抽出するというのは、文章で自分なりのマニュアルを作るということです。

しかし、これまで、私は、自分の仕事のやり方を文章の形で抽象化してマニュアルを作ることを、ほとんどしてきませんでした。理由はふたつあります。

ひとつめの理由は、わざわざマニュアルを作らなくても、一度自分で経験すればやり方は身につくのだから、済んだ仕事からマニュアルを作る暇があれば、どんどん次の仕事に取りかかった方がいい、と思っていたためです。

ふたつめの理由は、もっと大きな理由です。マニュアルは、作っても、使えない、ということです。何かの仕事をして、そこから自分なりの仕事マニュアルを作っても、そのマニュアルはハードディスクの奥底に眠ってしまい、必要なときに発見されることはほとんどありません。以前マニュアルを作ったなあと思っても、探すのが面倒なので、マニュアルを確認するよりも、とりあえず進めてしまう、ということが頻発しました。

でも、Evernoteを使えば、このどちらの理由との関係でも、マニュアルを作る意味が出てくるのではないかと思います。

(2) Evernoteを使うと、どんないいことがあるか

a.ずっと未来の自分や別の人に宛てて、マニュアルを作る

一度経験すれば二度目はできるから、わざわざマニュアルを作る暇があれば、次の仕事をやった方がいいというのは、一面では真実ではないかと思います。でも、それは、少し先の自分との関係です。

これに対して、ずっと未来の自分は、ひょっとしたら、さっき経験した仕事のやり方を忘れているかもしれません。ずっと未来の自分に宛ててなら、今完了したばかりの仕事から得たことをまとめておく意味があります。

また、自分以外の人は、今自分が経験した仕事から得た仕事のやり方を知りません。自分とは別の人に宛ててなら、マニュアルを作る意味はあります。

  1. Evernoteなら、ずっと未来の自分に宛てたマニュアルを、簡単に作れます。自分がEvernoteを使い続ける限り、Evernoteはいつもそこにあるものなので、今自分が作ったマニュアルは、ずっと未来の自分にも届きます。
  2. Evernoteなら、別の人に宛てたマニュアルを作るのも簡単です。Evernoteには、ノートブックの共有機能があるので、ひとつのノートブックにマニュアルを記録したノートをまとめておけば、職場の同僚や後輩にマニュアルを届けることができます。(見てもらうだけなら、無料アカウントの共有機能で十分です。)

b.必要なときに必要なマニュアルに出会える

わざわざマニュアルを作っても、必要なタイミングでそのマニュアルに出会えなければ意味がないというのは、そのとおりです。マニュアルは、使われることで意味を持つ文書なので、必要なタイミングで見つけ出すことができないマニュアルを作るのは意味がありません。

これに対して、Evernoteなら、次の3つの点で、必要なタイミングで出会える可能性が高いです。

  1. 検索機能が充実しているため、意図的に探した場合に、見つかる可能性が高いです。
  2. 「関連するノート」という機能があるために、Evernoteで何かの作業をしているときに、意図せず、過去に作成したマニュアルに出会える可能性があります。
  3. ブラウザのアドオンであるEvernoteウェブクリッパーの機能によって、Google検索をしたときにEvernoteに作成したマニュアルが出てくる可能性があります。仕事を進める中で、Googleを使って調査をした場合に、過去に自分が作成したマニュアルに出会える可能性があります。

(3) 3つの方針との照らし合わせ

Evernoteに自分なりのマニュアルを蓄積することは、3つの方針と合致しています。

  1. 個人情報を入れる必要はありません。蓄積するのは、抽象的に抽出した仕事のやり方なので、個人情報は含まれません。
  2. Evernoteにマニュアルを蓄積することは、ずっと先の自分や別の人に宛ててマニュアルを作れる点と、作ったマニュアルを活用できる可能性が広がる点で、Evernoteならではの価値を生み出せる分野です。
  3. ひとつの仕事を進める中で、その仕事から抽出できそうな仕事のやり方をEvernoteにメモしておく、という手間が必要です。負担にならない程度に続けていけば、少しずつマニュアルが充実してくるので、最初から手間をかけすぎなくても大丈夫です。

4.Evernoteを仕事に使う意味

Evernoteを仕事にも使うことで、何かの価値を生み出すことができれば、それはそれで意味があることです。でも、私にとっては、Evernoteを仕事に使うことには、それ自体の価値があります。

