自分の「10万字インプット・5000字アウトプット」に関する現状分析
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知的生産
1.「10万字インプット・5000字アウトプット」
次の4つの記事を読みました。
- ソーシャル疲れに対する処方箋としての「10万字インプット・5000字アウトプット」:[mi]みたいもん!
- R-style » 「10万字インプット・5000字アウトプット」について考えてみた
- 「10万字インプット・5000字アウトプット」の記事を読んで頭に浮かんだことを、言葉にして伝えようとしてみる | タムカイズム
- インプットとアウトプットの量的逆転に早く気がつく、そして両者の関係の(自分勝手な)一考察 | 今日よりいい明日がきっとあるはず
これら4つの記事を読んで、私の感想は、「便秘に気をつけよう」でした。
Kindleでインプットが加速したから、便秘に気をつけよう→「何かしら自分自身の口で(あるいは手で)言葉を生み出すことをする。そうすることで、思考がまとまりをみせはじめ」「10万字インプット・5000字アウトプット」について考えてみた http://t.co/G9HCr1KtRM
— 彩郎 (@irodraw) 2014, 7月 7
便秘に気をつけるために必要なのは、第1に「10万字インプット・5000字アウトプット」を具体的にイメージすることで、第2に、現時点の私が何字インプット・何字アウトプットなのか、です。この両者にとって、自己分析は有益です。
そこで、自分のインプットとアウトプットを検証しました。以下、インプットの概算、アウトプットの概算、考察の順に述べます。
(なお、仕事関係のインプットとアウトプットは除外し、個人的な知的生産に関するインプットとアウトプットのみを分析します。)
2.インプットの概算
(1) 代表的な2つのインプット
(仕事を除くと、)私の代表的なインプットは2つです。ひとつは本、もうひとつはブログです。
本は、紙の本1割、Kindle8割くらいです。ブログは、RSS購読が8割、Twitterやはてなブックマーク、Gunosy経由が2割くらいです。
(2) 本からのインプット概算
a.本は、基本すべてAmazonで、Kindle本が8割
個人レベルでの本からのインプットは、9分9厘、Amazonです。Amazonさまさま。
家庭の事情で本を置くスペースが限られているため(参考:本を買って読むことにしている理由と、一回勝負で読んで、どんどん捨てる、という解決法)、Kindle版があるならKindleで読むことにしています(Kindleが、本棚のスペースというボトルネックを、解消した)。また、Kindleの個人ページの価値を実感しているため(Kindleの個人ページ(kindle.amazon.co.jp)はおもしろい)、紙の本を持っていても、よい本なら迷わずKindle版を買うことにしています。ハイライト箇所をEvernoteにウェブクリップできるのがすばらしいです(Kindleの個人ページをウェブクリップして、Evernoteに読書メモを残す)。
そのため、現在、私がAmazonで買う本(≒私が買う本)の約8割は、Kindle本です。
b.Amazonの購入ログで、買った本を概算する
Amazonで購入した本の履歴は、Amazonの購入履歴ページから確認できます。
でも、Amazonの購入履歴ページよりも、Gmailのメール検索の方が便利です。Amazonで本を購入したときにAmazonから送られたメールは、すべてGmailに保存されています。Gmailは、動きも軽く、一覧性もあり、優れたデータベースです(Gmailを自分専用データベースとして活用するための5つの習慣)。
Gmailを確認したところ、私が2014年になってからの半年で購入した本は、Kindle本約150冊、紙の本約30冊の、合計180冊でした。(余談ですが、紙の本30冊のうち7冊は、倉下忠憲氏の本でした。Kindle化を待ち望んでます。)
c.買った本→読んだ本の調整、読み返しの調整
(a) 買った本→読んだ本の調整
半年の間に約180冊の本を買ったとしても、私の場合、その全部を読むわけではありません。私は、行き倒れ前提で本を買います。読み始めることすらしない本もあります。読み始めても途中でやめる本も、何冊もあります。
感覚では、この比率は、「買う→読み始める」が1/2で、「読み始める→読み終わる」がさらに1/2です。
仮に、この比率(1/2、1/2)を前提とすれば、私は、この半年で、新しく買った本90冊を読み始め、そのうち45冊を読了した概算になります。
