Android間の機種変更を楽にする、Androidとクラウドの使い方
1.Android間でのはじめての機種変更
先日、GALAXY SからXperia SXに機種変更をしました。私にとってはGALAXY Sが1台目のAndroid端末なので、今回の機種変更が、Android間でのはじめての機種変更でした。
やってみると、Androidの機種変更は、とても手軽でした。新しい端末にGoogleアカウントを入力し、アプリをインストールして、アプリに各種クラウドサービスのアカウントを入力すれば、基本的に、今までと変わりなく使うことができました。これまでの機種変更の中で、いちばん手軽で楽だったと思います。
機種変更が手軽だったのは、もともと、私が、汎用的なクラウドサービスに軸足をおいてAndroidを使っていたからかもしれません。以下、Android間の機種変更を楽にするためのAndroidの使い方を考察します。
2.基本的な考え方:Androidを端末として使う・マスターデータはクラウドで管理
(1) 基本的な考え方
Android間での機種変更を楽にするための基本的な考え方は、Androidを端末として使い、マスターデータはクラウドで管理する、というものです。この考え方での運用ならば、Androidはクラウドにあるマスターデータにアクセスするための端末に過ぎません。Android自体に保存しておくデータの重要性が低いため、Androidを変更しても、Android間のデータ移動を考える必要が、ほとんどありません。
(2) Androidを端末として使うことのメリット
Androidは、一般に、数GBのROMを持っていますので、端末内に多くのデータを保存することができます。しかし、保存できるからといって、保存する必要はありません。マスターデータはクラウドで管理して、Androidをマスターデータにアクセスするための端末として使うという使い方には、Android間の機種変更を楽にすること以外にも、メリットがあります。私が実感するのは、以下の3点です。
a.Android以外の端末(私の場合は主にWindowsPC)からもデータを利用することができる
私がAndroidで行うことのうちの多くを、私は、Android以外でも行います。
たとえば、私は、Androidでスケジュール管理をしていますが、WindowsPCでもスケジュール管理をしています。また、私は、Androidからすべてのメールを確認していますが、WindowsPCからもすべてのメールを確認しています。
マスターデータをクラウドで管理して、Androidをマスターデータにアクセスするための端末として使うのであれば、Androidからも、WindowsPCからも、同じマスターデータにアクセスすることができます。
b.データの編集が簡単
Androidスマートフォンは、優れた端末だとは思いますが、やはり携帯用の端末です。画面は小さいですし、入力装置であるタッチパネルは、キーボードに比べれば、入力速度などの点で劣ります。がっつりと編集作業をするなら、大画面とキーボードを備えたパソコンから作業をする方が簡単です。
マスターデータがクラウドにあれば、データの編集や整理はパソコンから行う、ということが可能です。
たとえば、私は、Androidで使う連絡先をGoogleアカウントで管理しています。そして、定期的に、パソコンからGoogleの連絡先にアクセスして、グループ分けをしたりふりがなをつけたり付加情報を加えたりなどの、メンテナンス作業をしています。この作業は、パソコンからの方が楽です。
また、Evernoteの整理(ノートブックの移動やマージなど)は、Androidから行うよりも、Evernote for Windowsから行う方がずっと楽です。
c.データのバックアップが安心
Android内にマスターデータを保存する場合、Androidが壊れたり、Androidを紛失した場合に、そのデータを失ってしまいます。そのため、日頃からバックアップをしておく必要があります。
これに対して、クラウドにマスターデータを預けておけば、Androidが壊れようが、Androidを紛失しようが、データはクラウドにありますので、データを失うことはありません。
(3) 十分なクラウドサービスの存在
スマートフォンや携帯で利用するデータの主要部分をクラウドサービスに預けることは、今なら、ランニングコストほぼゼロで、実現可能です。(多くの個人情報が含まれることになることから、クラウドサービスに預けることをどのように考えるか、という問題は残りますが。)
私の場合の、データの種類・使用するクラウドサービス・ランニングコストを整理すると、以下の通りです。
データの種類 | クラウドサービス | ランニングコスト |
電話帳 |
Googleの連絡先 |
0円 |
|
Gmail |
0円 |
スケジュール |
Googleカレンダー |
0円 |
タスク |
Toodledo |
14.95ドル/年 |
メモ |
Evernote |
0円(*1) |
写真 |
Picasaウェブアルバム |
0円 |
*1 プレミアムユーザーですが、docomoとScanSnapの特典で、まだお金を払っていません。
3.それぞれの運用
(1)電話帳はGoogleの連絡先と同期
docomoのAndroidスマートフォンの連絡先の保存先には、いろいろな選択肢があります。私は、Googleアカウントを使っています。Googleアカウントとは、Googleの連絡先です。Googleの連絡先とは、要するに、Gmailの連絡先です。
スマートフォンの連絡先をGoogleアカウントで管理すれば、新しいAndroidにGoogleアカウントを入力するだけで、新しいAndroidには、これまでと同じ連絡先が同期されます。何の手間もありません。
docomoのAndroidスマートフォンの「連絡先の保存先」に、Googleアカウントを選択するメリットとデメリット » 単純作業に心を込めて
(2)メール関係
a.Gmail
Androidには、Gmailがシステムアプリとして最初から入っています。そのため、AndroidにGoogleアカウントを入れれば、そのアカウントのGmailがすぐに使えるようになります。設定はなにも必要ありません。
