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URLスキームの強化(一時的なInboxを指定するURLスキーム)(MemoFlowy ver.1.2)

公開日: : WorkFlowy

MemoFlowyはWorkFlowyへのテキスト入力に特化したメモアプリです。ぱっとアプリを立ち上げ、さっとメモを書き、ポンとWorkFlowyに放り込むことができます。

2015年12月3日にver.1.0が公開され、2016年1月7日にver.1.1が公開されたMemoFlowyですが、このたび、ver.1.2へとバージョンアップしました。

ver.1.2へのバージョンアップの全体像は、次のとおりです。

盛りだくさんですし、大きな意味を持つ進化も含まれています。連載形式で、ひとつひとつ順番にご紹介します。今回は、「URLスキームの強化」です。

(なお、バージョンアップにあたっては、MemoFlowy ver.1.1をご愛用くださっている皆様はもちろん、HandyFlowyをご愛用くださっている皆様からのご意見が、大変参考になりました。ありがとうございます。これからも、MemoFlowyとHandyFlowyをご愛用いただけると、とてもうれしいです。また、ご意見・ご感想・ご要望など、お気軽にお寄せください。)

1.MemoFlowyのURLスキームの概要

(1) MemoFlowyのURLスキームでできること

MemoFlowyは、URLスキームを備えています。

URLスキームは、iOSの機能です。

  • (他のアプリから)特定のアプリを呼び出すこと
  • 呼び出したアプリに何らかのデータを受け渡すこと

という2つの役割を果たします。

MemoFlowyは、ver.1.1から、URLスキームを備えていました。MemoFlowyのURLスキームが実現する役割は、

  • 他のアプリからMemoFlowyを呼び出す(開く)こと
  • 他のアプリからMemoFlowyに何らかのデータを受け渡すこと

という2つです。

MemoFlowyのURLスキームを使えば、たとえば、

  • 他のメモアプリ(TextwellやDrafts4)から、MemoFlowyの「WorkFlowy画面」を、直接に開く
  • iOSのペーストボード内のデータを、MemoFlowyの「メモ入力画面」に受け渡した状態で、MemoFlowyを開く

などというように、MemoFlowyでいろいろなテキストメモのフローを組み立てることができるようになります。

MemoFlowyのURLスキームを活用して、MemoFlowyでテキストメモのフローを組み立てる

(2) MemoFlowyのURLスキームの簡単な説明

MemoFlowyのURLスキームは、「memoflowy:// 」です。この後ろに、[コマンド]と[オプション]をつなげることで、いろいろな操作を実現します。

ver.1.1までに存在していた[コマンド]と[オプション]を、簡単に見てみましょう。

a.[コマンド]

[コマンド]は、MemoFlowyを呼び出すタイミングでMemoFlowyにどんな指示を出すか、です。以下のものが用意されています。

  • なし
    • MemoFlowyを起動する
  • create
    • 新規メモを作成する
    • テンプレート適用:無し(設定無視)
    • 使用可能オプション:text
  • template
    • 新規メモを作成する
    • テンプレート適用:有り(設定無視)
    • 使用可能オプション:text
  • insert
    • メモ入力部分は起動前の状態のまま。
    • 新規に起動される場合は、テンプレート適用は設定にどおりになる。
    • 使用可能オプション:text
  • create2inbox
    • inboxを表示する。
    • 使用可能オプション:text
    • textオプション使用時は、createコマンドと同じ動作をしてから、WorkFlowy画面に切り替える。
  • template2inbox
    • inboxを表示する。
    • 使用可能オプション:text
    • textオプション使用時は、templateコマンドと同じ動作をしてから、WorkFlowy画面に切り替える。
    • textオプション未使用時は、テンプレートの内容のみがペーストボードに入る。
  • insert2inbox
    • inboxを表示する。
    • 使用可能オプション:text
    • textオプション使用時は、insertコマンドと同じ動作をしてから、WorkFlowy画面に切り替える。

b.[オプション]

