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自分のWorkFlowyを育てる。「赤坂シナモンの地下迷宮」へと続く試行錯誤の中間報告。

公開日: : 最終更新日:2016/05/05 WorkFlowy, 知的生産

目次

1.はじめに

(1) WorkFlowyを使い始めて2ヶ月間

私がWorkFlowyを本格的に使い始めたのは、2015年の1月です。何人かの方が愛用されている様子を目にして、「ちょっと本腰入れて使ってみよう」と決断し、Proアカウントにしました。

Proアカウントにして本格的に使ってみると、すぐにWorkFlowyのすばらしさを実感しました。

  • 動作の軽快さや使いやすいキーボードショートカット、直感的で気持ちのよいUIなどの基本機能が充実していること
  • シンプルだけれど柔軟で応用範囲の広いいくつかの機能を持っていること
  • 深いと同時に地に足の着いた思想を実感すること

WorkFlowyは、あっという間に、私の中で、EvernoteやToodledo、Gmail&Googleカレンダーと肩を並べるツールになりました。

(2) 2ヶ月間の成長

私のWorkFlowy歴は、2ヶ月間です。けっして長くはありません。しかし、私のWorkFlowyは、この2ヶ月間で、劇的に変化しました。進化、成長といってよいと思います。

この劇的な成長には、2つの側面があります。

a.WorkFlowyのアウトライン自体の成長

ひとつは、WorkFlowyの中に蓄積された情報の点での進化・成長です。

WorkFlowyで多くの文章を書き、WorkFlowyに様々な情報を集約することで、WorkFlowyの中に、多くの情報を集約することができました。

トピックの数は、2万を超えました。

私のWorkFlowy唯一のアウトラインは、日々、大きく豊かに育っています。

WorkFlowyを育てる

彩郎のWorkFlowy(2015/02/21段階)

b.WorkFlowyを使う環境の進化

もうひとつは、WorkFlowyの使用環境の点での進化・成長です。

WorkFlowyはブラウザから使用するクラウドツールなので、使用しているブラウザからWorkFlowyのサイトにアクセスしさえすれば、すぐに使い始めることができます。おまけに、WorkFlowyのウェブサイト自体の設定項目は、ほとんど何もありません。(テーマとフォントくらいです。)

でも、WorkFlowyには、ものすごく大きなカスタマイズの可能性が開かれています。WorkFlowyを使うブラウザをカスタマイズすることで、WorkFlowy自体の使い勝手が大きく変わるためです。

WorkFlowyの使用環境の点でも、私のWorkFlowyは、大きく育ってくれました。

(3) この文章でまとめたいこと

以下、この文章では、この2つ面でWorkFlowyがどのように進化し、成長してきたのかを、主に時系列でふり返ります。

私がどんな課題に直面し、そしてその課題を解消するためにどんなことを考えて、どんなことを実行したのか。これを明らかにすることで、「自分のWorkFlowyを育てる」ということを考えてみたいと思います。

2.心理的な制約から自由になるために、WorkFlowy Proの世界へ

(1) WorkFlowy放置の理由は、心理的な制約

私がWorkFlowyを本格的に使い始めたのは2015年1月ですが、WorkFlowyのアカウントを登録したのは、それよりずいぶんと前の2014年2月でした。しかし、それからしばらくのあいだ、私はWorkFlowyをまともに使わず、放置していました。

放置の理由は、無料プランのトピック数制限です。

WorkFlowyは、無料プランでも、基本的な機能の大部分を制約なく使うことができます。しかし、無料プランでは、1ヶ月に作成できるトピック数に制限があります。

制限は、標準で250トピック、誰かの紹介から登録すれば500トピックで、1トピックの長さやNoteの量は関係ありません。また、その月に作成したトピックを削除すれば、その分、回復します。ですから、たとえばNoteを本文に使ったり、作成したトピックを他のアウトライナーにエクスポートしてWorkFlowyから削除するなど、使い方を工夫すれば、足りなくなることはないかもしれません。

しかし、気になることは気になります。「これに1トピック使うのはもったいないかな。1トピック使うまでもないかな。」などと考えてしまうと、心理的な制約がかかってしまいます。