(b) 読み返しの修正
他方、この数字は、私がこの半年に読んだ本とは一致しません。以前に買った本を読むこともあれば、同じ本を何度も読み返すこともあるからです。
とくに大きいのは、読み返しです。私は、「読み返す」という行為を、読書の基本技だと考えています。同じ本を何度も読むことに、限界費用逓減は当てはまらず、むしろ、逓増になるのではないかと、私は思います。
この半年では、『7つの習慣』、『嫌われる勇気』、『獣の奏者』などを、何度か読み返しました。
読み返しの冊数は、1週間に1,2冊です。仮に週1.5とすると、半年で40冊弱です。
これを新規購入分45冊を合わせると、概算で90冊です。
d.検算:Toodledoのリストとの照らし合わせ
さて、この半年で90冊という概算を、検算します。
最近、私は、ToodledoとIFTTTを使い、読書リストをEvernoteに作り始めました。読書リストづくりを始めてから約1ヶ月なので、この1ヶ月で読んだ冊数は、Evernoteを見れば確認できます。
Evernoteに読書経験のすべてを蓄積するとっかかりとして、ToodledoとIFTTTを使う
そこで確認したところ、この1ヶ月で読めたのは、18冊でした。
半年90冊だと、1ヶ月15冊ですから、18冊という実績値とは、概ね一致します。ということで、半年90冊を、本からのインプットとします。
e.1冊あたりの文字数
次に、冊数を文字数に換算する必要があります。
次の記載を参考に、1冊10万字としました。
よく聞かれるのが本一冊につき、何文字書けばいいのかという事です。新書は8万字~12万字、単行本は15万字前後と言われています。
f.本からのインプット概算のまとめ
以上をまとめます。
本からのインプットは、半年90冊です。文字数にすると、×10万字で、半年900万字です。
1日あたり、だいたい5万字です。
(3) ブログはPocket
a.ブログは、基本的に、Pocket
次に、ブログです。私がブログを読むのは、基本的には、Pocketからです。
FeedlyでRSSを購読しているブログはIFTTTによってPocketに送信し、購読していないブログはブックマークレットやiPhoneアプリによってPocketに送信し、すべてPocketから読んでいます。
そこで、Pocketで読んでいる字数を確認すれば、大きなところではまちがいありません。
b.Pocket Stats
これを考えるには、便利なものがあります。それは、Pocket Statsです。
2013年が終わった頃、私は、Pocketから、メールをいただきました。2013年にPocketで読んだ記事の統計情報を見ることができる「Pocket Stats」の案内でした。
Pocket Statsによれば、私は1年間で約62万語を読み、これは『グレート・ギャツビー』13回分に相当するそうです。
c.Pocket Statsの修正
(a) 英語の単語数→日本語の文字数
さて、Pocket Statsの数字は、英単語数なので、これを日本語の文字数に換算する必要があります。
これについては、このブログ記事を採用し、2.3倍としました。
つまり、62万語の2.3倍で、約140万字です。
これが年間の文字数なので、半年に揃えると、約70万字です。
半年で約70万字。本と比較すると10分の1以下で、1日あたり1万字もありません。
……。なんか少ない気がします。
ひとつのブログ記事が3000字程度だとして、1日あたり3つの記事を読めば、この文字数に到達します。もうちょっと行くんじゃないかなあ。
(b) 『グレート・ギャツビー』基準
そこで、もうひとつの手がかりである、『グレート・ギャツビー』13回分を計算します。
この手がかりでは、最初に『グレート・ギャツビー』日本語訳の文字数を採用することで、英語の語数から日本語の文字数への変換をすっ飛ばすことにします。
さて、『グレート・ギャツビー』の文字数は、青空文庫のテキストデータをカウントすることで確認します。約14万字でした。
この13回分なので、約14万×13で、約182万字です。
1年間で約182万字なので、1日約1万字。
あんまり変わりませんが、まあ、こんなもんですかね。
d.検算
検算します。
たとえば、2014/07/07読んだブログ記事は、(最初から最後までちゃんと文章を読んだのは、)
R-style » 「10万字インプット・5000字アウトプット」について考えてみた
ブログを書く目的次第で面白さの方向性は変わるんじゃないかっていう面白くも無い話 | Hacks for Creative Life!