[オプション]は、何らかの[コマンド]を実行する際に、何らかのことを指定するためのものです。ver.1.1までは、「text」のみでした。

  • text=〜
    • =以降の文字をメモ入力画面のカーソル位置に入力する
    • 指定可能特殊文字
      • ||clipboard|| または ||pasteboard||
        • ペーストボードの中身をその場所に挿入する
      • ||cursor||
        • その場所へカーソルを持っていく
        • テンプレのカーソル位置指定と同じ

c.MemoFlowyのURLスキームの例

MemoFlowyのURLスキームは、以上の[コマンド]と[オプション]の組み合わせです。いくつか例を示します。

[memoflowy://](コマンドもオプションもなし)

MemoFlowyを起動する(基本)

[memoflowy://create?text=ここがメモになります]

コマンドは、「create」です。テンプレートを適用しないで新規メモを作成した状態で、MemoFlowyの「メモ入力画面」を開きます。

オプションは「text」です。=に続く「ここがメモになります」部分がcreateコマンドで新規作成された「メモ入力画面」に、入ります。

[memoflowy://insert?text=ここに文字列が入ります||pasteboard||]

コマンドは、「insert」です。MemoFlowyの現在の「メモ入力画面」のカーソル位置に、textオプションが指定する文字列が入ります。

オプションは「text」です。textオプションが指定するのは、「ここに文字列が入ります」と||pasteboard||ですが、||pasteboard||はiOSのペーストボードの中身を意味します。ですから、insertコマンドで挿入されるのは、「ここに文字列が入ります」とそれに続けてiOSのペーストボードの中身です。

[memoflowy://create2inbox]

コマンドは、「create2inbox」です。(「メモ入力画面」を経由せずに、)「WorkFlowy画面」が開きます。

オプションは指定されていません。ですから、単に「WorkFlowy画面」が開くだけです。

[memoflowy://insert2inbox?text=ここに文字列が入ります||pasteboard||]

コマンドは、「insert2inbox」です。insertコマンドと同じ動作をしたのち、「WrorkFlowy画面」に切り替える、という動きをします。

オプションは、「text」です。textオプションが指定するのは、「ここに文字列が入ります」と||pasteboard||ですが、||pasteboard||はiOSのペースト ボードの中身を意味します。ですから、insertコマンドで挿入されるのは、「ここに文字列が入ります」とそれに続けてiOSのペーストボードの中身で す。

(3) URLスキームの強化

さて、今回、そんなMemoFlowyのURLスキームが強化されました。

ポイントは、「inboxtopic」という[オプション]を指定できるようになったことです。この[オプション]は、MemoFlowyのInboxについて、一時的なinboxを指定できるようにしてくれます。上に挙げたすべての[オプション]で利用可能です。

順番に説明します。

2.「inboxtopic」オプションの使い方

(1) 「inboxtopic」オプションとは?

「inboxtopic」は、[オプション]です。

ですから、

memoflowy:// [コマンド] [オプション]

の[オプション]の部分に書き入れて使用します。

「inboxtopic」オプションの役割は、MemoFlowyの一時的なInboxを指定することです。MemoFlowyにおいて、Inboxとは、「WorkFlowy画面」を開いたときに表示されるトピックですから、一時的なInboxを指定するとは、MemoFlowyを開いて最初に「WorkFlowy画面」を開いた時に表示されるInboxを指定することを意味します。

「inboxtopic」オプションで一時的なInboxを指定するには、指定したいトピックの「WorkFlowyのURL」のうち、トピックを特定する文字列の部分を指定します。

  • 自分のアウトライン内のトピックを指定する場合
    • https://workflowy.com/#/xxxxxx のxxxxxx部分のみ指定する。
  • 公開トピックを指定する場合
    • https://workflowy.com/s/xxxxxx のs/xxxxxx部分を指定する。
    • URLエンコードが必要。
      • 「s/xxxxxx」が「s%2Fxxxxxx」になります。

また、「WorkFlowyのURL」によって指定するのではなく、HandyFlowyで最後に表示していたトピックを指定することもできます。このためには、「hflast」を使います。

(2) 「inboxtopic」の具体例

いくつかの具体例を示します。

[memoflowy://create?text=||pasteboard||&inboxtopic=xxxxxx]

コマンドは、「create」です。MemoFlowyを開いて、「メモ入力画面」で新しいメモを作ります。

オプションは、「text」と「inboxtopic」です。(複数のオプションを指定するには、「&」でつなぎます。)