私にとっては、これが窮屈でした。不自由さを感じ、無料プラン前提だと、あんまり快適ではありませんでした。

かといって、いきなりProプランにする決断もできませんでした。

これが、放置の理由です。

(2) 心理的な制約から自由になるため、Proに

そこからしばらくの間、私はWorkFlowyを放置していました。しかし、2014年11月ころにOmniOutlinerを使い始めたことなどから、WorkFlowyへの興味が再燃しました。

Twitterやウェブを「WorkFlowy」で検索して情報収集したり、試しに日記やブログ原稿にWorkFlowyを使ってみると、しっくり来る感覚を覚えました。

「WorkFlowyは私が求めていたツールかもしれない。」と感じるとともに、「いくら工夫しても、無料プランのトピック数制限があると、WorkFlowyの力を引き出すことはできないだろうな。」と考えて、心理的な制約から自由になるために、Proに申し込みました。

2015年1月5日のことでした。

(3) WorkFlowy Proで、見えない天井を取り払った自由さを実感する

WorkFlowyをProにしたら、世界が変わりました。

機能面では、目に見える変化はありません。UIも同じですし、利用できる機能も、基本的なところでは同じです。

でも、トピック数制限が取り払われたことによって、世界が変わるほどの変化を体感しました。「トピックがもったいない」という心理的な制約が外れて、見えない天井が取り払われたような自由を感じました。

捗りあんさんが、次の記事で、WorkFlowyをProにしたときの感想を書かれていますが、まさにこれと同じような自由さを感じました。

[捗]これで制限に悩まされない?~WorkFlowyをPro版にしました | 捗りあん

3.OmniOutlinerのアウトラインをインポートするために、WorkFlowyの基本を学ぶ

(1) OmniOutlinerのアウトラインをWorkFlowyにインポートしたい

WorkFlowyを本格的に使い始めて、まず私がやりたいと思ったのは、OmniOutlinerで使っていた大きなアウトラインをWorkFlowyに入れたい、ということでした。

アウトライナーを使うとファイルの概念が消えていく:Word Piece >>by Tak.:So-netブログ

2014年11月にOmniOutlinerを使い始めたとき、私がお手本にしたのは、Tak.さんの「書きかけの文章を全部ひとつの巨大なアウトラインに入れる」という使い方でした。1ヶ月ちょっとの間これを実践していたので、私のOmniOutlinerのファイルは、それなりに大きなアウトラインに育っていました。

そこで、このOmniOutlinerのアウトラインをWorkFlowyにインポートしたい、と考えました。

(2) 公式ヘルプ動画で基本を学ぶ

OmniOutlinerは、アウトライナーです。WorkFlowyと同じような階層構造を持つテキスト情報を扱っています。なので、私は、OmniOutlinerからWorkFlowyへアウトラインをインポートするのは簡単だろう、と考えていました。

しかし、OmniOutlinerからWorkFlowyへのインポートは、ぜんぜん簡単ではありませんでした。OmniOutlinerでコピーしたものをWorkFlowyにペーストすると、段差が全部消えてしまいます。OmniOutlinerからOPML形式でエクスポートして作成したOPMLファイルをインポートしようとしても、OPMLファイルのタグがそのままWorkFlowyに残ってしまいます。

困った私は、WorkFlowyの基本を学ぶことで、解決策を模索することにしました。

このために私がやったのは、WorkFlowyの公式Help動画を全部見ることでした。WorkFlowyの画面の上部バー右側にある「Help」をクリックして、「How-to」タブで見ることができます。全部英語ですが、操作画面の動画がついているので、英語がダメな私でも、いろいろと勉強になりました。

項目は以下のとおりです。

  • Getting Started
  • Basics
  • Zooming
  • Tagging
  • Starring
  • Completing
  • Collaboration
  • Search
  • Move
  • Multi-select
  • Delete
  • Duplicate
  • Expand & Collapse
  • Import & Export
  • Indent
  • Print
  • Undo
  • Settings

私の課題からすれば、「Import & Export」だけでもよい気もしましたが、他のところにヒントがあるかもしれませんでしたので、一応、全部見ました。短いですし。

