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変化循環システム・試行錯誤の実験場・守るべき完成品と捉えないこと

公開日: : 最終更新日:2015/08/08 ブログ, 知的生産

1.「ブログは人生を変えるのか?」

『ブログを10年続けて、僕が考えたこと』の中に、こんな問いが出てきます。

「ブログは人生を変えるのか?」

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本書の冒頭で登場したこの問いは、本書全体を静かに貫いています。本書の終盤で、著者の倉下忠憲さんは、こう答えます。

そこで私は、えいやっとコミットメントを背負い込んで、こう言います。

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「ブログで人生は変わる」 しかしその変化は、皆さんが想像しているようなものとは限りません。つまり、「成功者」になって、人生のあたらしいステージに立つ、といったものとは限らないということです。

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どういうことでしょうか。

自分の人生に起きた出来事や、自分の頭を使って考えたこと。 そうしたことをブログに書き続けていけば、いろいろなものが変化していきます。 目に入る風景が変わります。触発される考え方が変わります。 体験を求めたくなり、本を読みたくなり、誰かに説明したくなります。 自分で書いてきたことを読み返して、新しい発見をしたり、自分についてより深く知ったりもできます。

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分かります。

この「単純作業に心を込めて」というブログを始めてから3年ちょっとの間に、私に生じた変化は、まさにこれらでした。

「ブログは、人生を変えるのか?」

ある意味、『ブログを10年続けて、僕が考えたこと』は、具体的なケースの説明や基本的な理論の考察を通して、この問いを、多彩な観点から考えるための一冊です。

ブログを10年続けて、僕が考えたこと

2.ブログと変化

この問いとも関連することとして、最近、考えていることがあります。それは、「単純作業に心を込めて」というこのブログの、私自身にとっての意義は、「変化」ではないか、ということです。

当初から、このブログのキーワードは、「試行錯誤」です。また、「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」というアイデアは、このアイデアにたどり着いてからずっと、このブログの中心的なコンセプトであり続けています。さらに、先日、ブログの十戒を考えていたら、「守るべき完成品としない」という(暫定的な)戒律を発見しました。

これらすべてに共通するのが、「変化」です。「変化」こそが、この「単純作業に心を込めて」というブログが持つ、私にとっての意義を(私自身が)理解するための鍵のような気がします。

そこで、ブログと変化に関して、次の3つのことを考えてみます。

  • 人生の変化とブログの変化が、車輪の両輪になって、変化を促す
  • ブログは、変化の実験場として、試行錯誤を促す
  • 守らなくていい未完成品であることが、試行錯誤や変化の条件である

(1) 変化を促す、ブログと人生の変化循環システム

ひとつめは、「人生の変化とブログの変化が、車輪の両輪になって、変化を促す」ということです。

a.人生の変化とブログの変化の循環

ブログを続けていれば、人生は変わります。でも、これは、ブログが人生を変える、という単純なメカニズムではありません。むしろ、ブログの変化と人生の変化がお互いに影響を与え合い、循環するような関係です。

たとえば、私は、WorkFlowyを使い始め、このことをブログに書きました。「WorkFlowyを使い始める」という人生の変化が、「WorkFlowyに関連する記事が増える」というブログの変化をもたらしたわけです。

すると、WorkFlowyに関する文章をブログに書いたことによって、WorkFlowyへの理解が深まり、いくつかのうまく機能するノウハウにたどり着きました。たとえば、WorkFlowy専用Firefoxや三色ボールペンWorkFlowyです。WorkFlowy専用Firefoxや三色ボールペンWorkFlowyは、いまや、ブログ関連に限定されることなく、広く私の知的生産活動一般を支えています。「WorkFlowyに関連する記事が増える」というブログの変化が、「WorkFlowyのためにFirefoxを使うようになる」「Kindle本を三色ボールペン方式で読むようになる」といった人生の変化をもたらしました。

さらに、三色ボールペンWorkFlowyを使ってKindle本を三色ボールペン方式で読むことによって、Kindle本の読書ノートがますますパワフルになり、そこから新たな考察がたくさん生まれました。たとえば、「単純作業に心を込めて」の十戒は、三色ボールペンWorkFlowyで『ブログを10年続けて、僕が考えたこと』の読書ノートを作ったからこその収穫です。ここには、「三色ボールペンWorkFlowyでKindle本を読む」という人生の変化が、「単純作業に心を込めて」の十戒というブログの変化をもたらした、という関係があります。