「text」オプションが指定する||pasteboard||はiOSのペーストボードの中身を意味します。ですから、ペーストボードの中身が、「メモ入力画面」に入ります。

「inboxtopic」オプションによって、MemoFlowyを「WorkFlowy画面」に切り替えたときに、[https://workflowy.com/#/xxxxxx]という「WorkFlowyのURL」のトピックが表示されます。

[memoflowy://create2inbox?inboxtopic=xxxxxxx]

コマンドは、「create2inbox」です。(「メモ入力画面」を経由せずに、)「WorkFlowy画面」が開きます。

オプションは「inboxtopic」です。ですから、「WorkFlowy画面」が開くときに、[https://workflowy.com/#/xxxxxx]という「WorkFlowyのURL」のトピックが表示されます。

つまり、いきなり[https://workflowy.com/#/xxxxxxx]という「WorkFlowyのURL」が、MemoFlowyで開かれる、ということです。

[memoflowy://insert?text=ここに文字が入ります&inboxtopic=hflast]

コマンドは、「insert」です。MemoFlowyの現在の「メモ入力画面」のカーソル位置に、textオプションが指定する文字列が入ります。

オプションは「text」です。textオプションが指定するのは、「ここに文字列が入ります」ですから、insertコマンドで挿入されるのは、「ここに文字列が入ります」という文字列です。

「inboxtopic」オプションは、「hflast」を指定します。したがって、MemoFlowyを「WorkFlowy画面」に切り替えたときには、HandyFlowyで最後に表示していたトピックが開きます。

3.「inboxtopic」を使うと、何ができるか?

「inboxtopic」を使うと、どんなことができるのでしょうか。ニーズに合わせていろいろなことが実現できるはずですが、ここでは、「いろんなパターンのMemoFlowyを通知メニューから起動する」という手法を紹介します。

(1) MemoFlowyのメニューを通知センターに置く

次に紹介するブログでは、MemoFlowyのメニューを通知センターに置くという手法が紹介されています。

MemoFlowyのメニューを通知センターに置くと起動が3倍速い – W&R : Jazzと読書の日々

ここで使われているのは、通知センターに置くメニューを作ることができるMyMemoというアプリ。このMyMemoにMemoFlowyのURLスキームを登録することで、通知センターから、次の3つの形で、MemoFlowyを開けるようにしています。

  • [MemoFlowy]
    • MemoFlowyを起動します(「メモ入力画面」を開きます)。
    • 使用しているURLスキームは、[memoflowy://create]
  • [+clip]
    • クリップボードを「メモ入力画面」に追加して、MemoFlowyを起動します。
    • 使用しているURLスキームは、[memoflowy://insert?text=]
  • [inbox]
    • MemoFlowyの「WorkFlowy画面」を開きます。
    • 使用しているURLスキームは、[memoflowy://create2inbox?text=]

シンプルながら、MemoFlowyを大幅に強化するカスタマイズです。

(2) メモの種類ごとにInboxを切り替える

これだけでも十分強力なのですが、「inboxtopic」オプションを使うと、メモの種類ごとに、メモを放り込むトピックを使い分けることもできます。

たとえば、日記のためのWorkFlowyトピックを一時的なInboxとして指定すれば、「メモ入力画面」に日記のためのメモをして「WorkFlowy画面」に切り替えると、日記のためのWorkFlowyトピックが開くようになります。使用するURLスキームは、[https://workflowy.com/#/xxxxxx]が日記用のURLだとすると、[memoflowy://create?inboxtopic=xxxxxx]です。

メモの種類ごとに用途を分ける例としては、こんなものが考えられます。

  • 日記メモ
  • 買い物リスト
  • ブログのアイデア
  • 子どもの成長記録
  • タスクリスト

4.おわりに

URLスキームは、拡張日時機能以上に、敷居が高いのではないかと思います。私自身も、ほとんど使っていません。

でも、MemoFlowyのURLスキームは、ひょっとすると、「これがこうなればすごく便利なんだけどな」というピンポイントを解消してくれるかもしれません。

今回、「inboxtopic」というオプションが加わったことで、URLスキームによって実現可能な範囲が、確実に広がりました。MemoFlowyで実現したいニッチでコアなニーズをお持ちの方は、よろしければ、お試しください。

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