の2つです。
前者が3000字程度、後者が3500字程度なので、この2つで6500字です。
ほかにも、軽くであるけれど読んだ記事がたくさんあるので(たとえば、「10万字インプット・5000字アウトプット」に関するいくつかの記事とか)、1日約1万字というのは、それなりに妥当な線かもしれません。
まあ、こんなもんでしょう、ということで、この1日約1万字を採用します。
e.ブログからのインプット概算のまとめ
Pocket Statsのデータを根拠にして、半年約182万字・1日約1万字です。
(4) インプット概算のまとめ
以上から、私の2大インプット源である本とブログは、
- 本が1日約5万字
- ブログが1日約1万字
で、合計1日約6万字となりました。
3.アウトプットの概算
(1) アウトプットの条件=自分以外の読み手に伝えることを願って書く文章
次は、アウトプットの概算です。
まず、「10万字インプット・5000字アウトプット」のいう「アウトプット」の意味を確認すると、みたいもんの記事には、こんな記載があります。
5000字アウトプットも、原稿を書けとか記事書けとかいうことでもありません。だれかへのコメントとか、レスとかメッセとかを含めてもいいんです。
ここには、原稿や記事じゃなくてもいいと書かれています。でも、「含めてもいい」の例示は、だれかへのコメントとかレスとかメッセです。これらはいずれも、自分以外の読み手を想定する文章です。
つまり、文章を書けばそれがアウトプットになる、というわけではありません。ここでいうアウトプットは、自分以外の読み手を想定した文章です。
実際、自分以外の読み手を想定して書くか否かによって、文章を書くという行為の意味合いは、大きく異なります。したがって、アウトプットを「自分以外の読み手を想定して書く文章」に限定することには、意味があります。
ていねいに書き直すために時間とエネルギーがかかるのはあたりまえ~『文章教室』第8回の感想
(2) 自分のアウトプット
私が書く、「自分以外の読み手に伝わることを願って書く文章」をリストアップすると、次の3つです。
- メールなどのプライベートのコミュニケーション
- ツイート
- ブログ
このうち、メールはプライベート空間なので除外し、ツイートは140字という制約があるので除外すると、残るはブログです。実際、(仕事を除く、個人的な)アウトプットの大半は、このブログですし。
そこで、私のアウトプットを測定するには、この「単純作業に心を込めて」へのアウトプットを測定すればよいことになります。これなら可能です。
(3) 「単純作業に心を込めて」へのアウトプット
「単純作業に心を込めて」は、WordPressを使っています。ひょっとしたら、WordPressの機能やプラグインで、WordPressに投稿した記事の文字数をカウントすることができるのかもしれません。
しかし、ちょっと調べてもわからなかったので、
- 1記事あたりのだいたいの文字数×記事の本数
で概算します。
a.1記事あたりのだいたいの文字数
最近の記事の文字数を、いくつか数えてみます。
これで約5500字です。
これが約5000字。
Evernoteを中心に、知的生産のためのクラウドベースを作る
これが約6500字。
最後のは、ちょっと長めの記事です。これよりも短い記事もあります。平均すると、1記事約5000字程度になりそうです。
b.記事数
記事数は、2014年上半期で数えてみます。
WordPressのダッシュボードから確認したところ、2014年1月から6月の6ヶ月で、約120個です。1ヶ月20個、3日で2個くらいですね。
この半年は、我ながらブログ記事を書くことに熱中していたような気もします。この意味で、多少特殊な半年間なのですが、でも、半年続いている熱中なので、これを採用することにします。
c.概算
半年で、約5000字×120個=60万字。
1ヶ月で、約5000字×20個=10万字。
