セルフマネジメントとは何か?(ハイブリッド手帳システムを作る【セルフマネジメント編】その1)
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仕事の方法論
1.「ハイブリッド手帳システムを作る【セルフマネジメント編】」のはじまり
(1) ハイブリッド手帳システムを作る
「ハイブリッド手帳システム」とは、倉下忠憲さんが『クラウド時代のハイブリッド手帳術』で提唱する手帳に対するアプローチです。
手帳から「ハイブリッド手帳システム」へ。『クラウド時代のハイブリッド手帳術』を参考に、自分なりの手帳システムを作る。
このアプローチに衝撃を受けたわたしは、自分の中にハイブリッド手帳システムを作ることを決意しました。
「ハイブリッド手帳システム」を構成するのは、次の4つのシステムです。
- スケジュール管理システム
- タスクマネジメントシステム
- メモシステム
- セルフマネジメントシステム
このうち、タスクマネジメントシステムの構築はひとくぎりつきました。
ハイブリッド手帳システムを作る【タスク編】ToodledoとEvernoteで作るタスクマネジメントシステム
次は、セルフマネジメントシステムを作ることにします。
(2) セルフマネジメントシステム構築作業の出発点は、「セルフマネジメントとは何か?」
とはいえ、私にとって、セルフマネジメントシステムを作る作業は、タスクマネジメントシステムを作る作業とは、かなり違ったものになるはずです。
というのも、タスクマネジメントシステムに関しては、私は、『クラウド時代のハイブリッド手帳術』を読む前から、自覚的に作成し運用していました。そのため、タスクマネジメントシステム構築作業は、基本的には、それまでの自分のシステムを改善し強化していく作業でした。
これに対して、セルフマネジメントシステムに関しては、自覚的なシステムとしては作ってもいなければ運用もしていません。セルフマネジメントの範疇に含まれる作業はしていると思うのですが、それらを統合してひとつのシステムとして把握することを、まったくしていないわけです。そのため、セルフマネジメントシステム構築作業は、0から始める必要があります。
となると、0から構築作業を始めるとして、どこから始めるか、です。
私は、「セルフマネジメントとは何か?」から始めることにします。今から構築するのはセルフマネジメントシステムなのですから、それが対象とする「セルフマネジメント」なるものを、きちんと把握する必要があります。
以下、「セルフマネジメントとは何か?」を、セルフマネジメントシステムを構築するために役に立つ範囲で、検討します。
2.セルフマネジメントとは何か?
(1) 「セルフマネジメント」=「セルフ」+「マネジメント」
「セルフマネジメント」という言葉は、「セルフ」と「マネジメント」という2つの言葉からできています。この2つの言葉は、「マネジメント」の対象が「セルフ」である、という関係です。
「セルフ」は「自己」とか「自分」なので、「セルフマネジメント」とは、「自分をマネジメントする」「自己をマネジメントする」という意味です。
とはいえ、「自己をマネジメントする」「自分をマネジメントする」というのも、わかるようなわからないような、曖昧な言葉です。
そこで、「マネジメント」を考えた上で、その「マネジメント」を自己・自分を対象として行うとはどういうことか、という順序で考えます。
(2) マネジメントとは?
ステレオタイプなんですが、私にとって、「マネジメント」といえば、ドラッカーの『マネジメント』です。そこで、ドラッカーの『マネジメント』を参考に、「マネジメント」とは何かを検討してみます。
a.マネジメントの対象は、組織
まず、ドラッカーは、「マネジメント」を、組織を対象とする概念として捉えています。複数の人が集まる組織を機能させるために必要な何かが、マネジメントです。
b.マネジメントは、役割から定義される
次に、ドラッカーは、「マネジメント」は、その機能や行為ではなく、その役割から定義されるものだとします。そして、「マネジメント」の役割として、次の3つをあげます。
マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させるうえで三つの役割がある。それら三つの役割は、異質ではあるが同じように重要である。location 215
3つの役割は、次のとおりです。
自らの組織に特有の使命を果たす。マネジメントは、組織に特有の使命、すなわちそれぞれの目的を果たすために存在する。location 217
仕事を通じて働く人たちを生かす。現代社会においては、組織こそ、一人ひとりの人間にとって、生計の資、社会的な地位、コミュニティとの絆を手にし、自己実現を図る手段である。当然、働く人を生かすことが重要な意味を持つ。location 218
自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。マネジメントには、自らの組織が社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題の解決に貢献する役割がある。location 221
組織に特有の使命を果たして成果をあげること、人を生かすこと、社会に及ぼす影響を処理するとともに社会に貢献することという3つが、ドラッカーの考える「マネジメント」の役割です。
c.『マネジメント』からわかる「マネジメント」
ドラッカーの『マネジメント』を前提とすれば、「マネジメント」とは、目的的な概念です。対象とする組織に、成果をあげさせ、人を生かさせ、社会に貢献させる、という役割を果たすためのもろもろが、「マネジメント」です。
(3) セルフマネジメントとは?