(3) 試行錯誤の末、インポートに成功する

公式Help動画から学んだインポートの基本を踏まえて、いろんなインポートを試してみました。

テキストファイルからのインポート、Wordファイルからのインポート、Googleドライブ(ドキュメント)からのインポート、Excelからのインポート、Evernoteの階層付きリストからのインポートなどです。

ここで知ったのは、「Evernoteの階層付きリストは、単純なコピー&ペーストで、きれいにWorkFlowyにインポートできる」ということです。

結論として、この発見が課題を解決してくれました。次の方法で、OmniOutlinerのアウトラインをEvernoteの階層付きリストにして、それをWorkFlowyにインポートできたのでした。

  • OmniOutliner→Evernote
    • OmniOutlinerのアウトラインを、OPML形式で書き出して、テキストエディタに貼り付けて、拡張子「.opml」のOPMLファイルとして保存する。
    • OPMLファイルをCloud Outlinerで開く。
    • Cloud OutlinerをEvernoteと同期する。
    • Evernoteに、階層付きリストのノートができる。
  • Evernote→WorkFlowy
    • Evernoteに同期された階層付きリストノートを開いて、全体を同期されたアウトラインをコピー。
    • WorkFlowyを開いて、インポートしたい場所に貼り付ける

果たしてこんなことをする必要があるのかは、なんとも言えません。もっと簡単な方法があるんじゃないかという気もします。でも、少なくともこのプロセスをたどれば、OmniOutlinerのアウトラインを、階層構造を保ったまま、WorkFlowyに取り込むことができます。

(4) 「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」をWorkFlowyに&説明文をWorkFlowyで書く

このように、私は、OmniOutlinerで1ヶ月間育てていたアウトラインを、無事、WorkFlowyにインポートすることができました。これによって、私の「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」は、WorkFlowyに完全移行しました。

また、この過程で学んだWorkFlowyの基本を、ひとつのブログエントリにまとめました。もちろん、この説明文を書くために使ったのは、WorkFlowyです。

クラウドアウトライナーWorkFlowyの説明

4.「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」の中で書きかけ文章を埋没させないために、WorkFlowyのURLを試す

(1) 書きかけの文章を埋没させないためには、どうしたらよいのか

WorkFlowyは、私にとっての「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」になりました。

「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」というのは、書きかけの文章群全体を管理する仕組みのことです。私のWorkFlowyの中には、大量の書きかけの文章群が格納され、しかも書きかけの文章の数は、日々かなりの速度で増えていきました。

書きかけの文章の数が増えるというのは、有機体が育っているということなので、よろこばしいことなのですが、でも、ある程度増えてくると、大きな問題も出てきます。それは、書きかけの文章が埋没してしまう、ということです。

特に、WorkFlowyには、更新日時でトピックを並び替える機能がないため、最近更新したトピックが上に来るように並べる、ということもできません。

WorkFlowyの有機体の中で、書きかけの文章を埋没させないためには、どうしたらよいのか。これが、私の課題でした。

アウトライナーによる「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」について感じていること

(2) WorkFlowyのURLを試す

特定のトピックを埋もれさせないためにWorkFlowyが用意している仕組みは、おそらく、タグとスターページです。私も、当初、書きかけの文章にスターをつけたり、「#書きかけ」というタグをつけたりすることで、書きかけの文章を埋もれさせないための仕組みを作ろうとしました。

しかし、タグとスターページだけでは、あまりうまく機能しませんでした。

スターページは、スターの数が増えてしまうと無意味になってしまいますし、タグは付け忘れることが多かったためです。

ちょうどそのころ、私は、WorkFlowyのURLの存在に気づきました。

WorkFlowyのURLとは、WorkFlowyが持っている、次の3種類のURLのことです。

  • ZoomされたトピックごとのURL
  • タグ(#タグと@タグ)のURL
  • 検索条件のURL

これら3つのURLを使えば、EvernoteやToodledoの「保存された検索」と同じようなことを実現することができます。これによって、書きかけの文章群を埋没させない仕組みを作れるのではないかと感じた私は、WorkFlowyのURLについて、いくつかの試行錯誤をしてみました。