1日で、約3000字ちょっと。
これが、私がアウトプットしている文字数です。
4.まとめと考察
(1) インプットとアウトプットの概算
1日あたりのインプットとアウトプットは、
- インプット6万字
- アウトプット3000字
です。
- インプット10万字
- アウトプット5000字
には及びません。
でも、比率としては、
インプット:アウトプット=20:1
になってますので、「インプット10万字、アウトプット5000字」に合致しています。
(2) 考察→アウトプットを支援するシステムを回すことで、なんとか調度よいバランスになる
「インプット10万字、アウトプット5000字」が理想だとすると、ここ半年の私のインプットとアウトプットは、比率としては、わりと理想的です。
ただ、自分でふり返ると、この半年は、かなりアウトプットに熱中した半年間でした。一時期は、アウトプット過剰かもしれない、と感じることもありました。それにもかかわらず、それで調度よいバランスです。
ということは、私の場合は、あえてアウトプット重視を心がけるほうが、結果として、よいバランスになる、ということです。インプットよりもアウトプットを大切にしていこうと思います。アウトプットをすれば、自然とインプットがついてくるようにも感じますし。
インプットとアウトプットの順番、深呼吸における「吸う」と「吐く」の順番
また、長期的にアウトプットを継続することを、意識や努力だけでなんとかしようとすると、おそらくうまく行きません。大切なのは、継続的なアウトプットを支援するシステムを作ることです。
この「Evernoteを中心に、知的生産のためのクラウドベースを作る」という記事で考察したように、Evernoteを中心に、今まで以上に、メンテナンス管理を大切にしたいと思います。
5.おまけ 〜インプットしたい本・アウトプットしたい本〜
最後に、上のいくつかの記事にならい、私も、未読の本を並べます。また、ついでに、読んだけれどアウトプットできていない本も並べます。
(1) インプットしたい本
a.『影響力の正体』
数年前に、『影響力の武器』を読んだのですが、内容を忘れてしまいました。同じ本の別の訳だそうなので、勉強し直したいです。
b.『タテ社会の人間関係』
佐々木正悟さんのブログで、Evernoteのノートブック・タグと絡めて紹介されていて、大きな興味を持ちました。
(2) アウトプットしたい本
以下の3冊は、インプットが終わり、いろいろ収穫があったので、アウトプットしたい、と思っている本です。便秘を避けるためにも、ひとつひとつ形にしていきたいです。
a.『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』
ブログとEvernoteを中心とした総合的な読書システムを作る、という発想が、すごく好きです。
b.『本はどう読むか』
清水幾太郎氏の名著。Kindle版を見つけて、再読しました。本を読んだ直後に、700字程度でもいいから、自分の言葉でその本のまとめや感想を文章にすると、理解が深まる、というようなことが書いてあり、強く共感します。
また、読書ノートの取り方について、客観主義と主観主義というものが紹介されていました。自分自身の読書ノートとの関係でも示唆に富む分類なので、読書ノートの客観主義と主観主義についても、書いてみたい。
c.『知的生活の方法』
渡部昇一氏の古典です。これもKindle版を見つけて、購入です。
直接の目的は、『Evernote「超」知的生産術』に紹介されていた「タスク・フォース」というカードの使い方を参照するために再読したのですが、全編、大変興味深かったです。
『知的生活の方法』が強調する、空間とお金という課題が、現代のクラウドサービスによってどのように変わったのか、このあたりを考察したいなと思っています。
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