つまり、人生の変化とブログの変化は、お互いに影響を与え合い、永久機関のように、循環し続けます。

  • (1) 人生が変化する
  • (2) 人生の変化から、ブログに書く文章が生まれる
  • (3) ブログに文章を書くことで、ブログが変化する
  • (4) ブログが変化する過程で、新しいノウハウに辿り着くなどして、人生が変化する
  • (5) (1)の「人生が変化する」に戻り、以下、(2)〜(5)をくり返す

b.変化の循環を、システムに

ブログを続けていさえすれば、多かれ少なかれ、この2つの変化は、循環します。

でも、ここにひとつものもを追加すると、この変化の循環をシステムにすることができます。それは、「大量の書きかけの文章群を管理する仕組み」です。

人生が変化すると、ブログに文章を書きたくなります。でも、人生の変化を表現するための文章は、すぐには書き上げることができません。人生の変化をブログに書こうとすれば、必然的に、書きかけの文章が溜まっていきます。

これらの書きかけの文章たちが、埋もれてしまい、ブログ記事として結実しなければ、人生の変化はブログの変化にはつながらず、循環は弱まります。そこで、人生の変化から生まれた書きかけの文章群たちを、ブログ記事として結実させ、ブログの変化へとつなげるための仕組みが大切です。

これが、「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」です。人生の変化から生まれた書きかけの文章たちを全部まとめて管理して、ブログ記事として結実させることで、ブログの変化へと繋ぐ役割を果たします。

「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」を整えれば、ブログを取り巻く全体は、ブログと人生の変化循環システムとして、変化を促します。

(2) 試行錯誤を促す、変化の実験場

ふたつめは、「ブログは、変化の実験場として、試行錯誤を促す」ということです。

a.試行錯誤の意義と課題

私は、試行錯誤を、とても大切にしています。個人の生き方としても、「自分の生をひとつのモデルケースとみなす」という考え方は、自分の人生を充実させるための有効な戦略だと実感しますし、社会との関係でも、ひとりひとりの個別具体的な試行錯誤の積み重ねが、社会全体をよりよい場所へと育てると信じています。

でも、試行錯誤は、いいことばかりではありません。

というのも、試行錯誤のためには、実際に何かを変えなければいけません。現実に何も変えなければ、試行錯誤にはなりません。でも、実際に現実の何かを変えることは、何かと面倒です。小さなことでも、これまでとちがう手順や行動を取ることは、手間がかかることもありますし、失敗のリスクが増えることもあります。

そのため、現に何らかの成果を生み出し続けることを義務づけられている組織や活動においては、試行錯誤によって増えるリスクを許容できない場合も少なくありません。こんなとき、試行錯誤は、自分を含めた関係者の抵抗を受け、実現しません。

このように、試行錯誤は、確かに意義がある反面、現実の中で実際に実現するのは簡単じゃないという課題を抱えています。

b.実験場は、試行錯誤を促す

では、試行錯誤の課題は、どのようにすれば解消するのでしょうか。現実の中で実際に実現するのが簡単ではないのであれば、試行錯誤を簡単に行うには、どうしたらよいのでしょうか。

試行錯誤のための実験場を用意することが、解決策になります。現実の中で試行錯誤をするのがむずかしい理由は、現に何らかの成果を生み出し続けることを義務づけられているために、試行錯誤によって生じるマイナスの影響を許容できないことにあります。であれば、試行錯誤によってマイナスの影響が出ても、全体としては対して困らない条件を整えれば、課題は解消されます。実験場を用意して、実験場の中で試行錯誤をすれば、マイナスの影響が出ても、大失敗ですべてダメになっても、他に生じる悪影響は限定的なので、許容できます。

このように、実験場は、試行錯誤を促します。

c.ブログは、変化の実験場

そこで、ブログです。

ブログは、試行錯誤のための実験場になりえます。

ブログは、自分のやる気だけで維持できるメディアです。利益が出なくても、読者がいなくても、自分が続けさえすれば、続けられます。つまり、現に何らかの成果を生み出し続けることを義務づけられた存在ではありません。そのため、試行錯誤によって失敗し、ブログによる成果が霧散霧消しても、致命的なことにはなりません。