それは、Evernoteに触れている時間が増える、ということです。

Evernoteは、触れている時間が多ければ多いほど、そこから価値を引き出しやすいタイプのツールではないかと思います。仕事にもEvernoteを使うことによって、仕事中にEvernoteを開く場面を増やすことで、Evernoteに触れている時間を増やし、Evernoteから引き出す価値をもっと大きくできればよいなと思います。

スポンサードリンク

関連記事

no image

そのメールは、一言で返信できるか?大前研一によるビジネス・メールの4つのルールと、ルール確認のテスト項目

1.大前研一曰く、ビジネス・メールには4つのルールがある 今、大前研一の『ドットコム仕事術』という本

記事を読む

no image

タスク管理は、未来だけでなく、今と過去を扱う

1.はじめに:「タスク管理は、未来のタスクだけでなく、今のタスクと過去のタスクも対象とする」という考

記事を読む

no image

Evernote×タスク管理(4) Toodledoの完了タスクを、Evernoteの、1Folderにつき1ノートに、時系列で記録するiftttレシピ

1.決定版を出したばかりだけれど、新しい可能性に気づいた 私にとって、ToodledoとEvern

記事を読む

no image

タスクを管理しないと、「今やるべきことはない!」との判断を下せない

1.「今やるべきことはない!」という判断を下すには? 一日の仕事を終えて、職場を出るとき、「今日やる

記事を読む

no image

Android版pocketからインテント機能でEvernoteに共有しても、全文のノートにならなくなってしまったことに、若干ショックを受けています。

1.Read It Later → Pocket で、できなくなったことがある? 先日、Read

記事を読む

no image

「忘れる」ためのタスク管理と、「思い出す」ためのタスク管理

1.タスク管理の抽象論:「忘れる」ためのタスク管理・「思い出す」ためのタスク管理 ある日,いまま

記事を読む

no image

マルチタスク型とシングルタスク型、どちらがより生産的か?

1.問題意識~マルチタスク型とシングルタスク型、どちらの方がよいのか?~ (1) マルチタスク型と

記事を読む

no image

紙の本の読書ノートを、Evernoteに蓄積する

1.紙の本の読書ノートをEvernoteにとる 次の記事を読みました。 で、思いついた読

記事を読む

no image

WriteNoteがアップデート! Android版FastEver的な活躍をしてくれます。

1.WriteNoteに、すばらしいアップデートがきました。 (1)WriteNoteとは Wr

記事を読む

no image

「自分以外の読み手を想定している&書いたあとで整理する」の領域に位置づけられる、Postach.ioとFargo

1.「自分以外の読み手を想定している&書いたあとで整理する」候補の、Postach.ioとF

記事を読む

スポンサードリンク

スポンサードリンク

no image
お待たせしました! オフライン対応&起動高速化のHandyFlowy Ver.1.5(iOS)

お待たせしました! なんと、ついに、できちゃいました。オフライン対応&

no image
「ハサミスクリプト for MarsEdit irodrawEdition」をキーボードから使うための導入準備(Mac)

諸事情により、Macの環境を再度設定しています。 ブログ関係の最重要は

no image
AI・BI・PI・BC

AI 『〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則』を読

no image
[『サピエンス全史』を起点に考える]「それは、サピエンス全体に存在する協力を増やすか?」という評価基準

1.「社会派」に対する私の不信感 (1) 「実存派」と「社会派」 哲学

no image
[『サピエンス全史』を起点に考える]サピエンス全体に存在する協力の量と質は、どのように増えていくのか?

『サピエンス全史』は、大勢で柔軟に協力することがサピエンスの強みだと指

→もっと見る

  • irodraw
    彩郎 @irodraw 
    子育てに没頭中のワーキングパパです。1980年代生まれ、愛知県在住。 好きなことは、子育て、読書、ブログ、家事、デジタルツールいじり。
    このブログは、毎日の暮らしに彩りを加えるために、どんな知恵や情報やデジタルツールがどのように役に立つのか、私が、いろいろと試行錯誤した過程と結果を、形にして発信して蓄積する場です。
    連絡先:irodrawあっとまーくtjsg-kokoro.com

    feedlyへの登録はこちら
    follow us in feedly

    RSSはこちら

    Google+ページ

    Facebookページ

PAGE TOP ↑