この「マネジメント」を前提とすると、「自己をマネジメントする」「自分をマネジメントする」は、どういうことになるのでしょうか。ポイントは2つです。
a.「自己」や「自分」を組織のように把握する
まず、「自己をマネジメントする」「自分をマネジメントする」ときの「マネジメント」の対象は、組織ではなく、「自己」「自分」です。ここには、「自己」や「自分」を、組織のように把握する、というものの見方があります。
「自己」や「自分」は、ひとつのまとまった人格であって、これ以上分割できない一単位だとも言えます。でも、「自己」や「自分」をたくさんの構成要素から成り立っている存在だと考えることもできます。この考え方をすれば、「自己」や「自分」を、組織のようなものとして把握することができます。
「自己」や「自分」を組織のようなものだと把握して、本来は組織を対象とする「マネジメント」の知見を活用するのが、「セルフマネジメント」です。
b.「成果をあげる」を目的にして、「生きる目的はなにか?」などを考えない
「マネジメント」は、役割から定義されます。「マネジメント」の役割は、組織をして、成果をあげさせることです。「マネジメント」という概念は、その定義からして、目的的です。
同じように考えると、「セルフマネジメント」も目的的になります。すなわち、「セルフマネジメント」の役割は、「自己」や「自分」をして、成果をあげさせることであり、自分に与えられた資源や能力を活用して、自分の外部に成果を生み出すことが、「セルフマネジメント」だ、ということになります。
生きるということは、成果をあげることとイコールではありません。成果をあげることを目的にした生き方も悪くないですが、成果をあげることを目的としない生き方もぜんぜん問題ないはずです。でも、ドラッカーの『マネジメント』の意味で「マネジメント」を使うなら、「セルフマネジメントとは、自分をして成果をあげさせることである」ということになって、「生きる目的はなにか?」とか「何のために生きるのか?」といった問題をすっ飛ばすことができます。
今後の検討では、とりあえずこれにのっかって、「セルフマネジメントの役割は、自分をして、成果をあげさせること」としておきます。
(もっとも、「成果をあげる」という言葉もかなり抽象的なので、「ではどんな成果なのか?」という問いは残りますので、これは別の機会に検討します。)
ということで、「セルフマネジメント」の役割は、「自己・自分をして、成果をあげさせること」です。この役割を果たすために必要なことの全体が、セルフマネジメントです。
3.セルフマネジメントに含まれる行動
セルフマネジメントとは、自分が成果をあげるために必要なことの全部です。でも、これだけでは曖昧です。そこで、「自分に成果をあげさせるためには、どんな行動が必要か?」を考えます。次の5つを思いつきましたので、今後は、この5つを軸に、自分に成果をあげさせるためのシステムを構築する予定です。
(1) 目標
ひとつめは、目標です。組織を運営するとき、その組織が目指すものを明らかにして組織の方向性を定めることは、組織が生み出す成果に大きな影響を与えます。これと同じように、自分が目指すものを明らかにして自分の方向性を定めることは、自分に与えられた資源や能力を活用して自分の力を発揮するために、役に立ちます。
自分の方向性を定めるためのもろもろが、目標の扱い方です。私が最初に目標の扱い方を学んだのは、『7つの習慣』(の特に第2の習慣)です。その後、『ザ・コーチ』を読んで、さらに体系的で実践的な目標の扱い方を学びました。
「ゴール」から「目的」と「目標」を見つける方法とそのメリット(『ザ・コーチ』のご紹介)
(2) 日々の実行
ふたつめは、日々の実行です。いくら素晴らしいミッションを掲げる組織も、日々の実行がグダグダでは、崩壊を待つばかりです。これと同じように、いくら素晴らしい方向性を心に秘めていても、日々の実行をしなければ、自分も成果をあげることができません。
確実に日々の実行を続けるには、時間や体力やお金や人間関係などをうまく活用することが大切です。
(3) メンテナンス
みっつめは、メンテナンスです。
成果をあげるためには、秩序が大切です。しかし、この世界はエントロピー増大法則の支配下にありますので、エントロピーは増大しつづけ、秩序は崩壊に進み続けます。そこで、秩序を保つためのメンテナンスが必要不可欠です。
自分に成果をあげさせるためにも、たとえばきちんと休息をとったり、ストレスを解消したり、あるいは家事を片付けたりといった、自分のメンテナンスが大切です。
(4) 成長
よっつめは、成長です。
組織をして継続的に成果をあげつづけさせるためには、常に次を担う人材を育成し続ける必要があります。これと同じように、自分をして継続的に成果をあげつづけさせるためには、常に、次の局面で役に立つ何かを自分に追加する必要があります。つまり、成長し続ける、ということです。
成長の多くは、日々の営みの中で結果として自然に生じるものです。でも、学んだり、トレーニングしたりすることによって、意図的に自分を成長させることもできます。
自分を成長させることも、自分をして成果をあげさせるための、大切な行動です。
(5) 記録
最後に、記録です。
記録は、これまでに挙げた4つ、目標、日々の実行、メンテナンス、成長を継続的に実現するために、とても大切です。
目標をうまく扱うには、自分がたてた目標と、その目標に向かう自分の行動を記録することが大切です。日々の実行をうまく進めるには、日々どんな行動をとっているかを記録することが、強力に機能します。自分をメンテナンスするためには、日記を書いて自分の状態を記録したり、睡眠時間や食事といった事実を淡々と記録すると役に立ちます。自分を成長させるためにも、どんなことを勉強したかや、どんなトレーニングをしたかを記録することが、モチベーションを保つ意味で、助けになります。
記録は、地味な行為ですが、セルフマネジメントの欠かせない一部です。
4.セルフマネジメントシステム構築作業の青写真
今回は、「ハイブリッド手帳システムを作る【セルフマネジメント編】その1」として、「セルフマネジメントシステムとは何か?」を考えました。
次は、「成果をあげる」の「成果」をもうちょっと掘り下げたいと思います。また、暫定的にあげた5つの行動(目標・日々の実行・メンテナンス・成長・記録)のそれぞれを、じっくり掘り下げたいと思います。
参考情報
手帳から「ハイブリッド手帳システム」へ。『クラウド時代のハイブリッド手帳術』を参考に、自分なりの手帳システムを作る。
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