WorkFlowyのURLの基本と「保存された検索」のような活用例

このURLをブラウザのブックマークに登録したり、WorkFlowy内に記入することによって、書きかけの文章に辿り着くための手がかりをたくさん残せるのではないかと考えたためです。

5.WorkFlowyのURLから、「WorkFlowy専用Firefox」が誕生する

(1) 「WorkFlowy専用Firefox」の誕生

結果として、WorkFlowyのURLは、大きな転機となりました。なぜなら、ここから、「WorkFlowy専用Firefox」が誕生したからです。

「WorkFlowy専用Firefox」は、次のエントリに対するあきさんのコメントから生まれました。

WorkFlowyのURLを活用するアイデアを妄想する(その1・ブックマークに登録)

このコメントを目にしたとき、私は、「擬似的に2ペイン風」ってなんのことだろうかと、よくわかりませんでした。でも、少し考えて、ああそうかと理解し、大きな興奮を覚えました。そのときに、あきさんとさせていただいたやりとりは、こんな感じです。

ブラウザのブックマークによって、WorkFlowyに、2ペイン方式のちょっといいところを取り込む(試案・私案)

早速、擬似2ペインアウトライナーを実現しようと、SafariやFirefoxなど、左サイドバーにブックマークを表示できるブラウザをいくつか試したところ、理由はよくわからないのですが、FirefoxはブックマークからWorkFlowyのURLを読み込んでもリロードにならず一瞬での移動が可能だけれど、SafariはブックマークからWorkFlowyのURLを読み込むとWorkFlowy全体がリロードになり、待ち時間が発生することに気づきました。

私は、Google Chromeをデフォルトブラウザとして使っていますので、FirefoxをWorkFlowy専用にしても問題ありません。そこで、FirefoxをWorkFlowy専用にして、FirefoxのブックマークやアドオンをすべてWorkFlowyのためだけに使うことにしました。

こうして、「WorkFlowy専用Firefox」というTipsが誕生しました。2015年1月20日のことでした。

「WorkFlowy専用Firefox」によって、パソコンからのWorkFlowyを、さらに強力なツールに育て上げる(Windows&Mac)

「WorkFlowy専用Firefox」は、使えば使うほど便利なTipsでした。「WorkFlowy専用Firefox」は、まるで、とてもよくできたWorkFlowy専用アプリです。Evernoteがパワフルであることの大きな理由のひとつは、Evernote for WindowsやEvernote for MacなどのEvernote専用アプリがパワフルであることにあるんじゃないかと思いますが、「WorkFlowy専用Firefox」は、Evernote for Windows/Macと比べても、遜色ないほどパワフルなWorkFlowy専用アプリです。

自分のWorkFlowy歴をふり返ると、もっとも大きなインパクトをもたらしたのは、この「WorkFlowy専用Firefox」だと思います。

(2) その後の「WorkFlowy専用Firefox」の成長

「WorkFlowy専用Firefox」は、その後、すくすくと育ちました。

a.ローカルファイルリンク機能を追加し、コックピットに

まず、るうさんによって、ローカルファイルリンク機能が追加されました。2015年1月31日ころのことです。

「WorkFlowy専用Firefox」にローカルファイルリンク機能をつけて、WorkFlowyを知的生産のコックピットに(Window&Mac)

Firefoxの「about:config」を設定することで、WorkFlowyをローカルファイルへのファイラのように使うTipsです。

これによって、

  • 画像など、テキスト以外のデータを扱えない
  • クラウドにアップロードできない(またはしたくない)情報を扱えない

というWorkFlowyの弱点を補うことができます。

b.アドオン「Easy Copy」で、タイトル+URLを簡単に取得

次に、キーボードから手を離さず、一瞬で、「【トピックのタイトル】トピックのURL」という文字列を取得できるようになりました。これは2015年2月上旬のこと。

「WorkFlowy専用Firefox」を、アドオン「Easy Copy」で強化する

これによって、WorkFlowyにWorkFlowyのURLを書き込むことが、大幅に楽になります。

WorkFlowyに書いたURLを活用し、WorkFlowyを思考のOSへ

c.アドオン「Stylish」で、自由な見た目を実現(私は余白調整)