また、ブログは、匿名でもできますし、実生活における宣伝をしなくても維持できますので、実生活とある程度切り離すことができます。ブログの試行錯誤で失敗し、かなりの悪影響が生じてしまったとしても、このことがブログの外にある実生活に与える悪影響は、限定的です。

そのため、意図的に設計しさえすれば、ブログは、試行錯誤のための実験場になります。

そして、ブログという実験場で実行可能な試行錯誤は、やりようによっては、かなり精度の高い試行錯誤となります。ローコストで、何度もくり返すことができる上、適切なフィードバックも得られるから、というのが、その理由です。

iPS細胞・パソコン・自分のブログ。精度の高い試行錯誤を積極的に繰り返すための仕組み。

ブログは、変化の実験場として、試行錯誤を促してくれます。

(3) ブログを守るべき完成品と捉えないことの意義

みっつめは、「守るべき完成品ではないことが、試行錯誤や変化の条件である」ということです。

a.「守るべき完成品にしない」という戒律

「単純作業に心を込めて」の暫定的な第10の戒律は、「守るべき完成品にしない」です。

この戒律に、私は、2つの意味を込めています。

ひとつは、守る対象とは捉えない、ということです。つまり、このブログを守るためだけの行動は取りません。

「単純作業に心を込めて」というブログを、私は、とても大切にしています。このブログの存在は、私の生きがいにもなっています。また、このブログのおかげで、たくさんの方とつながることができました。「単純作業に心を込めて」というブログに対する感情のひとつは、「恩義」です。この恩をお返ししていかなくちゃな、と思っています。

でも、だからといって、このブログのことを、守るべき対象とは考えたくありません。

ふたつめは、このブログを、完成品とは考えない、ということです。

完成品ではなく、未完成です。未完成ということは、ずっと成長し続ける存在である、ということです。

私は、このブログがこれからも成長し続ける存在であることを前提に、このブログと付き合います。

b.「守るべき完成品」と捉えないことは、試行錯誤や変化の条件

この暫定的な戒律は、上に書いた2つと、深く関係しています。

ひとつめの「人生の変化とブログの変化が、車輪の両輪になって、変化を促す」との関係では、「単純作業に心を込めて」を守るべき完成品と捉えていなかったからこそ、ブログにいろんな文章を書き、ブログを大胆に変化させることができました。たとえば、もしも私がこのブログを守るべき完成品と捉えていたら、とりあえずWorkFlowy戦略を実行することを、躊躇したかもしれません。

「とりあえずWorkFlowy」から受け取ったもの

ふたつめの「ブログは、変化の実験場として、試行錯誤を促す」との関係では、「単純作業に心を込めて」を守るべき完成品と捉えていなかったからこそ、自分が必要とする試行錯誤を好きなだけくり返すことができました。たとえば、もしも私がこのブログを守るべき完成品と捉えていたら、アドオン「Stylish」についての試行錯誤をしつこくくり返すことを、ためらったかもしれません。もしためらっていたら、「デジタル三色ボールペン」との出会いは実現していませんでした。

「三色ボールペンWorkFlowy」を、何に使うか?

このように、「単純作業に心を込めて」が「守るべき完成品」じゃないからこそ、試行錯誤や変化が可能になり、結果、私は、いろんな恩恵を受けています。

「守るべき完成品」と捉えないことは、ブログによる試行錯誤や変化を可能にする条件です。

3.まとめ

私が、「単純作業に心を込めて」を続けている意義のひとつは、「変化」です。

まず、このブログは、「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」を組み込むことで、人生の変化とブログの変化との循環を生み出し、変化を起こし続けるシステムとして機能しています。

次に、このブログは、コストもリスクも低い試行錯誤を可能にすることによって、試行錯誤をくり返すための実験場として機能しています。

このふたつに共通して大切なのは、このブログを「守るべき完成品」と捉えていないことです。ブログを「守るべき完成品」と捉えないことによって、ブログによる試行錯誤や変化が可能になります。そうなれば、ブログは、他では実現しがたい、確かな役割を果たしてくれるかもしれません。

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