Gmailは、クラウドのサーバーでメールデータを管理しています。したがって、古いAndroidから新しいAndroidへGmailのデータを移動する必要は、まったくありません。
b.spモードメール
docomoのスマートフォンなら、多くの人が、spモードメールを使っているのではないかと思います。spモードメールを使うには、spモードメールアプリかCommunicaseを使う必要があります。Gmailアプリなど、他のメーラーアプリでspモードメールを受信することはできません。
spモードメールは、ローカルのAndroid端末内にメールデータを保存しています。したがって、古いAndroidで利用していたspモードメールのデータを新しいAndroidに引き継ぎたい場合は、自分で何らかの方法をとる必要があります。
私の場合は、古いAndroid端末のspモードメールデータを、すべてGmailにバックアップしています。そうすれば、新しいAndroidのGmailから、古いAndroidで送受信したspモードメールのデータを閲覧することができます。
Eml2Imapを使って、spモードメールも、Gmailに集約する(WindowsPC・無料) » 単純作業に心を込めて
c.Gmailとspモードメール以外のメール
Gmailとspモードメール以外のメールは、そのメールアドレスをGmailで送受信すれば、Gmailと同じく、データをクラウドに預けることができます。
一般的なEmailをGmailに集約する方法は、以下の記事をご覧ください。
Gmailを使う(1) Gmailからすべてのメールアドレスのメールを送受信し、Gmailにすべてのメールを集約する » 単純作業に心を込めて
(3)スケジュールとタスク
a.スケジュール→Googleカレンダー
スケジュールは、Googleカレンダーを使います。
Googleカレンダーを使えば、スケジュールのマスターデータはクラウドにあるGoogleのサーバーに保存されています。古いAndroidに残っているスケジュールデータは、クラウドのマスターデータを同期したものに過ぎませんので、古いAndroid内のデータをバックアップする必要はありません。
機種変更をしたときに必要なのは、新しいAndroidに、Googleアカウントを入力することだけです。そうすれば、新しいAndroidに、Googleのサーバーから、スケジュールデータがやってきます(ただし、過去のスケジュールは3ヶ月分程度に制限されるようです)。
b.タスク→Toodledo
タスクは、Toodledoを使います。
Toodledoを使えば、タスクのマスターデータはクラウドにあるToodledoのサーバーに保存されています。古いAndroidに残っているタスクのデータは、クラウドのマスターデータを同期したものに過ぎませんので、古いAndroid内のデータをバックアップする必要はありません。
機種変更したときに必要なのは、新しいAndroidに、Toodledo対応アプリを入れた上で、Toodledoのアカウントを入力することだけです。そうすれば、新しいAndroidに、Toodledoのサーバーから、タスクのデータがやってきます。
(4)メモ
メモは、Evernoteを使っています。
EvernoteのマスターデータはEvernoteのサーバーにありますので、新しい端末にEvernoteのアカウントを入れれば、新しいAndroidから、Evernote内のすべてのメモにアクセスすることができます。
(5)写真
写真は、Picasaウェブアルバムを使っています。
Androidで撮影した写真は、インスタントアップロードという機能によって、自動的にPicasaウェブアルバムの非公開アルバムにアップロードされます。したがって、古いAndroidで撮影した写真のすべてがPicasaウェブアルバムにアップロードされていますので、古いAndroidから写真データを拾い出す必要はありません。
スポンサードリンク
関連記事
-
-
Evernote×大学の講義。講師の立場から考える「Evernoteで講義ノートをとる方法」
1.講師の立場から「Evernoteで講義ノートをとる方法」を考える (1) 自分が大学生のときにE
-
-
「自分以外の読み手を想定している&書いたあとで整理する」の領域に位置づけられる、Postach.ioとFargo
1.「自分以外の読み手を想定している&書いたあとで整理する」候補の、Postach.ioとF
-
-
サポテキ(3) サポテキで、spモードメールアプリの弱点を補う
1.概要 (1)サポテキで補うspモードメールアプリの弱点 サポテキを使えば、「動作が重い。特に
-
-
なぜ、文章書きとしての私は、アウトライナーよりもEvernoteを贔屓しているのか?
1.はじめに この記事を読みました。 Evernoteとアウトライナーの融合に対する試案(201
-
-
AndroidでFastEver的運用が実現!Evernoteへの投稿に特化したシンプルなアプリ「WriteNote」
1.Evernoteへの投稿に特化したシンプルなAndroidアプリ「WriteNote」 先ほど
-
-
GoogleカレンダーとToodledoのよいところは、いろんな表示が可能なところ
1.GoogleカレンダーとToodledoのよいところ私は今、GoogleカレンダーとToodle
-
-
日本語でToodledoを使う(モバイル版orアプリ)
1.Toodledoは、日本語でも使える Toodledoは、英語のサービスです。 でも、Too
-
-
iftttにおけるpocketのチャンネルに期待したいこと
1.iftttの対応が早かった Read It Laterが、その名を、pocketに変えました。
-
-
docomoのAndroidを快適に使うための3つの工夫
1.docomoのAndroidスマートフォンは、少なくない工夫が必要 Android自体、快適に使
-
-
Evernoteで思考を育てることによって、Evernoteを育てる
1.私は、Evernoteという場所で、思考を育てる 私は、Evernoteを、思考をするための場