さらに、2015年2月10日、WorkFlowyの見た目を自由にカスタマイズする方法を知りました。

Chrome拡張『Stylish』でWEBアプリを自分のモノにする – mmkns

R-style » 『Stylish』でWorkflowyの見た目をカスタマイズした

見た目が変わるだけ、という気もしますが、そうではありません。次の記事で暮らした忠憲さんが分析しているように、Noteを全文表示にすれば、機能面で大きく変えることができます。

R-style » Workflowyでnoteを全文表示にしてみた

私も、これに習い、

  • 余白を削ることで、キーボードショートカットとかぶらずに、広い横幅を確保する
  • トピックの注釈としてのNoteを、1行だけでなく、全文表示にする

という2点を変えました。

「WorkFlowy専用Firefox」の余白を、アドオン「Stylish」で調整する

d.WorkFlowyの検索条件「last-changed:」で、時間軸検索を取り入れる

このころの「WorkFlowy専用Firefox」の進化は、一日単位でした。

その翌日、2015年2月11日に公開されたこの記事からは、WorkFlowyの大きな弱点である「時間軸検索ができない」ことの対策になる検索オプション「last-changed:」を教わりました。

[捗]WorkFlowyの便利に使える検索オプション | 捗りあん

last-changed:

最終更新日時による検索。last-changed:と日数単位のdもしくは時間単位のhを使って検索できます。例えば最近7日以内に更新された項目を検索する場合はlast-changed:7dと、4時間以内に更新された項目を検索する場合ならlast-changed:4hと検索ワードを入れることで検索できます。

引用元:[捗]WorkFlowyの便利に使える検索オプション | 捗りあん

この検索オプションを「WorkFlowy専用Firefox」に整理してブックマークすることで、WorkFlowyに時間軸検索原則を一定程度導入できました。

私がわりとよく使うのは、

  • 最近1日
  • 最近2日
  • 最近3日
  • 2日前
  • 3日前

です。

WorkFlowyで、『「超」整理法』の時間軸検索原則を実現するため、検索条件「last-changed:」のURLをブックマーク

最近1日の検索条件のURLである「https://workflowy.com/#/?q=last-changed%3A1d」は、Home画面にも置いてあります。

彩郎のWorkFlowy(2015/02/21段階)

6.「暫定的な作品群」を切り取るために、知的生産の治具を活用する

(1) 切り取り作業を支援し、ボトルネックを解消する、知的生産の治具

私にとって、WorkFlowyは、主に「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」です。

「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」は、それ自体は変化し続け完成しませんが、そこから「暫定的な作品」を継続的に生み出し続けます。変化し続ける過程で「暫定的な作品群」を生み出し続けることが、「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」の存在意義のひとつです。

ずっと完成しないで変化し続ける有機体から、暫定的な作品群を切り取るためのハサミ

「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」は、具体的には、WorkFlowyの中に含まれるたくさんの数のトピック群なので、「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」から「暫定的な作品群」を切り取るとは、WorkFlowyの中に含まれるたくさんのトピック群の一部を、独立した文書やブログエントリというかたちに整えることです。

この切り取りのために、以前の私は、WorkFlowyのエクスポート機能によってデータをコピーし、テキストエディタやWordなどのアプリケーションを使って手作業で整える、という作業をしていました。そして、このかなり面倒な作業は、私にとって、「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」から「暫定的な作品群」を生み出し続けるためのボトルネックになっていました。

ところが、このボトルネックは、今や、きれいに解消されました。ボトルネックを解消してくれたのは、マロ。さんによる知的生産の治具たちです。

(2) 知的生産の治具の意義

2015年になってから、マロ。さんは、WorkFlowyから暫定的な作品群を切り出すための知的生産の治具を、精力的に開発しています。

a.WorkFlowy→Word

WorkFlowyからWordを切り出すための知的生産の治具は、「WorkflowyとWordの相互変換ツール」に含まれています。

この知的生産の治具を使うことによって、私は、成果物であるWord文書を完成させるのと同時に、「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」を育てることができるようになりました。私流の二毛作です。

彩郎流二毛作。知的生産の治具マクロ「WFtoMSWD.dot」で、Word文書作成プロセスから得る収穫を倍にする。

b.WorkFlowy→HTML(ハサミスクリプト)

今、私が、WorkFlowyからブログエントリを切り出すために使っている知的生産の治具は、「WF2HTMLのirodrawさん専用バージョンWFtoHTML irodrawEdithion」です。

このAppleScriptは、私の細かくて偏った要望の全部詰め込んで、マロ。さんが作ってくださいました。

私にカスタマイズされているだけあって、私にとっては、このAppleScriptの切れ味は抜群です。このハサミスクリプトとWorkFlowyの組み合わせは、私史上最強のブログ原稿執筆ツールです。

WorkFlowyと自分のブログによる知的生産システムと、ハサミスクリプト「WFtoHTML_irodrawEdition」が果たす役割

7.他のクラウドツールとつなぎ、WorkFlowyを知的生産のプラットフォームへ

(1) WorkFlowyのURLとWorkFlowyに書いたURLで、WorkFlowyを他のクラウドサービスとつなぐ

「WorkFlowy専用Firefox」のカスタマイズが進むにつれて、WorkFlowyは、どんどんと他のクラウドサービスとつながっていきました。

WorkFlowyと他のクラウドサービスをつなぐのは、主に、WorkFlowyが持っている、とてもシンプルな、次の2つの機能です。

(2) Toodledo、Evernote、Gmail

たとえば、WorkFlowyは、Toodledo、Evernote、Gmailと、こんなふうにつながります。

a.Toodledo

(a) Toodledo→WorkFlowy

Toodledo→WorkFlowyは、WorkFlowyのURLをToodledoのタスクのノート欄に書くことで、つなぐことができます。

(b) WorkFlowy→Toodledo

反対に、WorkFlowy→Toodledoは、Toodledoのタスクごとに用意されたタスクのPermanentLinkなどのURLをWorkFlowyに書くことによって、つなぐことができます。

(c) 参考

WorkFlowyのURLを活用するアイデアを妄想する(2) WorkFlowyをToodledoとつなぐ

b.Evernote

(a) Evernote→WorkFlowy

Evernote→WorkFlowyは、WorkFlowyのURLをEvernoteのノートに書くことによって、つなぐことができます。

また、WorkFlowyのZoomしたトピックをEvernoteへウェブクリップすることによって作成したEvernoteノートには、自動的に、WorkFlowyのURLの情報が記録されます。そのため、WorkFlowyをEvernoteにウェブクリップすれば、Evernote→WorkFlowy方向のつながりをつくることができます。

(b) WorkFlowy→Evernote

反対に、EvernoteのノートリンクURLをWorkFlowyに書き込めば、WorkFlowy→Evernote方向のつながりを作ることができます。

(c) 差分メール転送による自動蓄積の仕組み

なお、WorkFlowyに書いたURL、WorkFlowyのURLとは別の話なのですが、WorkFlowyは、毎朝前日からの差分をメールで通知してくれる機能を持っています。このメールをGmailなどでEvernoteへと自動転送することによっても、WorkFlowyとEvernoteをつなぐことができます。

WorkFlowyに書き込んだ内容を自動的にEvernoteに蓄積し続ける仕組み(差分メール転送とRSS&IFTTT)

c.Gmail

(a) Gmail→WorkFlowy

Gmail→WorkFlowy方向のつながりは、GmailにWorkFlowyのURLを書き込むことによって、作ります。

たとえば、共有するWorkFlowyのトピックの共有URLをGmailで共有者に送る、などが考えられます。

(b) WorkFlowy→Gmail

WorkFlowy→Gmail方向のつながりは、GmailのメールごとのURLを使います。

Gmailには、メールごとの固有のURLが用意されていますので、このURLをWorkFlowyに書くだけです。

Gmailでタスクを含むメールを受信したとき、ブックマークレットでToodledoに追加する仕組み

(3) アウトライナーではなく、知的生産のプラットフォーム

WorkFlowyを使い始めたとき、私が求めていたのは、「OmniOutlinerに代わる、使いやすいクラウドアウトライナー」でした。そのため、WorkFlowyを使い始めた当時、私は、WorkFlowyをクラウドアウトライナーだと認識していました。

実際、私は、「クラウドアウトライナーWorkFlowyの説明」を書いたとき、「クラウドアウトライナー」という言葉でWorkFlowyのことを紹介しています。

しかし、しばらく使っているうちに、「クラウドアウトライナー」という言葉はWorkFlowyが持つ可能性のほんの一部しか捉えていないのかもしれない、と感じました。

もちろん、WorkFlowyは、クラウドアウトライナーとして、とても優秀です。しかし、WorkFlowyが実現する価値は、アウトラインの作成を助けてくれるだけではありません。

なぜ、WorkFlowyが、「クラウドアウトライナー」を超える価値を実現できるのかを考えてみると、「WorkFlowyのURL」と「WorkFlowyに書いたURL」という2つのごくシンプルな機能の存在が大きいのはもちろんですが、それと同時に、WorkFlowyの設計思想が果たす役割も大きいんじゃないかと感じます。

現時点で私が感じるWorkFlowyの設計思想は、「アウトラインはひとつあれば十分だし、ひとつの方がむしろよい」と「情報を区切る単位はトピックだけでいい」の2つです。この2つの設計思想は、最初は大いに戸惑い、それは偏狭なんじゃなかろうかと感じたのですが、WorkFlowyを使えば使うほど、しっくりとなじみました。

「アウトラインはひとつあれば十分だし、ひとつだけの方がむしろよい」というWorkFlowyの思想を肯定する。

「情報を区切る単位はトピックだけでいい」というWorkFlowyの思想

この2つの思想と、シンプルないくつかの機能。これらによって、WorkFlowyは、単なる「クラウドアウトライナー」を超え、知的生産のプラットフォームになる可能性を獲得したのではないかと思います。

8.WorkFlowyを「赤坂シナモンの地下迷宮」へと育てるプロセスは、道半ば

2015年1月末、私は、WorkFlowyは、『ねじまき鳥クロニクル』に出てくる赤坂シナモンのコンピューターシステムになりうる存在だと書きました。

ところが、WorkFlowyを使い始めて約1ヶ月が経ち、先日、ふと感じたことは、このWorkFlowyの唯一のアウトラインが、赤坂シナモンの地下迷宮のような存在になるのではないか、ということです。WorkFlowyによって、抽象的なあこがれを具体的に実現する道筋が、ぼんやりと見えた気がします。

引用元:WorkFlowyを、赤坂シナモンの地下迷宮みたいにしたい(その1)

それから1ヶ月弱の時が過ぎましたが、その間、私のWorkFlowyの進化は、ずっと続いています。

「WorkFlowyは、「赤坂シナモンの地下迷宮」を実現できる可能性を持っている。」ということを、今、より強く確信しています。

WorkFlowyを育てるプロセスは、道半ばです。これからも日々WorkFlowyを使い続ける中で、ちょっとした改善点や不満点を課題として捉えて、課題解消のプロセスを試行錯誤していこうと思っています。この試行錯誤は、きっと「赤坂シナモンの地下迷宮」へと続いています。

WorkFlowyに興味をお持ちの方は

WorkFlowyは、基本機能を使うだけなら、無料です。1ヶ月間に作成できるトピック数に制限がありますが、それ以外は、さしたる制限なく使うことができます。

WorkFlowyに興味をお持ちの方は、お気軽に試していただけるとうれしいです。

無料プランの場合、1ヶ月間に作成できるトピック数は、標準だと250トピックに制限されています。しかし、以下の紹介リンクからご登録いただくと、250増えて、500トピックになります。

Get 2x the free WorkFlowy space.

紹介リンクからご登録いただくと、同時に、紹介主の1ヶ月あたりの制限数も、250トピック増えます。

この紹介リンクは、知的生産の治具工房のマロ。(@maro_draft)さんのものです。マロ。さんは、WorkFlowyと他のツールとをつなぐ知的生産の治具を精力的に開発されています。

お知らせ

このエントリは、その後、加筆修正などを経て、書籍『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の一部分となりました。

書籍『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の詳細目次と元エントリは、次のとおりです。

『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の詳細目次と元記事の紹介

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